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怪談Night  作者: 蓬莱雪也
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地鎮祭





 品川へ向かう朝の通勤ラッシュの電車の中。すし詰め状態の車内。

 そんな車内に、ぷんと線香の匂いが広がった。

 身動きも取れない電車の中。そんな所で線香に火をつける人など、常識で考えたら存在するはずがない。



 不意に電車が速度を落とし、ついに停車した。

 車内アナウンスによると、電車間の距離の為しばらく停車するとの事。

 扉の前で身動きも取れず、本を読む事も出来ない為、自然と外を眺める様な形になっていた僕は、そこで不思議なものを目にした。




 空き地に組まれた祭壇。工事の無事を祈願する為に地鎮祭を行うのだろう。それは良い。

 だが、その祭壇を中心にして、何か白い塊の様なモノがフワフワと渦巻いて飛んでいる。

 何をするわけでもない。ただそれがフワフワと飛んでいる。それを意識した瞬間、車内の線香の匂いがさらに濃くなった。


 思わず車内を見回して自分と同じモノを見ている人はいないかと探す。だが、同じ様に外を見ている人も飛び回る白い何かに気付いている様な人はいない。





誰にも見えてないんだ





 車内のアナウンスが入り、ゆっくりと電車が動き出す。慌てて空き地を見ると、今まで確かにそこにあった空き地にはマンションが建っており、急いで辺りを探しても、どこにも空き地は見当たらなかった。

 あんなに濃く匂っていた線香の香りも、気が付いたら無くなっていた。






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