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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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46話 それは思いやりが故に

 ルインは、俺をパーティから追放しようと決断した、その理由を話し始めた。


 曰く、俺の【タイム連打】スキルがハズレスキルだから、冒険者としていずれどこかで頭打ちになるだろうと思った。


 今はスキルに頼らない実力 (なお、実際は【タイム連打】スキルを駆使した実力)でなんとかなっているが、これから先階級が上がるに連れて、スキルを使いこなせない (勘違い)俺が苦戦することが多くなり、やがて命を落とすかもしれない。


 ルインやスコット、ヒルダが俺を守るにも限度はある。だから、「俺達はこれからもっと有名になるから、ハズレスキル持ちのお前はパーティにとってマイナスでしかない」と言う、それらしい理由を並べて俺を追放した。


 実際のところは、俺を死なせたくないから敢えて突き放した……と言うことだ。

 スコットやヒルダも、ハズレスキルを理由にして俺を追放するのを最初は止めようとしたそうだ。


 確かにリオはハズレスキルかもしれないが、スキルが有用でなくても、単純な実力でパーティを支えてくれていたじゃないか、と。

 あるいは、【タイム連打】スキルは本当にただのハズレスキルなのか分からないだろう、と。


 結局はルインの決断によって俺の追放が決定し、スコットはわざと憎まれ口を叩き、ヒルダは何も言えなかった。


 が、俺を追放した途端に【紺碧の刃剣】は坂を転がり落ちるように失敗が続いたらしく、俺が抜けた穴は想像以上に大きかったようだ。


 ――そして今、俺を追放したルイン達を、追放された側である俺が助けて、今に至る。


「……今になってやっと分かった、"逆“だったんだ」


 語り終えたルインは、脱力したように項垂れた。


「逆?何がだ?」


「オレは、お前がパーティのお荷物になるから、死なせたくないからパーティから追放した。でも実際はそうじゃなかった、お前にとってのお荷物はむしろオレ達三人だった」


「別に俺は、三人のことをお荷物だとか、足手まといだとか、そんなこと思ってないぞ?」


 これは、俺の本心からの本音だ。

 スラム時代からのよしみとかそんな理由じゃなくて、俺達四人にはそれぞれ向き不向きがあって、それを上手いこと補い合っていると、そう思っていた。

 しかしルインは「そうじゃねぇ!」と地面に拳を叩き付けた。


「お前がいなくてもオレ達は戦えると思ってた……けどそうじゃなかった!お前がいなくなった途端このザマだ!オレ達がお前を守ってたんじゃない、お前がオレ達を守ってくれてたんだ!ずっと!なのにオレは、お前のことをハズレスキルだから弱いって、勝手に決めつけて……っ!」


「仲間なんだから、助け合うのは当然だろ」


 何を当たり前のことを、と返したら、今度は逆にルインが俺の胸ぐらを掴んだ。


「リオさんっ」


 アイリスが割って入ろうとしたが、「手を出すな」と制止する。


「ガキの頃からそうだ……いつだってお前は、「仲間なんだから」で泥を引っ被るようなことを平気でやる!」


 と、言われてもな。それが俺の生き方で、俺のやりたいことだったから。


「お前がそうやって笑って泥被ってるのを見せられて!オレがどれだけ惨めな思いをしてきたと思ってやがる!」


「それは『ルインの役目じゃなかった』からだ。いつだって先頭に立ってカッコつけて、カッコいい背中を見せようとしてくれたから、俺も自分に出来ることを、……泥臭い役は、俺が引き受ければいいって思ったんだよ」


 スコットもヒルダもそうだろ、と二人に目を向ければ、二人とも無言で頷いてくれた。


「っっっ……!」


 悔しさに顔を歪め、俺を殴ろうと拳を振り上げ――フッとそれを下ろした。


「殴らないのか」


「ここで殴ったら、お前に助けられたオレは恩知らずだ……そこまで落ちぶれたくはねぇ」


 胸ぐらも離し、尻餅をつくように座り込んだ。


「ルイン……」


 ヒルダが気遣わしげにルインに寄り添う。


「今更になって【紺碧の刃剣】に戻ってこいなんて言えるかよ……そんなの、カッコ悪すぎる」


 だろうな、そんなことはルイン自身のプライドが許さないだろう。


「リオがいなきゃこのザマで、リオはもう新しい居場所を見つけちまった……オレ達はこれからどうすりゃいいんだ……!?」


 両手で顔を覆い、嘆くルイン。

 こんな弱々しいルインは、初めて見たかもしれない。


「……ウチの商隊に来るか?」


 アンドリューさんに話を通せば、銀級三人くらい受け入れてくれるだろう。

 が、ルインは頭を振って俺の誘いを遮った。


「そんな情けっ、そっちの方が余計惨めだろうが……っ!」


 パーティから追い出した奴が、追い出された先で新しい居場所を見つけた挙げ句、一緒に来るかと誘われる……そんなの屈辱だって言うのは分かるけどな。


「なら、どうするんだ。今のまま冒険者を続けていたら、……近い内に、死ぬぞ」


「そ、そん、……」


 そんなことはない、と言いかけたのだろうが、さっきブレイドビートルに殺されかけた上に目の前の俺に助けられたのもあって、強く言えないでいた。


 ――今のルイン達を見て「俺をパーティから追い出したからこんなことになったんだよ、ざまぁ見ろ」とは言えないな……

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― 新着の感想 ―
なるほど。 守りたいからこそだったのか。 今まで見た追放系とは違ってクソじゃない理由でよかった。 ただ、それでもなぁ。 これはちょっとこじれそうですなぁ。
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