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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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60話 毒殺成、功……?

 アイリスが、シャルルと二人で話がしたいと部屋に入ってから、数十分ほどが過ぎてもまだ話は続いているらしい。

 いつまで何を話しているのかと、グリードは焦れていた。

 早くアイリスを懐柔させ、自分に対して警戒しなくなったところで二人きりになり、その後は彼女をベッドに押し倒して、その無垢な肢体を思う存分……と邪な皮算用を並べていると、ドアノックがされる。


「失礼いたします。ご領主様、シャルル様とアイリス様をお連れ致しました」


 シャルルの部屋に仕えていたメイドが、あの二人を連れてきたようだ。


「ようやっと来たか。入れ」


 きっかり二秒の間を置いてからドアが開けられ、アイリスとシャルルが入室してくる。


「ふふ、失礼いたします」


「し、失礼しま、いたします……」


 自然な微笑を浮かべるアイリスと、ぎごちない挨拶のシャルル。

 立ち振舞いや言葉遣い、身体の肉付きなども含めて全てが完璧なアイリスと比べても、シャルルが良いのは顔ぐらいのものだ。

 やはり冒険者などと言う野蛮人の中にいる美少女など同じ穴の狢に過ぎんな、とグリードはシャルルへの評価を下方修正する。


「アイリス嬢、シャルルと話してどうだったかね?」


「はい、とても有意義な時間でした。特に、シャルルさんはお世話になった孤児院への恩返しのために冒険者となったと言う経緯を聞いて、感動致しました」


「そうか。それはよかった」


 割とどうでもいいことだったので、適当に相槌を打っていると、


「御領主様。差し支えなければ、そろそろお暇させていただこうと思っているのですが、よろしいでしょうか?」


 それはダメだ!

 ここで素直に帰したら最後、この美少女を"いただける“機会は永遠に来ない、何としてでもこの屋敷に留めなければ!


「なに、そう慌てずともよい。晩餐まではもてなすつもりで、こちらも準備しているのだ。もう少しゆっくりしていきなさい」


「そうなのですか?ふふ、それでしたら、もう少しだけお言葉に甘えさせていただこうかと」


 するとアイリスはふと左足を上げて、コツ、と爪先を地面に当てた。


 同時にシャルルはバッと飛び下がり、控えていたメイドに背後から組み付いた。


「なっ、何を、……ぅっ」


 シャルルの手刀がメイドの首筋を叩くと、メイドは脱力したように失神した。当て身を喰らわせたらしい。


「ごめんね」


 小さく謝ってから、シャルルはメイドを赤絨毯に放る。


「シャ、シャルルッ、一体何のつも、え?」


 突然のシャルルの凶行に驚くグリードはそちらに目を向けて、




 ズブ、と胸に何かが突き刺さった。




「な……か……あぁ……っ?」 


 それは、アイリスの手にナイフが握られており、その凶刃が自分の身体に沈み込んでいたからだ。


「ふふ、悪く思わないでくださいな」


 嫋やかな微笑のまま、アイリスはそう告げてナイフから手を離した。

 ナイフが刺さった部位から、ドクドクと血が溢れ始め、正装を紅く染めていく。


「アイ、リ、……貴、さ……ま、か……!?」


 まさかと思ったその時、アイリスの微笑は真顔へ豹変した。


「……悪徳領主グリード、もうおしまいです」


 ここに至ってグリードは理解した。

 アイリスは旅のお嬢様ではなく、自分を殺すためのハニートラップであり、同時に刺客そのものだったことに。

 ついさっきシャルルと二人きりで話していたのは、この暗殺の打ち合わせだったのだ。

 唯一、危機を報せられるだろうメイドはシャルルによって口を封じられてしまい、自身もとても大声で助けを呼べる状態ではない。


 このまま座して死を待つだけなのか……いや、"コレ“を飲めばあるいは……





 仕留めた、とアイリスは確信した。

 猛毒性のナイフは確かに、グリードの脂ぎった腹に突き刺さった。

 刃の通りは浅くとも、致死毒は血液中にしっかり打ち込まれているので、数分もしない内にグリードは中毒死するだろう。

 ドアは閉められており、シャルルに控えているメイドの口封じをしてもらっているおかげで、誰もこの惨状に気付くことはない。

 後は「御領主様が殺されています」と騒ぎ立ててれば、頃合いを見てワーカーの手引きによって騎士団が介入する手筈だ。


 しかし、しぶとくもグリードは懐に手を伸ばすと、何やら小さなビンのようなものを取り出し、その蓋を開けた。


「あっ、こいつ……!」


 解毒剤か何かと見たシャルルは、飲ませないように飛び掛かろうとするが、それよりも早くグリードはビンごと口に入れてしまった。


「んぐっ、ご、ぐ、ん、ぐ……」


 解毒剤はもう喉を通ってしまっただろう、こうなったらハイヒールの中に仕込んでいる毒薬を直接振り掛けるしかない、とアイリスはハイヒールを脱ごうとするが、


「ん……ご、ぼぁっ!?がっ、げっ、おっ、おぼごがあああああ!?」


 解毒剤を飲んだはずなのに何故かもがき苦しみ始めるグリード。


「いっ、だいっ、いだ、イヨぉっ、ぐ、ぐルぢイィ……!」


 肥満体の内側からボコボコと何かが激しく脈打ち、グリードの正装を突き破っていく。


「な、なにっ……何が起きてるっての!?」


 グリードの明らかな異常を前に、シャルルは思わず後退る。


「だ、だず、げ、ぺっ、ごば、か、か、ガ…… ア" ア" ア" ……」


 次第にグリードの身体が膨張し、毒々しい紫色に変色していく。


 やがて――

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― 新着の感想 ―
うわわ。まず、お嬢様だと(私が)みくびってたアイリスの大胆行動に驚き、ついでまさかのホラーな事態にまた驚きました。 リオ、早く助けにきてー。
悪徳領主はヤベェもんに手ェだしたもんだ二重の意味で。 そんでそれはいったいどんなやべぇ切り札というか禁じ手なんでしょうなぁ。 次回も楽しみです。
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