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20. カーランド王視点

 

「それで、セリカは大丈夫だったのか!」


 カーランド王であるワシは、気が気じゃない。

 先程、有り得ない力を持つ幼女が城に現れ、応対した兵士達が次々に糸で簀巻きにされ倒されたという報告があったのだ。


 しかも、その場に駆け付けた精霊魔法が使えるようになって、しかも全盛期時代まで体が若返った騎士団長のオットンと、大魔法使いリーフも、簡単に倒してしまったというのだ。


 そして、その白い幼女は、あろう事か愛娘のセリカの部屋に入っていったという。


 まあ、セリカの部屋には、精霊様も居るので何とかなると思っていたのだが、ここでまた、悪い話を聞かされる事となる。


 我が国の国宝エクスカリバーを使って、どうやら幼女の糸から脱出してきたリーフの話によると、城に侵入してきた幼女は、厄災級の魔物であるアラクネで間違いないという。


 アラクネと言えば、伝説の魔獣。今から約300年前に、魔の森から現れて、3つの国を滅ぼし、人間を何十万人もいたぶり殺して食べ尽くしたという厄災級の魔獣。


 当時の勇者と、魔の森周辺の国が連合を組んで戦い、やっと魔の森に追い返す事に成功したと言われている。


「それは、まことなのか……」


 ワシは、リーフにもう一度確認する。


「姿形は変わっても、アレはアラクネで間違いありません。

 しかも、300年当時よりも、相当、パワーアップしております!」


「そんな厄災級の魔物が、我が城に侵入してきて、あろう事に、セリカの部屋に居座っているというのか……」


 ワシは、流石に落胆してしまう。

 ローランド帝国との戦争でさえ、手を焼いているのに、それ以上の厄災が、我が国を襲ってきているのだ。


 もう、ローランド帝国など、子供のママゴトしか思えない。

 アラクネは、ローランド帝国など歯牙にもかけない、本当の本物の厄災。

 実際、過去には、3つの国の国民が食べ尽くされているのだから。


 そして、緊急会議の後、精霊王様が心配だというリーフが代表して、セリカの部屋を見に行く事となった。


 でもって、結論。


 アラクネは、300年前に、3つの国を滅ぼしたアラクネで間違いないという事。

 現在は、改心して、森の精霊様の下僕になってるという事。


 そして、自分が厄災級の魔物であるという事を、セリカに伝えない事を約束させられて、リーフは戻ってきた。


 リーフはというと、たった15分しか経っていないというのに、ゲッソリ痩せて、相当、神経をすり減らしたらしい。

 まあ、相手は、3つの国の国民を食べ尽くした、厄災級の伝説の魔物なのだ。無理もない。


 因みに、この約束を破ったら、カーランド王国を滅亡させるとの事。

 ローランド帝国より、ヤバ過ぎる。


 そして、自分と接する時は、普通に接してくれという。

 あくまで、シロ様は、森の精霊様のお友達という設定で通すらしい。


 シロ様も森の精霊様と同じく、セリカの部屋に住むらしく、リーフは、毎朝、ミルクを5リットル持ってくるように厳命されたとか。


 なんでも、セリカの侍女の胸を見て、刺激されたとか。かつての自分を取り戻すとか、なんとか言ってたらしい。


 兎に角、問題は解決した。

 実際、解決したのかは分からないが、セリカが居るうちは、シロ様もカーランド王国を滅ぼしたりしないだろう。


 森の精霊様は、セリカの事を、たいそう気に入ってそうだし、シロ様も、森の精霊様に絶対服従を誓ってるという話だから。


 というか、森の精霊様って、本当に何者?

 今は亡き、大賢者アルツハイマーに、森の精霊について聞かされていたのだが、聞いた話とは、全くの別物。別精霊?


 森の精霊様は、森の聖域である泉を護る存在。

 その精霊様が、そもそも泉から離れるなど有り得ないのである。


 しかも、厄災級の魔物であるアラクネを従えて。


 聖なる存在である精霊と、魔物が従属関係になるなど、そもそも有り得ない。本当に考えられない事だらけ。


 ローランド帝国より、カーランド国内の問題の方が大き過ぎる。しかも、王都の城の中に、厄災級の魔物と、その魔物を下僕にしてしまえる精霊王が存在してるのだ。


 こんな大問題、ワシのようなちっぽけな人間の力では、どうにもならんな……


 カーランド王は、考える事を放棄した。


 ーーー


(カーランド王視点から、本編に戻る)


【シロちゃんは、精霊様が大好きなのね!】


【はい。僕は、ご主人様が大好きですよ】


 セリカ姫の質問に、シロが答える。


【精霊様が親代わりという事は、お父様とお母様は、既に……】


【はい。父と母は顔も知りません。気が付いた時は、森に居ました】


 セリカ姫は、シロの話を聞いて、シロを抱き締める。

 どうやら、セリカ姫は、シロが、両親に森に捨てられたと思ったようである。

 それを、俺が拾って育てたのだと、本気で信じてるようだ。


【シロちゃん。これからは、私の事をお姉ちゃんと呼んで、甘えてちょうだい!

 精霊様が、シロちゃんの親代わりなら、私はお姉ちゃんになるから!】


【はい! セリカお姉ちゃん】


 シロは、一体、何がしたいんやら。

 まあ、敵対するよりマシだけど。


 さっき、リーフに自分の正体をセリカ姫にバラしたら殺すとか恐ろしいこと言ってたけど、アレはコレの伏線だったのか?

 俺的には、たのしい城生活を乱されなければそれでいいんだけど。


 シロは、俺の邪魔をするような奴じゃないし、俺の言う事は何だって聞く。


 俺が、カーランド王国と上手く付き合っていくという方針を汲み取って、多分、自分が動きやすい身分を手に入れようとしているのだろう。

 それがたまたま、セリカ姫の妹枠という立ち位置なのかもしれない。


【そしたら、シロちゃんの部屋を用意しないといけないわね!】


【僕、セリカお姉ちゃんと、ご主人様と一緒の部屋がいいな……】


 シロの上目遣いの言葉に、セリカはハートを撃ち抜かれてしまった。


【私も、シロちゃんと一緒の部屋がいいと思ってたの!】


 また、セリカ姫の部屋に住人が増えた。

 実を言うと、侍女のマリンも最近、セリカ姫の部屋のに引越してきたし、簡易ベッドをどこからともなく持ってきて、そこで寝てるし。


 理由をマリンに聞いてみたら、俺と一緒の空気を吸いたいとか恐ろしい事を言ってたし。

 まあ、パイ乙カイデーだから、許しちゃうんだよね!


 俺は、俺が好きな女の子に、メチャクチャ甘いのである。


 でもって、今日は、新たなセリカ姫の妹になったシロのお披露目会。


 セリカ姫が、父親であるカーランド王や王妃、それから妹と弟に、シロを紹介したいと開いたお披露目会という名の夕食会である。


 セリカ姫の妹と弟は、双子で8歳。

 妹の方がセラ。弟の方がトリノという名前で、2人ともセリカ姫と同じくプラチナブロンドの髪の色をしている。


 何故か10歳設定のシロが、お姉ちゃんぶって、楽しそうに会話してるし。どんだけ打ち解けるのが早いんだよ……


 元引き籠もりで、ボッチの俺には信じられない。


 王様も、シロがセリカ姫の妹になる事、認めちゃってるし。

 形だけの妹だと思ってたのに、宰相のリーフに、シロの事を、城の者達に王族として扱うようにと指示してるし。もう、本当に滅茶苦茶。


 まあ、シロは、城で大暴れしたらしいし、シロと対峙した兵士も大勢いて、シロが只者じゃないと分かってるからか、誰もシロに対して異議を唱える者などいないのだろう。


 死にたくないなら、当然だよね。


 だって、シロ、セリカ姫の部屋に来るまでに、この城にいた兵士の殆どを簀巻きにしたみたいだし、本気を出せば、簡単に殺されてしまうと、兵士も、王様とかも、全員分かってるのだろう。


 でもって、王様も顔が引きつりながらも、この対応。

 本当は、胃がキリキリしてるに違いない。


 まあ、俺は聖なる森の精霊さん設定だから、我関せずだけど。



 ーーー


 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。


 四天王第一席のシロが、大好きな森の精霊さんを追って城まで来てしまいました。


 そして、シロの正体が、300年前、3つの国の国民を食べ尽くしたアラクネと知って、カーランド王は、胃がキリキリ。


 そして、セリカ姫は、安定の勘違いでした。


 面白かったら、復活の呪文【ブックマーク】か、☆☆☆☆☆押してね!


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