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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第3章 共に夏の思い出を──

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第65話 『民宿 よろず』

 みんなと固まって駅方面に向かって歩く。当然人混みがすごく、下手すると人の波に浚われてしまいそうになる。



「奏多、大丈夫か? 俺の腕に掴まっとけ」

「う、うん。ありがとっ」



 俺は問題ないが、奏多はだいぶ辛そうだ。海での疲れも相まって、薄暗い中でもわかるくらい顔色が悪い。

 特に奏多は超の付く美少女で、体つきなんて美少女を通り越して芸能人ですら裸足で逃げだすレベル。人混みの中の男が怖いんだろう。

 俺の腕に抱き着き、周囲から自身の体を守る。

 そのせいで、胸が俺の腕を包み込むけど、もう慣れたからあまり気にならない。

 ……はい、嘘です。めっちゃ意識しちゃいます。てか、思春期男子高校生にこの暴力的なおっぱいを意識するなという方が無理だろう。



「This is Japanese rush……」

「就職したら、これが毎日あるのかと思うと気が滅入るな」

「ぼく、日本で働けないかも」



 んな大袈裟な。

 辛そうにしている奏多を伴っていると、前を歩いていた杠が振り返った。



「ん? カナタ、大丈夫?」

「う、うん。ちょっと、気分が悪くて……」



 引きつった笑顔を見せる奏多に、杠は人混みを掻き分けて近付くと、横に寄り添った。



「頑張って。もう少しで駅だからさ」

「あ、ありがとう、小紅ちゃん」

「悪いな、杠。ありがとう」



 左右から友達に抱えられ、安心したような笑顔を見せる奏多。

 このまま行けば、もうすぐ駅だ。座れはしないだろうけど、地元に近付けば人は減るだろうし、それまでの我慢だな。

 少しずつ駅に向かって歩くこと数分。ようやく改札が見えてきたけど……なんか様子がおかしい。誰も改札を通ろうとしないというか、駅員が何かを説明しているみたいだ。



「氷室くん」



 と、先に着いていた九条と萬木が、こっちの方に戻ってきた。



「九条、これどういうこと?」

「なんでも、路線近くの工場で火災が発生して、運休になってるみたい。いつ復旧するかわからないって言っていたよ」



 ゲッ、マジかよ。さすがにそれは予想外だった。

 奏多もそろそろ限界だし、どうしたら……。

 俺の腕に抱き着いて、目を閉じてぐったりしている奏多の頭を撫でる。

 と、どこかに電話をしていた萬木が、「ありがと~」と言って俺たちの方を見た。



「よーし。みんな、移動するよー」

「ん? 萬木、どこか宛があるのか?」

「親戚が近くで民宿やってんの。事情説明したら、今日部屋用意してくれるって」



 マジかよ。萬木一族、なんでもやってるな。



「ただ、夏休みだからどうしても一部屋しか用意できなくてさ。キョウたんも同部屋になるけどいい?」

「あ、じゃあ俺電車が動くまで待ってるから、4人でどうぞ」



 さすがに女子4人と雑魚寝はダメだろう。いくら奏多とは半同棲してるからって、他は女友達だ。無いとは思うが、変なことになったら目も当てられない。

 が、4人はそうは思ってないようで。



「ウチは気にしないけど」

「私も。氷室くんなら問題なし」

「もちろんアタシも」

「京水、かっこつけなくてもいいよ」



 問題あってくれ。せめて1人は嫌がってくれ。

 けど、正直ここで待っててもいつ復旧するかはわからない。疲れも溜まってるし……仕方ないか。



「じゃあ……お願いするか」






 駅からロータリーに移動すると、萬木の従姉妹のお姉さんが車で迎えに来てくれていた。従姉妹なだけありそっくりだ。本当に年上かってくらい若く見えるけど。

 車で走ること15分。海を見渡せる山の上に、『民宿 よろず』がある。

 自然豊かかつ綺麗な宿で、さっき調べた限りだとかなり人気みたいだ。

 オススメは夕食の海鮮懐石。なんと、萬木の計らいで飯まで用意してくれるらしい。

 本当、なんて感謝すればいいのやら。



「とうちゃーくー! つっかれたー!」



 2階の一番奥に通された萬木が、畳の上にダイビング。俺たちも荷物を置いて、座らせてもらった。

 あぁー、ようやく休める。疲れきった体に畳が嬉しい。

 奏多も萬木と同じように寝そべり、ぴくりとも動かない。年中無休で動き回るこいつも、空元気を出す気力もないみたいだ。



「Japanese soul “Tatami”……Very good……」

「Sorena」

「京水、それ日本語を英語っぽく言ってるだけじゃん」



 疲れすぎて頭回らんのよ。許してくれ。

 まだ元気が残ってるのか、九条と杠が手分けしてお茶を淹れてくれた。



「はい、キョウちゃん、カナタ。熱いから気をつけてね」

「ありがとう、杠」

「Thank you」



 奏多、本格的にダメそう。口しか動いてない。

 それなのに、喋る度に揺れるお胸様の壮大なことよ。眼福。

 その時、萬木のスマホに着信があり、どこかと電話をすると、のそのそと起き上がった。



「みんな、おばさんがご飯の前に温泉入ってこいってさー。今なら空いてるらしいよ」

「そうだね。海水で髪も傷んでるし……お言葉に甘えようかな」



 九条の言う通りだ。シャワーで流したとはいえ、全身が潮臭い。

 ありがたく、温泉に浸からせてもらおう。



「覗くなよ、京水」

「覗くか、バカタレ」

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