表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

九  三人の秘密


 僕が神様から貰ったギフトに、母さんと丈さんは確信を持った。


「颯は、本当に残像が見えるのね。」

「そうだな。」

「これから颯はどうなっちゃうのかしら。」

「何も変わらないさ。颯は、颯のままだよ。今までと同じ。お蘭の事が大好きで。穏やかで、甘えん坊の颯だよ。」

「うん。そうだよね。」


 確かに僕の中では何も変わってないんだ。

変わったのは母さんと丈さん。僕の物の見方が人と違うって事に気がついたからね。

丈さんは、冷静な人だから僕のこれからを心配してくれた。


「ただ、これからの事は少し慎重になった方が良いかもな。」

「慎重に?」

「ああ。颯の残像が見える、、、その、能力と言うか、、、」

「能力?なんか変人みたいに言わないでよ!颯は颯で、何も変わらないって言ったくせに。」


母さんも冷静な人なんだけど、僕の事になるとなかなかそうはいかないい。すぐにむきになっちゃう母さんなんだ。

僕は嬉しいけどね。


「悪かった、悪かった。ああ〜、ええ〜言い方難しいな。」


丈さん、確かに能力者みたいな言い方は不気味だよ。


「えっと、とりあえず颯の為だから落ち着いて聞いてくれ。」

「わかった。」


でも母さん、唇とんがってるよ。


「残像が見えるって、人によってはとても便利なんだと思う。実際おばさまの事件でも颯の証言があって解決できた。被害者の命も救われたしな。」

「確かに。お母様の証言だけじゃ、今も犯人見つかってないし。けんちゃんだって死んでたわね。」

「お蘭。言い方。」


確かに、母さん直球すぎる。


「今回も、シッターの時も颯が居たから解決できて、良い事に颯の能力、、、じゃなくて、まあなんて言うか、、、力、そう力が働いた。」

「力ね〜。」


まあ、それならいいわよって顔だね。


「でも颯の力は、犯人にとってはとても邪魔なものだよな。それに悪いことに利用したいと思う輩も出てくると思うんだ。」

「悪いこと?」

「たとえば、企業とか。」

「何それ。犯人の事はわかるけど、企業って何よ。」

「お蘭だって、仕事上で、、、例えば、競争入札になったとするだろ、相手の入札額がわかれば仕事に有利になる。相手の入札額知りたいだろ?そんな時、書類を見た人の瞳の残像で入札額がわかったとしたら?な、便利なんじゃないか?」

「丈って、おじ様の会社に入らなくて正解ね。くだらない、そんなんじゃ入札に間に合わないでしょ。」

「たとえばだよ、たとえば。」


丈さん、今日もだいぶおされてるね。


「でも、確かに悪用しようとする人間は出てくるかも。第一、犯人にとっては厄介な力だもんね。あ、ちょっと待って、狙われるって事は颯の命が危ないって事じゃないの!」

「ああ。だから颯の事は、誰にも、お互いの家族や近しい人にも黙っていた方が良いと思うんだ。」

「うん、確かにそうね。人の口に戸は立てられない、、、どこで噂が広がってしまうか。」

「だろ。あとは、颯だ。」

「颯が何?」


丈さんはそう言うと、僕を膝に乗せて


「颯。丈ちゃんのお話聞いてくれるか?」

「はい。」


丈さんはいつだって真剣にそして、優しく僕を見る


「良い子だ。颯。丈ちゃんも、ママも颯の事が大好きなんだ。この世で一番大切なんだ。」


丈さん、すごく嬉しい。僕も母さんと丈さんが、大好き。


「だから、颯が怖い目にあってほしくない。颯の周りに悪い人が来てほしくないんだ。」

「うん。」

「丈ちゃんは颯を守りたい。だから、颯の『めめ』の事。颯とママと丈ちゃんだけの秘密にしよう。」

「ひみちゅ?」

「そう。秘密。誰にも内緒。おばあちゃまにも、おじいちゃまにも言っちゃだめだぞ。丈ちゃんと約束だ。」

「うん、ひみちゅ。ひみちゅ、ひみちゅ!」


僕と丈さんは、指きりをして約束したんだ。


「丈、、、。ありがとう。そうね、ママも秘密が良いな。三人だけの秘密。」


僕はすごく嬉しかったけど、それは僕だけじゃないね。母さんもすごく嬉しそうだ。

もしかしたら、僕よりも嬉しい?。


「あ、颯。秘密も、秘密だからな!丈ちゃんとママと秘密があるんだ〜、とかも言っちゃダメだぞ。」

「うん。ひみちゅのひみちゅ。」


さすが丈さん。危ないところだったよ。秘密にします。


 僕はこの二年後。清雅英明幼稚園に通い始める。

清雅英明学院附属幼稚園のお受験の倍率はもの凄い。

もちろん入園の子供だけではなく、その両親も一年以上かけてお受験の準備をする。中には、子供が生まれる前から熱心に学院

の説明会に通って準備する人もいるくらいだ。

生まれる前から親の受験熱に巻き込まれるってどういう事なんだ。


母さんが源氏の僕は、入学願書を提出するだけでも入園できる。

源氏の力恐るべしだ。


それなのに、久しぶりにわがまま蘭子が顔を出して、受けなくて良い入園試験を僕に受けさせた。

母さん。そんなことをするから、くだらなくて、悲しい事件が起きるんだよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ