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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第2章 恋人として──

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第35話 テーブルの下の攻防

 やる気になった奏多と、勉強したくない勢少数派になった萬木を座らせ、まずは各自の苦手な部分を話し合う。



「俺は理数系が苦手だ。勉強すれば赤点は回避できるレベルだけど」

「私は特に苦手なものはないよ。一応、純恋を高校に入学させたという信頼と実績があります」



 萬木にとっては不名誉すぎる信頼と実績だな。こう言っちゃなんだけど、見た目通りと言うかなんと言うか。

 残る2人に視線をやると、サッと視線を逸らされた。



「奏多、萬木。2人は何が苦手なんだ?」

「えーーーーっちょ……そにょぉ〜……」

「ひゅー、ひゅ〜……」



 脂汗を垂らし、指をもじもじさせる2人。

 九条と共に無言で見ていると、観念したように口を開いた。



「ぼ、ぼくは英語以外壊滅的といいましゅか……」

「ウチ、体育は得意です、はい……」

「マジか」



 2人とも、ちゃんと入学試験と編入試験受けたんだよな。どうしてそうなるんだ。



「こりゃ、骨が折れるな……」

「だね。私はいつも通り、純恋をしごくからいいとして」



 冷たい笑みを浮かべる九条。どんだけ厳しくするつもりだ。見ろ、萬木が奏多のおっぱいに隠れちゃっただろ。



「けど、さすがの私でも2人同時は面倒見れないよ」

「……はぁ。奏多は俺がなんとかするよ。できるだけやってみる」

「おお、頼もしい。やっぱり性欲の原動力は凄まじいね」

「喧しい」



 まあ、そういう考えもゼロじゃない。俺だって思春期真っ盛りの男の子だ。しかも彼女できたて。邪な考えがあってもいいじゃないか。むしろ、逆に健全と言っていい。



「うちの学校の期末試験は、6月末から7月頭の1週間。まだ試験当日までは、2週間もある。それまでに、まずは基礎から叩き込む」

「はい、京水先生!」

「なんだね、奏多くん」

「先生もぶぁかなのにぼくに教えられ──」



 ゴスッ!!



「もぎゅっ!?」

「あ、すまん。ついイラッと来ちゃって」

「だからってグーはないだろ、グーは!」



 涙目の奏多の頭を撫でると、最初は唸り声で威嚇してきたのに、少しずつ顔がとろんとなった。

 今の時代に暴力はまずい。反省。



「はいはい。氷室くん、奏多。イチャイチャしてないで、勉強するよ。時間はないんだから」

「い、イチャイチャしてないもんっ……!」

「そうだぞ。俺たちが本気出したらこんなもんじゃすまない」

「京水!?」



 何顔を赤くしてるんだ、奏多。言っておくけど、お前の方が距離感バグってるんだからな? あれに較べたら、今なんてイチャイチャのイの字もないだろ。



「どうしよう。ウチ、お腹いっぱいなんだけど」

「私も」



 ジト目の2人の圧に負け、咳払いをしてダイニングテーブルに座る。俺と奏多が隣。対面に九条と萬木が並んで座った。

 萬木は、九条が怖いからか真面目に勉強している。

 対して奏多は……。



「うぐぅ……ニホンゴ、ムズカシイ……」

「あ、そうか。日本語で書いてあるから、理解するのに時間が掛かるのか」

「Yes...Japanese,doesn't make any sense(うん……日本語、意味不明)」

「I feel youわかるよ



 思わず苦笑いを浮かべた。日本語って、日本人の俺たちでさえ意味不明な部分があるのに、帰国子女の奏多からしたら更にわからないだろう。



「I don't know anything about "Answer the feelings of the characters"...!(「登場人物の気持ちを答えなさい」とか知らないし……!)」

「I understand your feeling, but...(気持ちはわかるけどさ……)」



 文系の俺でも、俺もこの手の問題は苦手だ。奏多に、これを解けというのは酷だろう。

 なら長文読解でも、もっと別の問題を……ん?

 視線を感じて顔を上げると、九条と萬木がぽかんとした顔をしていた。



「どうした?」

「え、いや……氷室くん、英語喋れたの?」



 そういや、こいつらの前で喋ったことなかったっけ。



「奏多がアメリカに行ってから、英会話教室に行ってたんだ。今でもたまに勉強してる」

「へぇ〜(ニヤニヤ)」

「ふ〜ん(ニヤニヤ)」



 何ニヤニヤしとるんだ。別に当時から好きだったとか邪推すんなよ。昔は『男友達』だと思ってたんだからな。

 消しゴムの角をちぎって、2人に弾き飛ばす。見事にひたいに着弾。恨めしそうな顔をされたが、知らん。


 根気よく奏多に説明を続けると、辛うじて理解し、問題を解き進める。地頭は悪くないみたいだ。

 文系は本当に苦手みたいだけど、暗記科目や理系はまだ救いがある。こっちはあとでやるとして、やっぱり問題は国語か。

 まあ、ここは地道に──さわ……。え?

 脚に変な感触があって覗き込むと、奏多が長く、美しい脚を絡ませてきていた。



「ッ?」



 あまりの淫靡な動きに、鼓動が急激に早くなる。

 さすがにこれじゃあ2人にバレる。奏多を咎めようとすると、シャーペンを自身の唇に付けて、妖艶に笑った。

 密かにイチャつきたいという恋人の(甘い)顔と、バレるかバレないかのスリルを楽しみたいという大親友(いたずら好き)の顔に、つい押し黙ってしまった。



「ねえ京水。ここはどう考えるの?」

「こっ、ここはだな……」



 脚に絡みつく熱に苦闘しつつ、奏多の質問に答える。

 この……勉強したくないからって、俺の邪魔するんじゃないって……!

 俺も対抗するように、奏多の脚に自分の脚を絡ませる。

 ピクッと反応し、頬を朱色に染めた奏多が、負けじと両脚を使ってきた。

 おまっ、両脚は卑怯……!



「あー、こほん」

「「!!」」



 九条の咳払いに我に返った。あれ、俺、今何を……?



「ねえ純恋。私たち邪魔みたいだから、帰ろうか」

「ウチもそう思ってた」

「ごっ、ごめん、調子乗りましたっ」

「悪かった……」



 奏多の補習は俺にかかってるのに、遊びすぎた。反省。

 ジト目を向けてくる2人に俺たちは平謝りをし、とにかく勉強に集中するのだった。

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