【十二日目】
【十二日目】
朝起きて、海岸線で朝日を眺めていると、人魚がいた。
先日出会った人魚さんだ。
人魚さんは海に浮かぶ岩に身を隠しながら、俺を観察していた。
――――というか、あれでバレていないつもりだろうか? 一応ちゃんと隠れてはいるのだけど、これでも俺は目敏いから普通に気付いています。俺を尾行するなら一キロ以上は離れるんだな、その程度の距離は無いに等しいわ! 蜘蛛少女さんの奇襲で酷い目にあったから、なおさら気配や違和感には敏感だ。
……とくに実害があるわけでもないし、放っておくかな。
人魚さんは動きを見せるわけでもないので無視することにした。
海に近づきにくいしなぁ。
人魚さんもそうだが、なによりオタマのような生物が他にもいたら危険なので、沈没船の件以降海には必要以上に近寄っていない。しかしタイを釣りたいな。最低限の安全が確保できる岩場の上で釣りをしてみたのだが、――――いやいやちょっと待て、人魚さんが釣れたらどうしようか。
今日も山・川に行くことにした。
もし今が遭難中でないなら、――――この島に知識のない動植物しかなかったら、未知なる食べ物を口にしたかもしれないけれど、体力を低下させたくないので毒物の可能性のある物は食べません。取り放題状態のサケを二匹ゲットして、食べ慣れた食材を収穫しまくります。
川に入ると寒いので、たき火をして体を温めた。
ライターのガスも限りがあるので、たまたま一個だけ流れ着いていた瓶を割ってゲットしたレンズ状の瓶底と、太陽光を利用した手法で火を点ける。晴れの日ならもうライターなんていらないね。
だけど明日の天気は荒れそう。
昼頃になると風が強くなり始め、雲の流れが速くなる。こころなし海も荒れてきた。
人魚さんは大丈夫かな?
塩や干し物を回収した俺は、朝方に人魚さんがいた岩を眺める。彼女は当然すでにいなかった。どこにいるのかもわからない。すでに避難したことを信じて、俺も粗末な仮住まいではなく洞窟のような岩の窪みに身を隠し、明日を待つことにした。




