44. 金の亡者
「ご主人様! またまた、問題発生です!
次のパーティーも、2階層に下っていっちゃいました!」
シロが慌ててる。
「次のパーティーって、実力、どのくらいなんだよ!」
「分かりませんよ! ただ、前のパーティーがフロアーボスを倒したばかりだから、フロアーボスを倒さず、素通りです!」
「何なんだよ!この世界の冒険者! 恐れとかないのかよ!」
俺は、流石に呆れる。
だって、1階層を突破するのに3時間以上掛かっているのだ。そんな冒険者パーティーが、2階層に行くとか自殺行為でしかない。
そもそも、野営する準備が出来てるのかも謎だし、ダンジョンの中では時間感覚が狂うけど、もう夕方の5時なのである。
「ただ、ダンジョン攻略をマトモにした事が無いだけなんじゃないですか?」
「それでもだよ!」
「ご主人様! 大変です! 今、2階層に下がった冒険者パーティーが全滅しちゃいました!」
「嘘だろ!」
まさかの2階層に下りた途端に、全滅。
弱っちいのにも、程がある。
「本当ですって! 早く生き返らせないと、ダンジョンに吸収されちゃって、生き返らせられなくなりますよ!」
「糞ーー! 何なんだよ! 面倒臭ぇーな!」
俺は、また、リレ〇トじゃなくて、マタリトで、ダンジョンの外に一旦出て、2階層まで一気に進み、冒険者達をエリクルで生き返らせた後、ダンジョンから出るように念を押す。
しかしまだ、宝箱を見つけてないからとダンジョンから出るのを渋るので、急遽、コマンド操作し、近くの部屋に金貨1枚がドロップする10ポイントする宝箱を設置する。
そして、上手く冒険者達が見つけれるように誘導して、新たに設置した宝箱を発見させて、ホクホク顔になった所で帰ってもらう事に成功した。
「シロ……メッチャ疲れるんだけど……」
「ですね。ダンジョン経営も大変ですね。だけれども、今の人達、1階層に送るだけで良かったんですか?
あの人達、全く、マッピングしてなかったみたいですけど?」
「嘘だろ?」
「嘘じゃないですって!」
「アッ! もう1つの冒険者パーティーが、フロアーボス部屋に到着しましたよ!」
シロが慌てて報告してくる。
「何だよ!まだ、違う冒険者パーティーが居たのかよ!というか、もう夜になるのに、諦めたてなかったのか?」
「ですね。それより、フロアーボス部屋まで4時間以上掛かってる冒険者パーティーに、1階層のフロアーボス倒せると思います?」
「まあ、無理だな……」
とか、喋ってる間に冒険者パーティーは全滅。言わんこっちゃない。
「行くぞ!」
「ラジャ!!」
2階層の階段付近に居たので、すぐに駆け下りて、1階層のフロアーボス部屋に行くと、まだ、フロアーボスが鎮座していた。まあ、倒してないので当然なんだけど。
「どうしますか?」
「どうしますか?って、倒すしかないだろ? 倒しとかないと、冒険者達を生き返らせても、すぐに死んじゃうし!」
「ですね……」
取り敢えず、俺は、フロアーボスを倒して、3組目の冒険者パーティーをエリクルで生き返らす。
「精霊様!!」
なんか、生き返らせたハーフエルフが感動してる。もう、そんなくだりは要らない。
面倒臭いので、実力がない冒険者は、お帰り頂きたいのである。
「その宝箱を開けて、もう帰りな。お前達のレベルじゃ、まだ2階層は早いから」
てな感じで、とっとと宝箱の中身を取ってもらって、ダンジョンの外まで見送る。
3組目の冒険者パーティーは、どう考えても実力不足。
ダンジョンの外まで送り届けないと、絶対に今日中に帰れないからね。
「本当に疲れる……」
「ですね。自分達がダンジョンを攻略した時よりも疲れました。て、ご主人様!大変ですよ!2階層にいる冒険者パーティーのメンバーが減ってます!」
「何だと!」
俺とシロは、また慌てて2階層に戻ると、相当ヤバい状況。既に3人死んでるし、残り2人はギリギリ生きてる感じ。
速攻で魔物を倒して、エリクルと回復魔法で復活させる。
その後、なんか言ってたが、強制的に1階層に戻して、俺は疲れ果ててカーランド城のエリカ姫の部屋に帰ったのであった。
でもって、朝になり、マリンに朝風呂に入れてもらい、朝食を食べ、すぐさま初心者の森のダンジョンに行くと、
「ご主人様……まだ、昨日の2組の冒険者パーティーが、ダンジョンに居ますよ……」
「嘘だろ? アイツら徹夜でダンジョンに篭ってたのかよ!?」
「なら、まだいいんですけど……ただ出口が分からなかっただけだと思います……」
取り敢えず、コマンドのマップの赤点を辿って探しに行くと、2つの冒険者パーティーが合同で探索を続けていた。
「1日常篭ってたのか?」
昨日のエルフの男が居たから話し掛ける。
「はい。出口が分からなくて……ですが、昨日、精霊様と別れてから、すぐに別の冒険者パーティーと合流し、その後、3回ほどフロアーボス部屋にたどり着いたので、3回、宝をゲットする事に成功しました……」
「そうなの……」
「ハイ!」
なんか目の下に隈を作ったエルフの男が嬉しそうに、報告してくる。
「良かったな……」
「ハイ!」
「それで、このダンジョンから出たい?」
「ええ。流石に眠たいので……」
「じゃあ、着いて来い。出口まで案内するから!」
「ありがとうございます!」
エルフの男は、土下座して頭を下げた。
「まさか、徹夜でダンジョン攻略してるとは思いませんでしたね!」
「徹夜というか、ただ、ダンジョンから出られなかっただけだけどな……」
「そうとも言いますね……だけど、彼らのお陰で、新しい発見もありましたよ!ダンジョンポイントを見て下さいよ!」
「なんか、冒険者ポイントが増えてねーか?」
「そうです! 冒険者がダンジョンの中に入ったら1ポイント貰えるだけだと思いましたが、どうやら、1日1ポイント貰えるみたいです!
詳しく、ポイントの増減を調べたら、日にちが変わる瞬間に、その時、冒険者が居る人数分のポイントが増えてましたから!」
「なら、冒険者がダンジョンの中で野営した方がいいんじゃないか?」
「ですね! まあ、早く帰らせなくても良いという事です!」
「なら、早く、テントとか野営セット、冒険者に売りつけようぜ!」
「ですね! それとマップも!」
シロが付加える。本当に、冒険者達には、マップを見てダンジョンを探索する文化を身につけさせたい。
「だな。やつらダンジョンをマッピングするという感覚を持ち合わせてねーからな」
「ですね」
てな感じで、俺達は、すぐに冒険者ギルドに帰り、冒険者ギルドの購買で、1階層のマップを売り出して貰う事を、ハゲのオッサンと交渉したのだった。
因みに、1階層のマップは5000ゴルね!
昨日、ダンジョンを探索してた3組の冒険者パーティーは、すぐに買ってくれた。
でもって、その冒険者パーティー達に話を聞いた冒険者達が、今日、大挙して初級者の森のダンジョンに訪れたのである。
「昨日の3組の冒険者パーティー以外の冒険者パーティーにも、結構、1階層のマップが売れましたね!」
シロが嬉しそうに話し掛けてくる。
「ああ。実力ある冒険者パーティーは、大体、買っていったな!」
「そしたら、2階層も直ぐに攻略されちゃうんじゃないですか?」
「ああ! すぐにダンジョンに戻るぞ!」
ダンジョンに戻ると、ジャンジャン、ダンジョンポイントが入ってきていた。
「ご主人様! 200ポイントぐらい新たにポイント増えてますよ!」
「ああ。5階層や6階層にもフロアーボスと宝箱を設置して、フロアーボス部屋以外にも宝箱を置くぞ!」
「ですね! こんなに大挙して冒険者が訪れるなら、宝箱が足りませんからね!
ある程度、冒険者を満足させて帰らせませんと、ダンジョンを探索する旨みが無くなっちゃいますからね!」
なんか、ダンジョンは大盛況。ジャンジャンポイントが貯まる。
2日目で、2階層も攻略されてしまったので、それに合わせて、2階層のマップもギルドで販売してもらう事にした。
でもって俺は、急遽、ダンジョンの外に、キャンピングギアを売る店をオープンさせた。
イワ〇ニのジュニアコンパクトガスバーナーやタフ〇をパクった魔道バーナーや魔道コンロ。それからカセットボンベじゃなくて、魔道ボンベね!
カセットボンベは、お安く1本1000ゴル。魔道バーナーとタフ〇は、8万ゴルに設定した。
でもって、俺達は野営も推奨してるので、アラクネの糸を使ったテントや寝袋。色々なギャンプギア。勿論、映えも意識したキャンプギアもたくさん開発して、物欲も刺激する。
可愛いセリカ姫を店長に、パイ乙カイデーのマリンは販売員に認定。
よく分からないが、お店を任されてセリカ姫はとても喜んでいる。
なんでも、働いた事がなかったので新鮮なんだとか。
タダ働きさせるのに、逆に喜んでもらえるとか、本当に都合の良いお姫様である。
俺とシロと竜王は、不足の事態に備えて、100階層のラスボス部屋で待機しつつ、キャンプギアの量産。
俺は、地球の映えるキャンプギアを思い出しながら、ドンドン新作を生み出していく。
もう、冒険者達に、ダンジョンで金を稼ぎたいのか、映えるキャンプギアをゲットしたくて、金を稼いでるのか分からなぐらいには、してやるつもりだ。
冒険者パーティー達は、俺の店で野営装備を整えると、ますますダンジョン攻略にのめり込んで行くようになる。
俺も、ダンジョンポイントがジャブジャブ貯まり、ダンジョンをドンドンカスタマイズして行く。
因みに、ラスボス部屋なんか、とても凄い事となっている。ジャグジーもあるし、天蓋付きのベットも有るし、本当に凄い。
ダンジョンマスターのレベルが上がってくるとやれる事も多くなってきて、ボス部屋から、ダンジョン内なら何処にも行けるシステムも解放された。まあ、ダンジョンポイントが必要なんだけど、たった1000ポイントだったから余裕にゲットできた。
ダンジョンポイントもジャンジャン貯まるし、キャンプギアの商売も順調で、金もドンドン貯まる。
拝金主義の森の精霊さんは、ウホウホ。
半年後には、初心者の森のダンジョンは、カーランド王国がある大陸で一番大きなダンジョンに。
俺のキャンプギア屋は、大陸一の大商会に発展し、森の精霊さんは、自分の夢を実現する事に成功したのだった。
そう、1日の売上だけで得た金貨でバスタブをいっぱいにして、泳ぐという夢をね!
森の精霊さんは、この世の春を、当たり前のように謳歌するのであった。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
皆さん、知ってたと思いますが、森の精霊さんは、お金大好きの拝金主義者。三度の飯より金貨が大好きなのです。
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