悪魔の胎教
浴槽の中で死体になって考えた
湯船は三途の川をゆく孤舟で
満たされないのは血液だって
未来のない履歴書に筆をおき
相貌が変わった己を省みる
浴槽で培養されればいい
湯のかわりにアルコールに漬けて
そのまま都合よく記憶がなくなればいい
悪魔の胎教をするのはもうたくさんだ
堕胎すればいい
母体もろとも
そしてアンモニアの下水口をたどり
劣化ウランの海へ流れつけばいい
どこかへ流れよう
そういう時期かもしれない
潮時というのは自然界のことだけではない
不自然な人間関係においてもだ