表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/57

55話 それはまるで人形のような

 翌朝。

 昨日と同じ宿屋で一晩を過ごした後、俺、アイリス、リーゼさんの三人は再びギルドの執務室に訪れていた。


 領主暗殺作戦の最終確認のため、及びアイリスのドレスの着用だ。


 今、執務室にいるのは俺とワーカーマスターだけ。

 アイリスはドレスの着用と化粧、ヘアセットのためにリーゼさんとゴンザレスさんに、別室へ連れられている。


 アイリスを絶世の美少女に仕立て上げるために、今しばらく時間が掛かっているので、俺は一足先にワーカーマスターと暗殺作戦の最終確認を行っている。


「リオ君、本作戦における君の役目は昨日に話した通りだが、屋敷の見取り図は頭に入っているな?」


「見取り図と、脱出ルートは完全に覚えたつもりです」


 そう。

 俺に与えられた役目は、『万が一アイリスがグリード暗殺に失敗し、それが露見してしまった際の、脱出ルートの確保、及び護衛』だ。

 アイリスとは事前に、暗殺が露見してしまった場合、屋敷のどこから逃げるかを決めている。

 そこを邪魔されないように守る、もしくはアイリスの逃走を援護するのが俺の役目。


 また、商隊に類が及ばないように、アイリスは商隊と無関係な存在として扱い、俺とリーゼさんと言う冒険者二名を護衛に従えた旅のお嬢様、と言うのがバックストーリー……と言うか、追及を逃れるための言い訳だ。


 逃走に成功した場合はネオライトには戻れないので、周辺の村や集落に落ち延びつつ、頃合いを見て商隊と合流する。


 暗殺に成功すれば騎士団が動き、失敗すれば俺とリーゼさんが動く、と言うわけだ。


「それは重畳。場合によっては君とリーゼさんに負担をかけてしまうが、よろしく頼む」


「お気になさらず。いざとなったらアイリスの代わりに、俺が領主を抹殺して逃げるだけです」


「そうならないことを祈るばかりだ」


 グリードの圧政のせいでこの人も随分苦労しているようだ、もしアイリスがしくじったとしても、グリードの抹殺だけは俺がやってやる。


「ハァ~イ、お・ま・た・せ♪」


 すると別室にいたゴンザレスさんが執務室に戻ってきた。


「このアタシ渾身の力作よぉ。アイリスちゃーん、どうぞー」


 ゴンザレスさんに呼ばれて、アイリスと、その一歩後ろに控えているリーゼさんが入っ――


挿絵(By みてみん)


 ま さ に 目 を 奪 わ れ る 美 し さ だ っ た 。


 アッシュブロンドのロングヘアは後頭部辺りにアップされ、飾りすぎないアクセサリ、普段はしていない薄化粧、少し露出が多いもののいやらしさよりも機能美が上回る、黒のドレス。


「どぉ?アイリスちゃんスタイルいいし、元の素材が最高だからぁ、本当はお化粧なんてしなくてもいいくらいだけど、ちょっとだけ、ね?」


 これこそ絶世の美少女よぉ、と片目を閉じて自信満々に言ってのけるゴンザレスさん。


「いやぁ、アイリスさんは美少女だとは思ってたけど、いざこうして着飾ってみると想像以上。頭に"元"が付くとはいえ、さすがはお嬢様だね」


 同性であるリーゼさんも大絶賛。


「はいリオくん、どう?」


 いきなり話を振ってきた。


「え、俺ですか?」


「もちろん。ほら、この紛うことなき絶世の美少女・アイリスさんを見て、どう思う?」


「どう、ですか……」


 どうだと言われてもな……

 "黒は女を美しく魅せる"と聞いたことはあるが、それはつまりこう言うことなんだろう。


 これが、アイリス・エイルブルーと言う女性の、公爵令嬢としての本来の姿。


「……普段のアイリスとは、まるで別人みたいですね。本当に、綺麗だ」


 それ以外に言葉が出ない。溜め息が出るような美しさとも言える。


「ふふ、ありがとうございます」


 俺の忌憚の無い感想に、アイリスはニコリと目を細め、


「ッ……」


 その微笑に思わず寒気が走った。

 微笑の仮面ではない、これが素顔だと勘違いしてしまうかのように自然で、それでいて完璧な微笑。


 ――()()()()()()()()()――


 普段の素のアイリスを見慣れていたのもあるからか、今のこの人形のようなアイリスを見て、怖じ気すら覚える。


「完璧だな。これならばグリードの目も眩むだろう」


 何を感じているかは分からないが、ワーカーマスターはあくまでもグリード暗殺のための演出であると割り切っているようだ。


「……ちなみにリーゼさん、アイリスの武器はどこにしまっているんです?」


 護身用と称しても、屋敷に入る以上は帯剣は許されないだろうから、"暗器"を仕込む必要があるはずだ。


「右の腰に毒塗りナイフと、ハイヒールの中に毒薬。どっちも即効性の猛毒だから、皮膚に触れただけで殺っちゃえるよ」


 何それ怖い!?


「おいちょっと待て!そんなもん持ってるアイリス本人も危険過ぎるだろ!?」


 思わず素で言ってしまった。


「ふふ、大丈夫ですよ」


 そんなやべーもの持ってるアイリスは、やはり人形のような微笑……と言うか声色もさっきと全く同じだ。あまりにも完璧で逆に怖いんだが。


 まぁ……毒殺なら致命傷を与えられなくても、解毒薬でも飲まない限りはきっちり殺せるから、暗殺の手段としてはより確実か。


 さて、作戦の下準備は粗方整ったから、あとは昼過ぎ頃――グリードが姿を現すのを待つだけか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おみそれしやした<(_ _)> いやぁさすがは元貴族ですよねぇ。 にしてもやべぇ毒ですねぇ。 そっちの方もおみそれしましたよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ