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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第1章 大親友として──
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第9話 変な勘違い

   ◆◆◆



「づ……づがれだ……」

「お、おう。お疲れ」



 放課後、いつも通り奏多の家に集まっていると、随分と疲弊した様子だった。

 そりゃそうか。横目で見てたけど、今日もかなりの人数が奏多と話そうと押し寄せてきていた。九条と萬木がガードしても、限界はある。

 そのせいか、転校3日目にして人酔いしたみたいにダウナーだった。

 ソファーに座る俺の脚を枕にして、じたばたと文句を垂れる。



「みんな、そんなに転校生が珍しいかねぇ。ぼくとしてはゆっくり京水と一緒にいたいのに」

「転校生がってより、相手が奏多だからじゃないか?」

「何それ。どういうこと?」



 どういうことも何も……単純に奏多の美貌に群がってるだけだろう。

 女からしたら、「こんな可愛い子と友達の私、イけてる」ってなるだろう。

 男からしたら、「可愛い女の子とお近付きに……できればワンチャン」って邪な気持ちがある。

 なんにせよ、下心丸出しなことには変わりない。



「お前、客観的に見て可愛いからな。一緒にいればいろんな恩恵があるって思われてんだよ、きっと」

「ぼくはアクセサリーじゃねーっつーの」



 おえ、と舌を出す奏多。アクセサリーか。言い得て妙。



「それじゃ、そろそろ買い物行こうか。今日は何が食べたい?」

「煮魚!」

「しっぶ」

「いいだろ別に。マミーのご飯食べて、和食に目覚めちゃったんだから」



 まあ、油ギトギトの洋食よりは、健康的でいいチョイスか。

 2人並んで家を出ると、この辺で一番大きく、格安のスーパーに向かっていく。

 放課後の時間帯だけど、誰かに遭遇することはないだろう。あそこの買い物層は、主婦や主夫がメインだから。

 因みに大方の調味料は、昨日のうちにネットショッピングで注文して、もう届けてもらっている。だから今日買うのは、2人分の食材だけだ。



「にっざかっなみっそしっるご・は・ん~♪」

「何それ」

「煮魚味噌汁ご飯の歌。作詞作曲、ぼく」

「まんまじゃねーか」



 夕飯のメニューでそこまでテンション上がるの、子供くらいだぞ。






 歩くこと10分弱。何ごともなくスーパーに到着。

 思った通り、主婦や主夫がたくさんいるが、制服姿の生徒はいない。いたら困るけど。

 日本のスーパーが懐かしいのか、奏多はあちこち見回して楽しそうに食材を眺めていた。

 自炊をしてなかったって言うし、こういう生鮮食品がある場所は珍しいんだろう。

 子供のようにうろちょろする奏多を横目に、野菜や肉、魚をかごに入れていく。冷蔵庫はデカかったから、これくらいなら詰め込めるだろう。

 ……ん? なんだ、このお菓子は? 入れた覚えのないお菓子が大量に……って。



「奏多、ステイ」

「What?」

「お菓子戻してきなさい」

「Why!?」

「いくらなんでも入れすぎだ、バカタレ」



 もうカゴいっぱいに積まれている。どんだけ買う気だ、こいつ。



「え~。お菓子はぼくの心の栄養なんだよ? 少しくらい……」

「限度を考えろ。どこが少しだ。お菓子は3つまでです」

「ぶぅ」

「……肥えるぞ」

「グサッ。な、なんだろう。太るより肥えるの方が心に来る……うぅ、わかったよぅ」



 わかればよろしい。

 奏多は渋々お菓子を棚に戻すと、何を買うか吟味し始めた。

 横顔は真剣そのもの。まあ、ゆっくり選べばいいさ。

 その間に、俺も食材をカゴに入れていく。今日の分だけじゃなくて、明日以降のも買っておかないとな。

 ……と言っても、買いすぎかな。金は火咲家のものだから、セーブしないと。

 あ……そういや、好きなものは聞いてても、嫌いなものは聞いてなかったっけ。まずった。先に聞いておけばよかった。まだお菓子コーナーかな。

 生鮮食品コーナーから、お菓子コーナーに向かう。と……。



「えー。いいじゃん火咲サン。一緒にカラオケ行こうぜ」

「暇してんでしょ? 俺ら絶対楽しませっからさぁ」

「だから、暇じゃないって何度も言ってますよね」



 奏多が、同じ学校の奴らに絡まれていた。

 確か同学年だが、別クラス。名前は知らないけど、ヤンキーってより陽キャって部類だ。

 あぁ、面倒くせぇ……スーパーだから大丈夫だと思って1人にさせたのが間違いだった。

 だからって、ここで奏多を放置する選択肢はない。困ってるときに手を差し伸べるのが、本当の親友だろう。

 少しだけ気を引き締め、「奏多」と声をかけた。



「お菓子何買うか決めたか?」

「あ、京水。うん、決めた」



 言いつけ通り、お菓子を3つ抱えてカゴに入れると、俺の背中に隠れる。

 さて、後はこいつらか。

 2人に目を向けると、まさか男がいると思ってなかったのか、見るからにうろたえていた。

 しかも苗字じゃなく、名前で呼び合う仲だ。ただの関係じゃないってのは、察してくれただろう。ただの親友だけど。



「見ての通り、こっちは忙しいんだけど。で、こいつになんの用?」

「い、いやぁ……ひ、火咲サンに男がいるなんて思わなくて、さ」

「ご、ごめんごめん。そんな横恋慕するつもりなんてないから。ホント、火咲サンもごめんね」



 困惑したように笑い、2人は足早にお菓子コーナーを去っていった。

 ほ……よかった。ここで突っかかってきたらどうしようかと。



「あー……悪い、奏多。アイツらに変な勘違いされたっぽい」

「ぼくは気にしてないよ。勝手に思わせとけばいいさ」



 奏多がそう言うなら、いいけどさ……あいつら、変な噂流さないよな……?



「それより……ありがと、京水。実はちょっとだけ、怖かった」



 俺の服をつまんで、作った笑顔を見せる。

 そうだよな。男2人に女1人。怖くないはずない。

 頭に手を乗せると、奏多は安堵するように目を細めた。奏多って、昔から頭撫でられるのが好きなんだよな。



「早く帰ろう。夕飯食って、遊ぼうな」

「うんっ」

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