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その体で『男友達』は無理があるだろう!?  作者: 赤金武蔵
第1章 大親友として──

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第14話 放課後のお出掛け

「ごちそーさまでしたっ。京水、今日もおいしかった!」

「そいつはよかった」



 こう言ってくれるだけで、作った甲斐があるってもんだ。

 奏多から空の弁当箱を受け取ると、九条が驚いたような顔をした。



「奏多のお弁当、氷室くんが作ってるんだ」

「ああ。こいつ、アメリカでの生活が長かったから、偏った飯しか食わないんだよ。だから俺が作ってやってんの」



 なんとなくアメリカの食事のイメージがあるのか、苦笑いを浮かべる九条。

 だが萬木は、「え~」と驚いたような顔をした。



「アメリカってジャンクフードが多いんでしょ? え、そればっか食べて、そんなに痩せてるのすごくない? ウチなんて、ジャンクばっか食べてたらすーぐ太っちゃうのに」

「ぼく、走り回るのが好きなんだよね。消費カロリーが多いからかも」

「ほへ~」



 納得した顔をしてるところ悪いけど、こいつの食生活は消費カロリーを上げたところでどうなるもんじゃないぞ。

 多分、極一部に栄養が集まってるんだろう。奏多のお母さんもスタイルよかったし、遺伝ってやつだ。

 だから九条。そんな虚無を見るような目で奏多の胸を見るんじゃない。


 全員弁当を食い終えて時計を見ると、あと10分で昼休みも終わりそうだった。

 そろそろ戻って、授業の準備をしないとな。



「あ、そだ。カナち、ここの鍵いる?」

「え? そりゃ、欲しいけど……」

「じゃあ今度、合鍵作って来てあげる。そしたら、ウチらがいないときでもここ使えるよ」

「! ありがと、純恋さん……!」

「わぶっ」



 奏多が感激した顔で萬木に抱き着く。

 おいコラ、離しなさい。窒息死しちまうぞ。

 九条も、自分の胸を見下ろしてないで引き剥がしてやれって。お前の親友、死んじゃうぞ。



   ◆◆◆



 その後は、休み時間の度に俺が奏多たちと絡むようになって、俺たちだけの空気ができあがった。おかげで、今は奏多にちょっかいかけようとか、話しかけようなんて奴らはいない。平和に放課後を迎えられた。


 ショートホームルームで、メグたんのありがたいお言葉を聞き、解散。

 部活に行く奴や帰宅部は早々に消え、教室には友達と話している一部のグループしか残っていない。

 当然、俺たちもそうだ。……と言っても、奏多が2人と話してるのを、横で見てるだけなんだけど。



「ねえ、この後さ、遊びに行かない? 駅前のクレープ屋知ってる? あそこのクレープ、鬼盛りでめっちゃバエんだよね」

「私はいいよ。どうせ家に帰っても暇だし」

「ぼ……ぁ。わ、私は……」



 どうしよう。と目で訴えかけて来た。そんな目をされても、奏多が誘われたんだしなぁ。



「俺のことは気にしなくていいぞ。外で飯食ってくるなら、今日は俺、真っ直ぐ家帰るし」

「ぐっ……そ、それは……うぅむ」



 俺と家でまったりするか、友達との遊びかで悩んでいるみたいだ。別に悩まなくても、行ってくればいいのに。

 ……まあ、美少女3人だから、前回みたいなナンパは怖いけど。ナンパ慣れしてそうな2人が一緒なら、問題ないだろう。

 と、第三者目線で考えていると、萬木がげしっと蹴って来た。ちょ、結構痛い。



「なんで他人事なのさ。キョウたんも来るんだよ」

「え。……俺も?」

「もちろん。カナちだって、キョウたんが一緒の方が嬉しいっしょ?」



 萬木に話を振られた奏多に目をやる。

 髪を忙しなくいじり、キョロキョロと俺とどこかを交互に見て、唇を尖らせた。



「ま、まあ、お2人が誘うんでしたら、私はどちらでも~」

「あらやだ、照れちゃって。かわいいねぇ」

「素直になった方が楽だよ、奏多」

「あうあうあう」



 萬木と九条に、左右からほっぺをつつかれる。なんか、ザ・女子の距離感って感じだ。

 さすがに俺でも、無造作に頬をつつくほど、距離感はバグっていない。……奏多の方は、距離感バグってるけど。



「えっと……本当にいいのか? せっかく、女子だけの遊びなのに」

「もちろんですとも。てか、ウチももっと2人と遊びたいし」

「私も。友人になったなら、学校外でも親睦を深めようよ」



 ……まあ、2人がそんなに言うなら、これ以上断るのも申し訳ないか。



「ありがとう。一緒に行かせてもらうよ」

「うい! じゃー早速、いけいけゴーゴー!」



 飛び跳ねるようにして教室を出ていく萬木の後に続いて、俺たちも教室を出る。

 放課後に友達と遊ぶなんて、ミヤ以外じゃ初めてだ。しかも、俺以外全員女子。ちょっと緊張する……って、奏多は男友達みたいなもんか。

 俺の隣を歩く奏多に目を向けると、全身から幸せオーラを漂わせていた。友達と放課後に遊びに行くのが、余程嬉しいらしい。



「嬉しそうだな」

「うんっ。ぼく、放課後に誰かと遊ぶの、京水以外初めて……!」

「アメリカではなかったのか?」

「向こうでは通ってる学校が遠くて、いつもママに送り迎えしてもらってたから」



 なるほど。そりゃあ放課後に友達と遊ぶのは無理だ。

 ……まさかとは思うけど、こいつアメリカではぼっちだったとか……?

 奏多のアメリカ生活を想像していると、スクールバッグでケツを叩かれた。



「なーに想像してんのさ。心配しなくても、向こうでも友達はいたよ」

「エスパーですかあなたは」

「君の考えてることぐらい、お見通しだぜ。ばーか」



 さいですか。……心配して損したよ。考えてみれば、こいつのコミュ力は昔から異常だったからな。どこに行こうが、ぼっちなわけないか。

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