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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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68話 銀級への昇格試験

 グリードの暗殺……いや、抹殺?が成功して、シャルルが商隊専属冒険者になってから数日が過ぎた。


 アンドリューさんやゴンザレスさんから聞いた話だと、騎士団による屋敷の捜査はひとまず完了したらしい。


 そうしたらまぁ、闇ギルドを始め様々な犯罪組織やら何やら、"カタギ“じゃない奴らとの癒着の証明など、真っ黒なものが出るわ出るわの大騒ぎ。


 それだけでなく、前領主の死因が病死ではなく、実はグリードの息がかかった者による暗殺だったということも判明したとのこと。


 さらに判明したのは、グリードは元々とある豪族の生まれで、その豪族の中でも癒着やら横領をやって、追放処分を喰らったらしいのだ。ただの自業自得じゃねぇか。


 そして、ネオライト周辺の風土の悪化と混乱に乗じて前領主を暗殺し、元豪族の強権をねじ込んで自分がネオライトの領主に成り代わったと言う。


 想像していた以上にやべぇ経歴の持ち主だったわ、こんな奴をのさばらせていたらネオライトがメチャクチャになるどころじゃない。俺達が暗殺なんて企てなくても、遅かれ早かれ誰かに殺されていただろう。


 理不尽な搾取や横領によってたんまり溜め込んでいた資産も全て差し押さえ、一旦は騎士団の預かりになるが、情勢が落ち着いた頃を見計らってから随時、嵩増しになっていた税収分は市民に返還されるそうだ。


 新たに着任される領主も、ギルドや騎士団が立ち会った上で、経歴や人格、能力に問題が無いかを厳しく見定めてから配置を決められると言う。


 市民の血税と女性を食い物にするクソ野郎 (リーゼさん談)を始末して万々歳……と、言いたいところだが、ネオライト周辺の風土悪化の原因はやはり分からず終いだった。

 リーゼさんがワーカーマスターに、「天体の動きがおかしい」と話していたそうなので、現在天体観測者達が、毎晩徹夜で夜空の状態をつぶさに見ているらしい。


 様々な問題や疑問を残しつつも、今回の領主暗殺作戦は一応成功だ。




 で、俺は今何をしているのかと言うと。


「ぅらあァッ!」


 上段から勢い良くロングソードを振り下ろし、脚の関節を深く斬り付ける。


 今回のターゲットは、蟹型の大型の魔物『ジャイアントクラブ』


 甲殻類の魔物だけあって甲殻はそれなりに硬く、基本は戦鎚(ハンマー)のような打撃武器で甲殻ごと叩き潰してしまうのが有効手段だが、当て方を間違えなければ斬撃も有効だ。

 あと、水棲の魔物なので、火属性や雷属性の攻撃が効きやすい。


 普段は人里から離れた海岸付近に棲息しているのだが、どうやら縄張り争いの影響で海岸線寄りの街道に姿を見せるようになったらしく、そのせいで他の商隊が足止めを喰らっているとのことで、緊急性の高い依頼として発注された。


 そして、俺の――銀級への昇格試験も兼ねている。

 

 黒鉄級の俺だが、ヴェイルワイバーンを単独で撃退、ブレイドビートル討伐の援護、暴走したグリードの討伐……と言った戦果を挙げてきた俺に、リーゼさんがワーカーマスターと協議した結果、今回のジャイアントクラブ討伐に、俺の昇格試験を兼ねたそうだ。


 階級の問題から青銅級のアイリスと、赤銅級のシャルルは同行させられないので、今日のところは俺単独での遂行だ。


 自重を支える脚の関節を深く斬り付けられて、ジャイアントクラブは体勢を崩し、転倒する。

 転倒して動きを止めたところを、ロングソードを下から振り上げて、脆い腹下を斬り裂く。

 硬い外甲殻を持つ奴は大抵、その下の脆い部位を守り隠すためにあるんだ、硬い部位を避けつつ、体勢を崩したら即座に柔らかい部位を突く。

 硬く鋭い鋏を使った攻撃も、【タイム連打】で見切ってから回避運動を取れば余裕で躱せるし、ついでにちょっとだけ反撃もしておく。

 時折、口から高圧縮された泡のブレスなんかも吐き出してくるが、口元の泡の量がいきなり増えると言う大きな予備動作があるので、これはむしろ攻め込み時だ。


 チマチマと反撃しつつ、脚を狙って体勢を崩し、崩れたところに脆い部位を突き……を何度も何度も根気よく繰り返していけば、少しずつジャイアントクラブの動きが鈍っていく。


 ……そろそろだな。


 俺はロングソードを鞘に納めると、わざとジャイアントクラブの正面に回り込んでから、逃げる。

 散々傷付けてくれやがった俺に対するジャイアントクラブの怒りは頂点だ、鋏を地面に叩き付けながら追いかけてくる。


「よーし、いい子だ……」


 そのまま、ジャイアントクラブに追い掛けられて――予定地点まで誘導する。


 そこに置いてあるのは、一抱えはあるでっかいタル、それが二つ。

 ジャイアントクラブとの間にその二つのタルを挟むようにして振り返り、中指を立てて挑発する。

 ジャイアントクラブは足を止めた俺を捕らえようと迫り来る。

 その進路の先にある、二つのタルが邪魔なので破壊しようと鋏を振り下ろした。


 ――そのタルの中に何が詰め込まれているかも知らずに。


「吹っ飛べ!!」


 それを見た俺は即座に両手で耳を押さえて飛び下がる。


 ジャイアントクラブの鋏がタルを壊し――瞬間、タルの内側から凄まじい大爆発が起き、もうひとつのタルも誘爆するように大爆発を起こす。


 これは、冒険者が大型の魔物に使うトラップのひとつである、タル爆弾だ。

 タルの中に爆薬を詰め込んだものと言うシンプルなものだが、重い上に嵩張る、取り扱いを誤れば大火傷じゃすまない危険な代物だが、その危険性に見合った破壊力は抜群だ。

 冒険者によっては、相手を眠らせて動きを止めてから大量のタル爆弾で一気に爆殺すると言う戦い方もある。


 今回はジャイアントクラブを怒らせて、わざとタル爆弾を壊させるように誘導すると言う作戦だったが、上手くいったようで何よりだ。


 爆煙が晴れると……力尽きたように倒れたジャイアントクラブの姿が。


 ――ジャイアントクラブ、討伐完了だ。

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― 新着の感想 ―
いやぁ、こういうトラップもいいですね。 直接の戦闘もいいけどこういうのも新鮮です。
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