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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第2章 恋人として──

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第41話 悶々とする想い

「だーめだー! わからーーーーん!!」



 遂に奏多がぶっ倒れた。というか机に突っ伏した。

 今日と明日は休日。朝から勉強漬けというだけでやる気が削がれているのに加えて、連日の勉強で嫌になってしまってるらしい。

 まあ、気持ちはわかる。俺だって逆の立場だったら、頭がおかしくなると思うし。

 けどこれは、奏多のためだ。夏休みに思う存分遊ぶため、今頑張るんだ。



「頑張れ、奏多。もう半分くらいは取れるようになってるじゃないか。それに、あと1週間でテストだ。これを乗り切れば、理想的な夏休みが待ってるぞ」

「うぅ……いっしゅうかん……ながい……あまりにも、ながいよぅ……」



 あらら、縮こまってしまった。しょうがない子だなぁ。

 仕方なく頭を撫でていると、何かを期待するような顔で見あげてきた。

 因みに、これくらいのスキンシップではもう恥ずかしくないらしい。ハグのショック療法が効いたっぽい。



「京水〜、もう少し手加減してにゃん♡」

「無理にゃん」

「にゃぁ〜ん……」



 そんな悲痛な鳴き声を上げても、ダメなものはダメです。



「うぅ……京水、厳しい……向こうの友達はもっと甘かった……」



 ──もや


 あれ、まただ。俺の知らない奏多の話しをされると、心の奥底にもやもやしたものが出てくる。

 というか……アメリカの友達と比べられてるみたいで、嫌だ。悶々とする。

 ビデオ通話の時もそうだったし……俺、こんなに心狭い男だっけ。



「甘いだけが友情じゃないだろ。時に厳しいのも友情だ」

「ぼくは褒められて伸びるんだよぅ。今までの友達はもっと褒めてくれたもん」



 ──もやもや


 あーくそっ。ダメだって、この気持ちは。仕方ないだろ、俺の知らない奏多がいるのは。こいつだって悪気があって較べてるわけじゃないんだし。



「はいはい。どうせ俺は厳しいだけの男ですよ。明日は休みにするから、それまで頑張ろうな」

「ぶぅ〜……京水がもっと甘かったらなぁ。向こうだとみんな──」



 ──イラッ



「そんなに向こうがいいなら!! ……ぁ」



 ……やば、ダメだ。これ以上は、ダメだ。



「きょ……京水……?」

「……奏多がアメリカでどんな交友関係があって、どんな生活を送ってるのか知らねーけどさ……じゃあなんで……!」



 ──なんで、帰ってきたんだ──


 これは言えない。言っちゃいけない。

 これ以上一緒にいたらダメだ。絶対、奏多を傷つける。それだけはダメだ。



「……わり。今日は帰るな」

「ぁ……」



 荷物をまとめて、足早にリビングを出る。

 呆然としていた奏多が慌てて飛び出してくると、俺の腕を掴んだ。



「きょ、京水っ、どうしたの急に……!」

「いや……奏多は何もしてないよ。俺の心が狭すぎるのが悪いんだ。……ごめんな。ちょっと冷静になる時間をくれ」

「京水!」



 静止する声を振りほどき、奏多の家から出ると走り出した。

 あぁ……最低だ、俺。



   ◆奏多side◆



 ……え……えっ、え……? か、帰っちゃった……な、なんで……?

 ぼく、京水を怒らせちゃった……? べ、勉強しなさすぎて怒らせちゃったのかな……?


 玄関で呆然とする。どうすればいいのかわからない。心臓が嫌な感じで高鳴ってうるさい。

 どれくらい呆然としてたのかわからないけど、慌てて外に出るが、もう京水の姿はどこにもない。


 やばい。何がやばいって、京水を怒らせちゃったのもそうだけど、どんな理由で怒らせちゃったのかわからないのがやばい。

 このままじゃダメな気がする。これを放置してたら、将来的に絶対まずい。

 慌ててリビングに戻ってスマホを手に取る。

 京水に電話を掛けてみるが、出ない。何度コールしても、出ない。

 まずいまずいまずい。どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 どうすればいいかわからず、なぜか純恋さんに電話をすると、ワンコールもしない内に出た。



『カナち、もしもし! よかったぁ、電話掛けてきてくれてっ。麗奈が休日でも離してくれなくてさぁ!』

『人聞きの悪いこと言うんじゃない。勉強してただけでしょ。おはよ、奏多。氷室くんも一緒でしょ。おはよう、氷室くん』



 あ……そっか。2人も休日なのに勉強してるんだ。



「ご、ごめん。勉強してるのに……」

『ううん、そんなことないよっ。……カナち、元気ない? どした?』

「それが……」



 ついさっきまで京水と勉強していたけど、ぼくが駄々を捏ねたから怒らせてしまったことを説明した。

 2人は黙って聞いてたけど、麗奈さんが『うーん』と唸った。



『本当に駄々を捏ねただけだったら、あの氷室くんが怒るとは思えないけどなぁ。他に心当たりはない?』



 えぇ、なんだろう。無意識で喋ってたからな……あ。



「確か、アメリカの友達はもっと甘やかしてくれたとか言ったような……」

『『それだ』』

「え!?」



 何がそれなんだろう。まったくわからない。

 でも、2人の顔は見えないのに、頭を抱えてるのはわかる。



『奏多、それ何回か言ったろ。さすがに1回じゃ、もやっとするだけで怒らないとは思うし』

「……多分……?」



 本当に無意識だったから、正確な数はわからないけど……何回かは言ったと思う。



『カナち、逆の立場になって考えてね。もしキョウたんが、カナちより中学の時の友達の方が優しいとか、甘やかしてくれたって言ったら、どう思う?』



 ──もや



「……なんか……嫌かも。……あ」



 ここまで言って、ようやく気付いた。

 ばかだ、ぼく。ばか過ぎる。呆れてものも言えない。



『カナちのことだから、アメリカにも友達はたくさんいたでしょ。男女問わず』

「う、うん。いた」

『もう1度考えてね。キョウたんの中学の女友達が、キョウたんに優しくしたり甘やかしたりしてたら……どう思う?』



 ──イラッ



「ごっ、ごめん2人とも、ありがとう! またね!」



 あーもうっ! もう人のこと鈍感なんて言えないよ、ぼく!

 急いで上着を着て、京水を追って走り出す。

 家? 気分転換に駅?

 いや違う。京水のいる場所なんて、あそこしかない……!

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