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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第1章 大親友として──

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第25話 自分の気持ち

   ◆京水side◆



『奏多:ごめんあしたはちゅうし』



 あしたはちゅうし……明日は中止? あんなに楽しみにしてたのに、いったいどうしたんだ?

 俺からも連絡をしてみるが、これと言った反応がない。急にこんなことを言い出すなんて……心配だ。もう1度奏多の家に行ってみるか?

 リビングで唸っていると、洗濯物を干していた母さんが呆れ顔で振り返った。



「京水、うっさい。何悩んでるんだい」

「いや……奏多が、明日は中止って」

「ふーん。嫌われた?」

「それはない。……と、思う」



 断定はできない。けど、昨日から今までを振り返っても、怒らせるようなことはしていない。



「まあ、中止なら仕方ないじゃないか。週明けに、誠心誠意謝るんだね」

「謝るなら、今からの方がいいんじゃ?」

「本当に怒ってるなら、少し冷静になる時間が必要さね。でも違うなら、今はあんたの顔を見たくないってことだろう。カナちゃんのことを思うなら、1人にしてやんな。親友なんだろ?」



 うーむ……母さんの言う通りかもしれない。俺と同じ歳なんだ。いくらなんでも、心配しすぎか。

 けど、さっきまで普通に仲良くしてたのに、いきなり突っぱねられるのは……悶々とする。俺だけかな。

 ……ま、気にしても仕方ないか。せっかくの休日なんだし、アニメ見て時間潰そう。



『京水:わかった。ゆっくり休みな。もし体調悪いなら、すぐ連絡して来いよ。何があっても、行ってやるから』



 これでいいだろ。部屋行くか。



   ◆◆◆



 だがしかし。奏多からの連絡は一切なく、週明けになった。

 本当に大丈夫か? 俺からのメッセージでこんなに反応がないの、怖いんだけど。

 まさかとは思うが、変なことに巻き込まれてないよな……?

 一応、作ってきた弁当を片手に、奏多の家にやって来た。陽光の射し込む庭先で、古ぼけたインターホンを前に立ち尽くす。

 押していい……んだよな。怒ってたらどうしよう。とにかく謝らないと。

 数回、大きく深呼吸をすると、意を決してインターホンを押す。

 甲高いチャイムが鳴り、しばらく待つ。……が、出てこない。あいつがチャイム一回で起きてこなかったことなんて、あったか……?

 念のため、もう一回押す。

 ……出てこないな。本当に気付いてないのか? それとも、俺だと気付いて出てこないんじゃ……?



「参ったな……ん?」



 急にスマホが震えた。誰だ、こんな朝から……え?



『麗奈:おはよう氷室くん。奏多なら、今日は先に学校に行くみたいだよ』



 九条? なんで九条が、奏多の動向を知ってんだ?



『京水:おはよう、九条。わざわざありがとうな。けど、なんで九条がそんなこと知ってんの?』

『麗奈:今、私と純恋と一緒に、登校してるから。ちょっと彼女の相談に乗っててね。念のため言っておくけど、氷室くんは心配しなくても大丈夫だからさ』



 ほ……そういうことか。よかった、変なことに巻き込まれたとかじゃなくて。九条と萬木が一緒にいるなら、安心だ。



『京水:わかった。奏多のこと、よろしく頼むな』

『麗奈:ああ、任せてくれ』



 そういうことなら、俺もこのまま学校に向かおう。……朝早すぎるけど。

 久々に、学校までの道のりを1人で歩く。今日も今日とて、一円玉天気。気持ちいいくらい空が澄み渡っている。

 急ぐ必要もないから、小鳥の合唱を聞きながらゆっくりと学校に向かう。

 と言っても、高校まではどんなにゆっくり歩いても15分も掛からない。特に何事もなく、もう着いてしまった。

 遠くから、運動部の声かけや吹奏楽部の音色が聞こえてくる。朝から青春してるなぁ。俺とはえらい違いだ。

 ……もう奏多は教室にいるんだろうか。いたら、ちゃんと話さないとな。本当に俺が何かやらかしてたなら、謝罪もしたいし。

 ちょっと緊張感を持ち、教室へ向かう。驚かせないように、隙間から教室を覗き込と……萬木が暇そうにスマホをいじってるだけだ。奏多と九条がいない。



「ふぅ……およ? あ、キョウたん。おっは~」



 げ、バレた。……仕方ない。入るか。

 教室に入りつつ、萬木に挨拶をする。こうして萬木と一対一になるなんて初めてだから、緊張するな……いい奴ってことはわかってるんだけどさ。



「キョウたん、朝はえーのね」

「萬木こそ。……奏多と一緒に登校してきたんだよな。あいつ、どこにいるかわかる?」

「うん、知ってるよ。でも教えない」



 ……ごめん。何を言ってるのかわからない。知ってるのに教えないって、どういう意味?



「……あ、うん──」

「う○こじゃないからね。女の子にう○こなんていうなんてサイテー」

「お前の方が言ってんじゃねーか」



 ふむ。う○こじゃないとすると、余計わからない。なんでこんなに避けられなきゃならないんだ、俺。

 なんとなく萬木の前の席に座り、そっと息を吐く。



「キョウたん、カナちいなくて寂し?」

「いや、別に」

「あら。意外とドライなんだね」

「そういうんじゃない。単純に、会ってない時間が長かったからな。ここで待ってれば戻ってくるってわかってるだけ、心に余裕はある」

「なるほど。カナちは絶対、俺の所に戻ってくるって確信があるわけか」

「……そうかもな」



 思わず苦笑いを浮かべてしまった。確信っていうより、どんなことがあっても、あいつと俺の絆は壊れないっていう……信頼? そういうもんだ。



「ふーん。好きなんだ、カナちのこと」

「ああ、もちろん」

「ぉ……!?」

「ん?」

「い、いやなんでもないよ。そ、その好きは、異性として……?」

「…………」

「……キョウたん?」



 異性として……そう言われると、わからない。

 確かに、奏多は魅力的だ。誰もが振り返り、誰もがとりこになる魔性の魅力を持っている。

 俺も、再会してからずっとドキドキさせられっぱなしだ。でも……。



「わからないんだ。『男友達』と思ってた期間が長かったから……ほら、萬木だって、同性に対しての好きと、異性に対しての好きと、九条に対しての好きと……いろいろあるだろ?」

「んなっ!? べ、別に麗奈のことなんて……!」

「あ、いや。親友に対してって意味」

「あ……そ、そうか。うん、そうだよね、はい……」



 顔を真っ赤にして、忙しなくスマホをいじっている。俺と話してんだから、スマホくらい置けばいいのに。



「今、奏多に感じてる感情がどれなのか……判断ができない。正直、再会してまだ一週間だからさ。今までとのギャップが埋まり切ってないんだ」

「そういうこと……ふーん。意外としっかり考えてるんだ、カナちのこと」

「当たり前だろ。あいつは俺にとって、かけがえのない存在なんだから。感情に振り回されて、無碍にはできない」



 どんなことがあっても俺はあいつの味方で、あいつは俺の味方。そういう絆で結ばれてるからな、俺たちは。

 いろいろと話し込んでいると、続々とクラスメイトが教室に入って来た。結構な時間、話してたらしい。奏多はまだ戻ってこないけど、いったいどこに行ったのやら。



「そうだ。奏多が2人に何か相談してたんだろ? 何を相談してたかは知らないけど……あいつのこと、よろしく頼むな」

「……うん、任せなって。カナちは大好きな友達なんだからさ」



 そうか。そりゃありがたい。

 と、俺の座っている席の女子生徒が登校してきて、泣く泣く席から離れる。話はこれで終わりかな。



「じゃあ萬木。また」

「ん、またにぇ」

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