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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第3章 共に夏の思い出を──

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第51話 夏・デート

 奏多と同棲を始めて、早3日。俺たちは何事もなく、悠々自適とした夏休みを過ごしていた。

 もちろん、夏休みの宿題や、やるべきことはやっているけど。でも夏休み前ほど急いで勉強する必要もない。午前中は勉強、午後はのんびりタイムと言うのが、最近のルーティンだ。


 みんなで遊びに行くのは、次の土曜日から。今頃萬木は、補習を受けてひーひー言っていることだろう。

 因みに九条も、自主的に補習に参加している。萬木1人だと可哀想だから、らしい。これが友情ってやつか。

 え? もし奏多が赤点を取ったら、一緒に補習を受けてたか? HAHAHA、トウゼンダロウ?

 ミヤは毎日部活で忙しいらしく、週末の休みは練習試合やら公式試合が入っているらしい。連休は、8月入ってから3日だけだとか。

 ブラック労働もびっくりなブラックぶり。それに付き添う先生方には脱帽だ。


 比べて、俺たちはエアコンのついた部屋で、のんびり恋人とだらけている。

 青春の費やし方は人それぞれだけど、なんかもったいないって気分になるのは俺だけだろうか。

 だからと言って、暑い外や体育館で運動したり、夏休みに学校まで行って補習を受けようとは思わないけど。

 ぼーっと天井を見上げつつ、少し下を見る。俺の腹を枕にして寝ている奏多は、眠そうにあくびを噛み殺してスマホをいじっていた。

 奏多も暇そうだ。このまま時間を浪費するのもなぁ……。

 ……どっか出掛けるか。



「奏多」

「なぁにぃ?」

「……デート行くか」

「行く!!!!!!」



 うぐぉっ!? てめ、俺の腹を支えに飛び上がるなっ。内臓飛び出ると思ったわ……!

 目を輝かせた奏多が、さっきまで見ていたスマホをこっちに向けた。



「これ! これ見て! ふわっふわのパンケーキ!」

「ん? パンケーキが食べたいのか?」

「うん! うっすいのじゃなくて、分厚くてぷるんぷるん震えるやつ! アメリカでは薄くてもちもちしたものが多かったから、こういうの食べたことない!」



 鼻息荒く興奮している。相当、お気に召したようだ。

 スマホを見せてもらうと、確かに分厚くてふわふわだ。柔らかすぎて、皿に乗っているのに自重で崩れてしまっている。

 種類も豊富で、ベリー系ソース、チョコバナナ、紅茶の練り込まれたパンケーキ。期間限定なんかもある。

 なるほど、これは確かに美味そうだ。



「いいな。俺も食いたくなってきた」

「Jesus!! This is the best day ever!!(マジ!? さいっこうの日だね!)」



 余程デートのお誘いが嬉しかったらしい。

 まあ、毎日部屋に籠って何もしない日が続いたら、誰だって気が滅入るか。



「着替えてくる! 京水も、早く準備してね!」

「はいはい」



 暑い中、外に行こうだなんて微塵も思わなかったのに……奏多の笑顔を見れるなら、十分外に出る価値あるな。

 九条と萬木には悪いけど、一足先に夏を満喫させてもらおう。


 適当に服を引っ張り出し、部屋着から着替えて鏡の前で髪を整える。

 それからわずか数分後。2階から奏多が跳ぶように降りて来た。

 へそ出し白シャツに、デニムのショートパンツ。頭にはキャップを被り、目元はサングラスを掛けていた。

 背中に背負ってるリュックには、お気に入りのシロクマのキーホルダーが付いている。



「おっまたー! 行こ、京水!」

「ああ。行くか」



 2人で奏多の家を出ると、ムワッとした熱気が体を包んだ。アスファルトからの反射熱も熱い。ずっと立ってたら、焼肉になりそうだ。

 それでも奏多は気にしていないみたいで、うきうきとステップを踏んで駅前に向かっていく。



「って、奏多。どこのパンケーキ屋に行くか決めてるのか? 確かあの店、チェーン店でいろんな所に出店してるみたいだけど」

「ぼくとしては、あまり東京に行かないから、そっちがいいんだけど……さすがに暑すぎて、そこまで遠くに行く気力はないかなぁ。神奈川に一店舗だけあるし、そっちでいいんじゃない?」

「わかった」



 元気いっぱいの奏多も、この暑さでは遠出する気力もないらしい。

 まあ近場で済ませられるなら、それでいいか。

 うきうき、らんらん。楽し気に鼻歌を口ずさむ奏多を伴って電車に乗り込み、目的のパンケーキ屋のある駅まで揺られていく。

 当然と言っては当然だが、その間も奏多は注目の的。男たちの邪な目線を一身に受けていた。

 ……次デートする時は、もう少し露出の少ない格好をしてもらおう。最愛の彼女が男の下卑た目に晒されるの、嫌すぎる。

 電車内だろうが構わず奏多を抱き寄せると、きょとんとした顔をしたが、すぐ満面の笑みを見せて擦り寄って来た。



「もう、甘えん坊さんだなぁ、京水は。昔っから変わらないね」

「そ、そんなことないだろ。甘えん坊は奏多だった」

「いつも泣いてぼくに助けを求めてたのは君だったよ」

「奏多」

「京水」



 じっと互いを見つめるように睨み合っていると、どちらともなく息を吐いて苦笑いを浮かべた。

 何をしてるんだ、俺たちは。これじゃあ、傍から見るとバカップルじゃないか。あー、恥ずかしい。

 ……でも絶対、奏多の方が甘えん坊だった。絶対。大事なことだから2回言いました。

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