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二十一  再会


 凄い人だかりで前に進むの大変だったけど、小学生の僕は大人達の足元を少し身をかがめながら進んで行けた。

ふう、一番前に出られた。でも規制線の黄色いテープがあって、立てこもりが起きている東雲先生のところまではかなり距離がある。

大人の足元にかがんだまま


「遠いな〜。丈ちゃんがいるのかもわかんないよ。」


辺りを見回していると、聞き覚えのある声が聞こえたんだ。

それも頭の中で。


(立てこもっているの女の人だよ。)

(えっ。誰?)


僕はさらに辺りを見回したんだ。


(聞こえてる?)


姿は確認できなかったけど、記憶の中から飛び出してくるように思い出して、思わず声が出た


結華ゆいかちゃん?」


人だかりがモゾモゾと動いたかと思ったら、ヒョイっと結華ちゃんが顔を題した。


「やっぱり聞こえてるんだ。」

「ビックリしたー。やっぱり結華ちゃんなんだね。うん。聞こえたよ。」

「あの時も?」

「入園試験の日でしょ。聞こえた。ありがとう、おかげで僕のかあさま、助かったよ。」

「うんん。お母さんが悪い。迷惑かけてごめんなさい。」

「結華ちゃんに会いたいって思ってたし、また会えるって思ってたよ。その通りになった〜。」

「私も。会えると思ってた。」


凄く緊急事態だってけど、結華ちゃんに会えて気持ちが弾んだ。

でも。ハッとして


「嬉しいけど、それどころじゃなかった。立てこもってるの女の人ってどうしてわかるの?」


結華ちゃんは、僕の顔をじっと見て


「颯真くん、私と同じでしょ。だから話すね。」

「え?う、うん。」


結華ちゃんの言っている事がはっきりとわかったわけじゃないから、曖昧に返事をしたんだ。


「私、まだ東雲先生の所に通ってるの。幼稚園の頃とは違うけど。今は交換日記を先生としてる。」

「へ〜そうなんだ。」

「今朝も先生の家のポスト、あそこにね。朝、交換日記を入れたのよ。」


結華ちゃんは先生の玄関の前にある郵便受けを指差した。玄関の前には十段ほどの緩やかな階段があって、両脇には綺麗に整えられた緑や花が咲いている。


「その時、女の人とすれ違ったの。」

「ふうん。だからその人が立てこもってる?でも、どうしてその人って思うの?」


結華ちゃんは僕をじっと見て


「お母さんと同じ、あの嫌な匂いがしてたの。」

「匂い?」

「そう、匂い。お母さんもいつもは良い匂いなんだけど、怖いことする前って、なんか頭が痛くなるような凄く独特な匂いがするんだ。」

「入園試験のあの時も?だから逃げてって?」

「そうよ。」


僕は凄く納得した。

結華ちゃんにも僕とは違うけど何か力がある。力を持っているもの同士だからあの入園試験の日、僕の『めめ』に泣いている結華ちゃんの気持ちが見えたんだ。気持ちが見える事なんて今まで結華ちゃんだけ。

だからなんだか安心して結華ちゃんに話した


「僕ね、さっき、立てこもっているってはずの人が横断歩道の所に立ってるの見たんだ。」

「え、ん?どう言うこと?」


結華ちゃん、ハテナマークが沢山浮かんでいそうな顔をして僕を見てる


「そうだよね。えっと、自分でもよくわかんないんし、なんの根拠も無いんだけど。実は、学校で事件があってね。たぶんね、、警察はその事件を起こした子のお父さんが、東雲先生の所に立てこもってると考えてる。だから犯人は男って言ってるんだと思う。」

「へえ〜、思う、、、?」

「警察の人と話してないからそうだとは言えないんだけど。たぶん間違っていない、、と、思う。」

「ふうん。思うね〜。」


そうだよね、なんか思ってばかりの事でごめんなさい。


「だから僕もここまで来たんだ。でもねその人がさっき横断歩道の所に居たんだよ。」

「へ〜犯人は、颯真くんの知ってる人なんだね。」

「うんん。知らない人。」

「へ?」

「話すと長いから今度ちゃんと話すよ。」

「ああ、そう、なんかわかんないけど、了解。とにかく、その犯人かもって人が外にいて、しかもこの辺りをウロウロしてるって事ね。」

「そうなんだ。変でしょ?中にいるのは女の人。外に犯人かもって男の人。訳わかんないよ。」

「本当にわかんない。で、なんで、颯真くんはここにいるの?学校は?」


疑問は当然だね。結華ちゃんから見たら僕は、ただの野次馬だもん。


「今日は、休み。ここにいるのは、僕の大好きな人が東雲先生と今日約束してここにいるはずだから、事件に巻き込まれてるんじゃないかって心配になって来たんだ。結華ちゃんだって、学校始まってるんじゃないの?」

「うん、始まってる。現在遅刻中。」

「えー。大丈夫?」

「東雲先生の大ピンチだから、良いの。」


 ー結華ちゃんたくましくなってる。

  なんだか、僕の母さんみたい。ー


そう思っていると結華ちゃんの顔が急に険しくなって


「あの匂いがする。」

「なに?」

「あの匂いのする人が近づいて来てる。」

「え、あっ怖いことする人の匂い!」

「そう。近くにいる!」


振り返るとあの黒ずくめの男が人をかき分けながら近づいてきていた。

そしてその瞳に、見えたよ。

なるほど、そう言うことか。


「結華ちゃん。ありがとう。見つけたよ。」


的外れの復讐なんてさせるもんか!




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