表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第1章 大親友として──

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/69

第27話 待ってて欲しい

   ◆奏多side◆



「な、ん、で、逃げるかなぁ……!」

「面目ねぇ……」



 階段裏の小さい隙間で、麗奈さんと純恋さんから見下ろされて正座する。2人の落胆の顔が怖い。見れない。

 だって……だって……!



「し、仕方ないじゃないかっ。いいいい意識すればするほどっ、京水が……かっこよく、見えちゃって……」

「はいはいご馳走様」

「カナち、アメリカ帰りなのにウブいねぇ」



 返す言葉もない。アメリカでも、そう言った話題にはついていけなかったんだよね……いいと思った男が誰もいなくて。

 思えばアメリカに行ってた時から、京水のことを想ってたのかも。元気かなとか、今何してるのかなとか、風邪引いてないかなとか……いっぱい考えてたなぁ。


 ……やば。ぼく、マジで京水のこと好きかも。あいつのこと考えるだけで、動悸がする。

 嫌じゃない。むしろ嬉しい……離したくない感情を包むように、胸元を押さえる。

 はぁ〜……ぼく、こんな意気地無しだったのか。

 体が異様に熱く感じる。顔も、抑えきれないくらいにやにやしちゃって……。



「はぁーーーー……すき……」

「どうしよう。ウチ、胸焼けしそう」

「私も。今までも感じてた氷室くんへの好き好きオーラが、ここに来て歯止めが効かなくなってるね」



 うそん。ぼく、好き好きオーラなんて出てたの? 気付いてないの、ぼくと京水だけ? 恥ずかしすぎて死にたい。



「奏多、どうするつもり? いつまでも逃げ回ってたら、氷室くんに愛想を尽かされちゃうよ」

「ぅぐ……まあ、そうだよね……」



 麗奈さんの言う通りだ。こんなこと続けてたら、嫌われちゃうかもしれない。

 そんなのは絶対ダメ。京水に嫌われたら、生きていけない。

 ……ぼく、こんなに京水に依存してたのか。自覚すればするほど、羞恥心で潰れそう。



「……純恋さん、京水に連絡して。3日だけ待ってって。ぼくを信じて欲しいって」

「ういっす」



 純恋さんが高速でスマホを操作して、京水にメッセージを入れてくれた。

 まずはこの3日間で、この感情に慣れる。ちゃんと、京水に向き合う。それしかない……!



   ◆京水side◆



 3日だけ待ってて欲しい。昼間に萬木から来た連絡を最後に、奏多からは応答なし。

 あいつがそう言うなら、待っててやるか。何があったのかは知らないけど、情緒不安定になってるみたいだし。こういう時は、そっとして置いてやるのが1番だ。


 さすがに今日は、奏多の家に寄っていない。落ち着く時間が欲しいなら、いくらでも与えるのが親友だ。

 おかげでと言っちゃなんだけど、久々に自室で1人、のんびりした時間を過ごしている。


 けど……俺、1人の時って何をしてたっけ。


 奏多が戻ってきてから、ずっと一緒にいたからなぁ。今日までが濃密すぎて、1人で何をしてたのか思い出せない。

 ベッドに寝転び、天井を見上げて呆ける。

 その時。耳元のスマホが震え、飛び起きた。



「も、もしもし……!」

『あ、キョウ? 僕だよ』

「……なんだミヤか」



 一瞬、奏多からだと思ったじゃないか。

 ……いや、あいつだと思ったから、飛び起きたわけじゃないぞ。あいつが寂しがってるかなと思って急いだだけで、別に俺は寂しくない。……ないったら、ない。



『む。何さその言い方は。キョウが火咲さんと喧嘩してるって聞いたから、元気づけてやろうと思ったのに』

「誰も喧嘩しとらんわ。……待て。誰から聞いた、それ」

『誰からというか、噂になってるよ。あんなに仲良くしてたのに、1日中会話がなかったって』

「クソ噂好き共め。いい迷惑だ」



 ここまで噂好きだと、呆れてものも言えない。人の不幸はそんなに楽しいかね。不幸じゃないけど。

 深くため息をつくと、電話の向こうのミヤがくすくすと笑った。



『その様子だと、喧嘩はしてないみたいだね』

「ああ。喧嘩はしてない。ただ……ちょっと、奏多の様子がおかしくてな」

『へぇ、どんな風に?』

「どんな風にと言われても……顔を合わせると挙動不審になったり。顔を真っ赤にして背けたり。いつもはべたべたしてくる癖に、一定の距離から近付こうとしなかったりな」



 いきなり態度が180度変わりすぎて、俺もどうするのが正解なのかわからない。今は待つしかないのが現状だ。

 愚痴気味にミヤに話すと、なんか呆れた雰囲気が伝わってきた。え、何?



『キョウ……それ本気でわからないの?』

「え。まあ……うん、わからん」

『……君とは中学からの仲だけど、ここまでにぶちんだとは思わなかった』

「どういうことだよ」

『僕からは何も言わないよ。改めて、落ち着いたら火咲さんに聞けばいい』



 な、なんか、自分はわかってますみたいな言い方だな……そんなにわかりやすい状況なの、今って。わかってないの俺だけ?



『それより気をつけなよ。これから大変かもしれないから』

「何が?」

『キョウと火咲さんが喧嘩してるって噂が流れてるからね。横取りって訳じゃないけど、チャンスと思ってる奴らがいっぱいいるんだよ』

「……え?」






『火咲さん、明日からたくさん告白されると思うよ』

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ