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09 美味しいポーションできました

 食事を終え、俺は食堂を出た。


 さっきのは何だったんだろう……

 コップの水が勝手に動いてブラッドにかかったように見えたが……

 気のせいか?

 考えてもよくわからかったので、家に帰ろうと思ったその時


「アレックスさーん! 良かった! まだ帰ってなかったんですね!」


 声がした方を向くと商業ギルドのアリサさんだった。


「どうしたんですか? アリサさん? アレックスさんを探していたんです」


「俺を? 何かあったんですか?」


「実は……お時間あります? ここではなんですから、よろしければギルドにお越しいただけますか?」


「いいですけど?」

 俺はアリサさんについて再び商業ギルドに戻った。

 そのまま2階のギルマスの部屋に案内された。


「アレックスくん、すまないねぇ。わざわざ来てもらって」


「何かあったんですか?」


「じつはコレのことなんだけど」

 と言いながら俺が納めた、ポーションをギルマスが出した。


 まさかこのポーションに問題があったとか?

 俺の作ったポーションが不良品だったとか?


「実は、恥かしい話ちょっと前に手首を痛めててねぇ。それで君の作ったポーションを買わせて貰ったんだよ。あぁ勿論ちゃんと、ギルドに販売した物をだよ」

 と笑いながら言う。


「そしたら驚いたことがあってねぇ」


「え?」

 俺は何かやらかしたか? と思い 

 不安になり思わず声をあげてしまった。


「いや、悪いことじゃないから安心して。味にビックリしたんだよ。ところで君はあのポーションを自分で飲んでみたかい?」


「いえ……本当に完成したかどうかわからなかったし、ちゃんと鑑定してもらってからと思ったんで」


「なるほどな。だからわからなかったわけか……これを1本飲んでみるといい。料金は俺が支払っているから気にしなくて大丈夫だよ。ああ、申し訳ないが、半分はアリサくんに飲んで貰うから。アリサくんコップを用意してくれるかい?」


「わかりました」

 アリサさんが直ぐにコップを持ってきた。

 それにギルマスは半分を入れ、残りの瓶を俺に差し出した。


 俺は恐る恐る自分が作ったポーションを飲んでみた。



 !


 何だこれは?


「美味しい……」


 同じように飲んでいた、アリサさんが呟いた。


 うん。美味しい。


 爽やかなミントの味がほんのりして、スッキリとした味だった。



「だろ? いやぁビックリしたよ。俺もそれを飲んだ時、普通のポーションと同じで苦いのを覚悟して口にしたんだが……」

 ギルマスが苦笑いする。


「その味で、効果は上級の効果ときた。これはとんでもないポーションだよ、アレックスくん。それで、折り入って君にお願いがあるんだけどアレックスくん」


「何ですか?」


「この上級ポーションに限りウチに納品してくれた場合は手数料は無しとし、買取値段も上級回復ポーションが3000、上級魔力回復ポーションが6000ペニーで買取させて欲しい。そして、材料となる薬草の調達だが、優先的に協力すると約束しよう。その場合も手数料は無しで薬草の代金だけで構わない。その代わりと言っては何だが、ポーションの販売をウチを優先してはもらえないだろうか?」


「厚かましいお願いだとはわかっているが、是非とも、このポーションをウチの商業ギルドの看板商品としたい! お願いできないだろうか?」



「商業ギルドに納めることは別に構いませんが、俺はできれば多くの人の手に渡って欲しいと思ってます。だから、商業ギルドだけを優遇することは……病院やケガを負った冒険者などにも使って欲しい。こうして商業ギルドの皆さんにはお世話になっていますから、できる限りは納めたいとは思いますけれど……」


「わかった。失礼なことを言って大変申し訳なかった」

ギルマスは謝ってくれた。


「いえ。僕みたいな若造が生意気なことを言ってすいません」


「いや、君は素晴らしいよ。こんな凄いポーションを作ったのに、おごることなく謙虚だ。君のみんなの為になればいいと思う純粋な気持ちを私は商売に使おうとした自分が恥ずかしいよ。先程言った提案はそのままで、納品してくれた際は手数料はいらないよ」


「でもそれでは、こちらの儲けが減るのでは?」


「いや、多くの人に使用してもらいたい気持ちは私も同じだよ。君が思う気持ちを、少なからずだが、うちも協力したいと思う。だから、無理はしてはいけないが、できる範囲でいいから是非、うちにも納品してくれないかい?」


「わかりました」



 その後、ポーション納品の際の条件を書いた契約書を交わし、俺は今度こそ家に帰った。


 頼んでおいた、根つきの薬草は、届き次第連絡してくれることになった。



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