ある愛のかたち
お前はここにいて、私を呪っていればいい。
私はここよりどこかへ行って、私にできることをする。
お前にできることが、ただ私を呪うことだと思うのならば、
お前はここにいて、私を呪っていればいい。
私はここではない場所で、お前の呪いを受け止める。
全ての呪詛を受け止める。
そのくらいの覚悟はある。
ただ、呪うお前をここで見続けることだけは、
私を見ないお前を見守ることだけは、
私にできることではない。
わたしにできることはただ、
わたしがあのひとを憎んでいるのだと信じている、
あのひとをただ、想い続けることだけ。
あのひとはそれを呪詛だと思っているけれど、
それは本当は祈りなのだけれど。
けれど、それも、本当は何でもいいのかもしれない。
わたしはあのひとを想い続けていられればいい。
あのひとはわたしに憎まれ続けることを願っている。
それなら、それも、ひとつの愛ではないかしら。
遠くに行ってしまったあのひとを想う今なら、わたしもそう思うことができるのです。