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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第1章 大親友として──

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第32話 控えめに言って、腹が立つ

 案の定、無断で学校を休んだことで激怒した母さんにぶん殴られた翌日。今朝はミヤと一緒に、学校に向かっていた。

 ミヤにも心配かけたからな。諸々の説明をしてやらないと。

 粗方の説明を終えると、ミヤはきょとんとした顔で目を瞬かせた。



「えっ。もう付き合い始めたの? あんなに思い悩んでたのに?」

「まあいろいろあってな。心配かけて悪かった」

「んーん。僕は特に心配してなかったよ。キョウの鈍感さにはドン引きしたけど」

「そんなにか」

「一瞬友達やめようかなって思った」

「そんなにか!?」

「冗談だよ♪」



 嘘だ。本気の目だったぞ、こいつ。九条と萬木にも言われたけど、そんなにわかりやすい関係だったのか、俺たち。



「もしかして、俺って相当鈍い?」

「控えめに言って、腹立つくらいには」



 オゥ、辛辣。言い訳はしないけど、落ち込むな。

 


「なんにせよ、よかったね。彼女ができてさ」

「まあ……そうだな」

「……嬉しくないの? 今や名実ともに学校一の美少女と付き合えたのに」

「嬉しいに決まってるだろ」



 身内のひいき目に見ても、学校一どころか、日本中の同年代でも奏多ほどの美少女はなかなかいないだろう。容姿やプロポーションはもちろん、いたずら好きで、男友達のように遊べる性格だって最高だ。

 奏多を好きと自覚してから、正直あいつに触れたくて触れたくてたまらない。デートだってしたいし、常に一緒にいたい。

 なのに、好きすぎて触れられないとか……そんなんありかよ。お預けもいいところだ。

 深いため息をつくと、ミヤが心配そうに顔を覗き込んできた。



「元気ないね。本当、どうしちゃったのさ」

「……なあ、相談していいか?」

「もちろん。僕とキョウの仲じゃないか」



 ついさっき、友達やめようかなって言い出した奴と同一人物とは思えない爽やかスマイル。殴りたい、この笑顔。

 端的に、今俺たちの現状を説明した。ミヤは真剣な顔で「なるほど」と頷くと、困ったように目じりを下げた。



「こればっかりは、火咲さんの気持ちが落ち着くまで待つしかないんじゃないかな。ここで変にぐいぐい行くと、余計拗れそうだよ」

「だよなぁ……」



 本当、おっしゃる通りで。

 もう一度ため息をつくと、ミヤは苦笑いを浮かべた。



「そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないかな。こう考えてみなよ。誰もが憧れる美少女からここまで好かれるなんて、世界広しと言えど君だけだ。優越感なんてもんじゃないでしょ」



 ……言われてみれば、確かにそうだ。『火咲奏多の恋人』という唯一無二の関係は、俺だけ。そう考えると、めっちゃ優越感を感じる。



「ありがとう、ミヤ」

「んーん、気にしないで……あ」

「え?」



 急に立ち止まったミヤの視線を追うと、奏多の後ろ姿が見えた。

 今日は九条と萬木が一緒じゃないのか、1人で歩いている。当然1人でも、周囲からは羨望と嫉妬の眼差しを一身に集めていた。

 けど……1人なのに、誰も奏多に話しかけようとしていない。話しかける絶好のチャンスなのに。話しかけたらかけたで、俺がイラッと来るからやめて欲しいが。



「どうしたんだろうね、みんな。なんか距離を取ってるように見えるけど……」

「さあ……?」

「教えて進ぜよう」

「「ッ!」」



 急に背後から話しかけられ、2人そろって飛び跳ねて距離を取った。

 後ろを振り向くと、楽しそうに笑う萬木と、いつものクールスマイルを浮かべる九条がいた。



「よ、萬木、九条。やめてくれ、いきなり声かけるの」

「にしし。ごめんね」



 ごめんねって顔じゃないぞ。



「あ、萬木さん、九条さん。おはよう」

「おはよう、朝宮くん」

「ミヤち、ちっすー」



 え。ミヤって、2人と知り合いだったっけ?

 首を傾げると、九条が察して教えてくれた。



「他クラスに可愛い女の子がいるって噂を聞いて話しかけたら、なんとびっくり男の子だったってわけ」

「ああ、把握」



 中学からそうだったな。男女問わず話しかけに行って、ミヤの性別を聞いて驚くまでがテンプレだ。

 あ、話が逸れた。そんなことは置いといて。



「何か知ってるのか? 奏多が周りから距離を取られてる理由」

「逆に知らない? 今出回ってる噂」

「噂?」



 はて、なんのことだろう。

 首を傾げていると、不意にミヤのスマホから着信音が鳴り、取り出した。



「あ……もしかして、これのこと?」



 ミヤのスマホを覗き込む。そこには、『火咲奏多が氷室京水と付き合ってるらしい』という旨のメッセージが、バト部仲間から送られてきていた。

 ……って、え!?



「な、なんでこんな噂が……!」

「ウチが流した、ぶい」

「萬木!?」



 何勝手なことしてんの!? これ、奏多は知ってるのか……!?



「安心しなって、キョウたん。これ、カナちと一緒に決めたことだから」

「……そうなの?」

「うん。こういう噂を流せば、下手に告白してくる奴なんていないでしょ? 恋人がいる人に猛アタックする奴なんて、創作の世界じゃないんだからさ」



 ……それもそうか。リアルにそんな奴がいたら、『今は君が好きだから猛アタックしてるけど、興味がなくなったら浮気します』って公言してるようなもんだしな。メリットがなさすぎる。



「逆に、なんでキョウたんのところまで噂が広まってないのさ」

「俺、連絡先知ってるの、お前らしかいないし」

「悲しい現実を突きつけられた……!?」



 悲しくて悪かったなこの野郎。

 でも、そういうことなら安心……なのかな。とりあえずは。

 安堵の息を吐いていると、九条が俺を肘でつついてきた。



「安心するのは早いよ、氷室くん。私たちが流したのは、あくまで噂。ちゃんとラブラブカップルってことをみんなに見せないと、また猛アタックが再開しちゃうからね。油断は禁物だよ」

「……猶予はどんだけだと思う?」

「早かったら、3日ってところかな」



 3日か。思ったより早いな。その間に奏多が俺に慣れる確証はないし、待ってたらあっという間に過ぎちまう……なら、俺がやることは1つ。



「悪い、3人とも。俺、奏多の所に行くわ」

「きょ、キョウ、それはいくらなんでも早急すぎじゃ……!」



 慌てるミヤだが、九条がミヤの肩に手を置き、止めた。



「行ってきてやりな、氷室くん。多分彼女、寂しがってるよ」

「男気見せろよ、キョウたん」

「……ありがとう、2人とも」



 3人に手を振り、足早に奏多のところに向かう。

 こういう時、傍にいてやるのが恋人だろう。な、奏多。

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