【十六日目】
【十六日目】
金髪碧眼の二十歳前後の女性。身長は百六十六~七センチ。体重は担いだ感覚で五十キロ(濡れた衣類を含む)。スタイルとしてはどちらかと言えば細身だけど、不摂生な生活をしているのか筋肉よりも脂肪分が多い肉付き。寝ているにもかかわらずキツそうな雰囲気を醸す、意思の強そうな太眉が特徴的な美女さんです。
いや微女か? 好みが分かれそうだな。個性的だけど俺的にはグッドです。
そんな金髪美女さんは、俺や人魚さん、あるいは狼男と同じように、漂流の果てにこの島に流れ着いたみたいだ。しかし俺たちよりも体力がないためか、瀕死一歩手前だった。
全身擦り傷だらけなのも問題だが、なにより一番問題なのは低体温症一歩手前の全身だ。俺の時と違い海温も上がったので凍傷には至っていないようだが、それでも体温が下がって瀕死なのにはかわりがない。しかし幸いなことに水をそれほど飲んでいないようなので最悪な事態には陥っていない。なにがあったら絶賛気絶中の人間が溺れ死ぬこともなく低体温症一歩手前で俺に見つけてもらうとか、都合良すぎる幸運が重なり過ぎだと思わなくもないけれど、この世界はファンタジーなので深く考えたら負けのような気がする。まあ、彼女の命があることを今は素直に喜ぼう。
俺は金髪美女さんを助けるためにたき火をたき、足裏が傷つくのも構わずに綿を集めて暖にした。しかしそれだけでは絶対的に温度が足りないようなので仕方がなく、仕方がなく(ここ重要。けして下心のみではない)俺は医療行為の一環として彼女に抱きついて一晩を過ごした。
あれは冷たかった。
逆に俺が凍えそうな相手をずっと抱き続けるのは御褒美などではなく苦行だったけれど、その甲斐あってか朝になって血色が良くなったように見える。人間、体温が数℃下がるだけで全然やばい。本当に死ぬ。体温が、――――外気や海温が一℃低いだけで金髪美女さんが死んでいたかもしれないと思うと、急激な気温上昇も悪いことばかりじゃなかったと思えた。
金髪美女さんに熱を奪われて冷えた体に、朝の陽光が心地良い。
彼女が目を覚ますにはまだ幾許かの時間を有するだろうけど、快復に向かっているのは間違いない。医療の知識は漫画やドラマからの受け売りで専門知識があるわけではないが、大丈夫だと思う。……勘で。
たとえ専門知識が必要な外傷や病気などがあったとしても、こんな大自然の中で求められても手の施しようがない。すっぱりきっかり諦めることはできないにしても、もしそのような時が来るとすれば覚悟は必要だろう。……必要ないと思うけど。
ふむ。
今日はどうしようか。




