表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/77

75 希望の光

 俺は、()()()()()で『複製』してしまった、オリハルコンは「()()()」として、陛下に献上することにした。

 だが、何故かそのオリハルコンを大事そうに抱えているのはエドナードさんだったが……

 そして『複製』したミスリルと、ヒヒイロカネは俺がそのまま所有することになった。


 但し、今後この貴重と言われる三種に限り『複製』する場合は、国の許可が必要となることになった。

 まぁ伝説級をポンポン『複製』されたら価値が下がるしなぁ……

 宝石類に関しても、正式な鑑定書がついている高品質の5mm以上の大きさの物を無断で複製することは禁止された。


「あ、アレックス君? 別に前もって言ってくれたら良いんだからね? 『複製』したらダメとかじゃ、全然ないからね? するときは一言、言ってね? ってだけだからね?」


 エドナードさんに何故か何度も念入りに言われた。


 陛下とギルバードさんが苦笑いしている。


「これもあげましょうか? なら? 」

 俺は『複製』した、ヒヒイロカネをエドナードさんの前に差し出すと、エドナードさんはプルプル小刻みに震えながら

「い、いや……欲しいけど……いやダメだな。うん……」

 その金色に輝いている、ヒヒイロカネに手をのせたままブツブツと呟いた。


「「エドナード!」」

 陛下と、ギルバードさんの雷が落ちた。


「ま、まぁ、アレックスくんが設置してくれたポーション風呂のお陰で、来年度からのポーション用の予算が全て他に回せますからね……うん……」


 エドナードさんが何やらブツブツ呟いている。


 そんなにこの国ってお金がないのか?


 俺がギルバードさんに視線を移すとギルバードさんがゆっくり話し始めた。


「この国はねぇ平和ではあるんだけど、大きな産業がこれと言ってないんだよ。残念なことに、かつては盛んに採れていた鉱石類も今では枯渇しかかって、良質の物が滅多に産出しないしねぇ」

 ギルバードさんが少し寂しそうに言うと、エドナードさんが続きを教えてくれた。


「大きな財源となる鉱石産業が芳しくない今は新しい産業を始めるにも資金源がねぇ……我が国にはダンジョンもないから、冒険者や旅人の訪問も少ないしねぇ。まぁそのお陰で王都と言えど治安は良いんだけどね」

 そういってエドナードさんは苦笑いした。


 なるほど……

 でもせっかく『水の子』を使って豊かになれる手段が目の前にあるのに……

 みんなの幸せの為の『水の子』なのに……


 確かに治安は良いが、俺がいた村でも、みんな貧乏だった。

 みんな毎日の食べる物ですら倹約をしていた。



「これ、大量は無理でも『複製』して売るのはダメですかねぇ? オリハルコンは無理でもミスリルとかなら?」


「アレックス?」

 ギルバードさんが俺の方をみた。


「せっかくある力なのに。勿論、過剰に使い過ぎで価格を無茶苦茶にするようなことはダメでしょうけど、俺はこの国のみんなに豊かになって欲しい」


 俺のこの言葉に、全員が沈黙した。



 陛下が目を閉じ、腕を組み、深い溜息を吐いた。

 そしてゆっくりと目を開け低い声で発した。


「ミスリルに限り、量産を許可する。かつてのミスリル銀山を、ただちに封鎖し、立ち入り禁止とせよ! エドナード!」


「陛下!!」

 ギルバードさんが声を荒らげた。


「ギルバードよ。お前の言いたいことはわかる。これはやってはいけないことだということも。しかしこのままでは我が国は近い将来破綻する」


 え?


 そんなに財政厳しかったの?


「エドナード、アレを」


「はっ!」


 エドナードさんが何やら帳簿のような物を執務室の机の引き出しの鍵を開けて持ってきた。

 そしてそれをギルバードさんの前に開いて置いた。



「こ、これは……ここまで……」

 そこに書かれてあった数字は全て数字の前にマイナスが記されていた。


「年々赤字が膨らみ今やこの状態だ……」

 エドナードさんが小さな声でギルバードさんに言う。


 かつての先代王時代に戦争で敗戦したこの国は、国土も狭く、特質した産業もない。頼りであった鉱石資源は年々減少の一途を辿る一方。

 隣国と貿易をしたくても「その品」がないのだ。


 あるのは豊かな広地だけで、農作物以外に大きなと特色はなかった。

 新しい産業に手を出したくても年々積み重ねられた赤字の為、手を出すのにも躊躇される状態だった。


「我が国の誇りは良民達の笑顔だ。儂はその笑顔に応えたい! アレックスよ! 儂にその力を、ほんの少しだけでよいから貸してくれぬか? 儂は良民を守る義務がある」


 俺はギルバードさんの顔を見た。ギルバードさんも悩んでいるようで、腕を組み、目を閉じていた。


「もはや、背に腹は変えれんと言うわけか……アレックスは神が我々に与えてくれた希望の光だったのかもな……」


 そうギルバードさんが呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ