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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第3章 共に夏の思い出を──

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第55話 乙女心

 その後、機嫌を直した奏多と甘い日々を送り、約束の月曜日。

 太陽が燦々と照り付け、アスファルトの地面で目玉焼きでも焼けるんじゃないかってくらい暑い日。俺たちは待ち合わせ場所である、駅前の時計塔前に来ていた。

 ここは待ち合わせスポットとして有名で、夏休み中の学生がこの辺でたむろしている。

 その代わり日差しを遮るものがなく、照り付ける太陽光を直で浴びていた。



「あっづ~い……」

「お前が早く行こうって急かしたんだろう」

「だって楽しみで、家でじっとしてられなかったんだも~ん」



 今来ているのは、俺と奏多だけ。九条と萬木はもう少しで来るはずで、杠も今向かってきているらしい。

 さすがにミヤは、部活を休めなかったらしい。まあ、8月に入ったら遊べるだろうし、それまで我慢だな。

 奏多はつば広の帽子をかぶり、薄手の透け感のあるワンピースを着ている。ぱっと見は涼しそうだけど、どうやらこれでも暑いらしい。

 ベルトを巻いてるから、体のラインが浮き彫りだ。男たちの視線が集中している。

 まあ、近くに俺がいるから、誰も話しかけてこないけど。もっと自分の体の魅力を自覚してほしいなぁ……彼氏として心配になる。

 ジュースを呷ると、奏多が物欲しげな顔で見上げて来た。



「欲しいのか?」

「欲すぃ」

「お恵みください京水様と言ったら分けてやらんでもない」

「お寄越しください京水様っ」

「あ」



 一瞬で奪われた。油断も隙もあったもんじゃない。

 うまそうにペットボトルを呷り、見る見る内に飲み干していく。それ俺の金で買ったジュースなんですけど。まだ全然飲んでないし、俺。



「ぷはーっ、生き返る。はい、返すね」

「ミリ」



 底の方にちょびっとしか残ってないじゃん。これゴミを返されたのと同じじゃん。

 奏多に白い目を向けると、にひーっと笑みを浮かべた。こやつ、確信犯か。

 仕方なく残ったジュースをチビチビ飲んでいると、こっちに向かって3人組が歩いて来た。

 言わずもがな、九条、萬木、杠の3人だ。



「いえーい! おっまたー!」

「遅くなってごめんね、奏多、氷室くん」

「おはよ、キョウちゃん、カナタ」

「よっすー。全然待ってないよっ」



 へーい、と3人とハイタッチする奏多。杠はちょっとタジタジだ。

 それにしても……こうして九条と萬木の私服を見るのは、ほぼ初めてなような気がする。


 萬木はランタンスリーブのダボッとしたワンピースで、片側の布が肩からずり落ちている。多分、そういうファッションなんだろう。頭には夏らしく、大きめのサングラスを乗っけていた。

 九条は7分丈のズボンに、白いオーバーサイズのシャツ。頭にはキャップを着けていて、ぱっと見イケメンの男に見える。……いや凹凸がないとか変な意味じゃなくてね。だからそんな怖い目で見ないで。

 杠の私服は、中学以来だな。ショートパンツに、透け感のあるワイシャツの下の方をへそが見えるくらいに結んでいる。ワイシャツの下にはノースリーブを着ていて、いかにも涼しそうだ。



「よーしっ。それじゃあ海へ、れっつらごー!」

「Fooooooooooo!!」



 テンションがバカ高い萬木に便乗し、奏多が拳を突き上げてノる。

 そりゃあ、ようやく補習から解放されたんだもんな。テンションが上がるのもわかる。

 前を奏多と萬木が歩き、俺、九条、杠が後ろをついて行く。



「キョウちゃん、すごい汗だけど大丈夫?」

「まあ、30分くらい待ってただけだから」

「え、なんで? アタシら、時間間違えた?」

「うちのキッズが楽しみすぎて、早く行こうって聞かなくて」



 ため息交じりに言うと、九条が苦笑いを浮かべた。



「あぁ、私のところのお子様も似たようなもんだったよ。めってしたら大人しくなったけど」

「さすがママ」

「誰がママだ」



 いや、どう見ても九条は萬木のママだろ。俺にも子供の扱い方を伝授して欲しいもんだ。



「でもそんな所も可愛いんでしょ?」

「わかるか?」

「もちろん。私も同じだから」



 ほう。どうやら、九条も手のかかる萬木が好きらしい。親友ってそういうもんなのかもな。

 なんて考えていると、杠が九条を見てニヤニヤした。



「麗奈、純恋のこと大好きだもんな」

「そっ、そんなんじゃないから。変な勘ぐりしないで」

「隠さなくてもいいのに」



 ニヤニヤと詰め寄る杠と、頬を朱色に染めて顔を逸らす九条。

 親友を好きなことって、ままあると思うけど……そんなに恥ずかしがることなのか? 俺だって、『男友達』としても奏多も好きだぞ。

 首を傾げていると、杠がジト目で見て来た。



「これだから鈍感馬鹿は……もっと乙女心を勉強しろ。ね、麗奈」

「だ、だから私はそんなんじゃないから……!」



 ……わからない。なんなんだ?

 2人にしかわからないことで盛り上がっているのを見ていると、前の方から奏多と萬木が手を振っているのが見えた。

 早く来い、とウッキウキらしい。

 これ以上キッズたちを待たせると、癇癪を起しかねないからな。急ぐか。

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