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73 複製

 俺は今、昨日貰って来た鉱石をテーブルの上に置いて思案中だ。


 その鉱石は漆黒の美しい輝きを放っている。その表面はまるで黒いダイヤモンドのように深く吸い込まれてきそうなぐらい神秘的な輝きだ。

 鉱石の中でも伝説級と言われている鉱石『オリハルコン』が()()テーブルの上で鎮座している。

 そう、なんと俺は伝説級と言われている鉱石『オリハルコン』の『複製』に成功したのだ。


 昨日なんとなく思った『水の子』を使って増やせないかな? を俺は試しに行ってみたのだ。


 そしたら、なんと………


 できちゃった。


 テーブルの上には伝説と言われる「オリハルコン」が2つ、貴重と言われる「ヒヒイロカネ」2つ、高級と言われる「ミスリル」が2つ鎮座していた。


「オリハルコン」だけじゃなく、他の鉱石でも「複製」出来ることが証明されたのだ。



 これってヤバイよなぁ……


 流石に伝説級の「複製」を勝手にしたとなると……

 やっぱり親父殿に報告するべきだな……

 急ぎ、俺はこれらをアイテムバッグにしまい、出かける支度をした。



 シルビー俺、ギルバードさんに用事あるから、出てくるけど、シルビーどうする?


『留守番しとくから行ってこい』


 わかった。じゃぁ留守番お願いね。もしかしたら帰り遅くなるかもだから。一応ご飯の用意しとくから、遅くなるようだったら食べてて。


『了解』


 俺は、急ぎギルドへ向かった。



「こんにちはーー」


「あら、アレックスさん。今日はどうされましたか?」

 いつものようにアリサさんが笑顔で迎えてくれた。

「ちょっと、親父に話があって」

「わかりました。ご案内しますね」

 そう言って2階に案内された。


「ん? アレックスくん? 今日はどうしたんだい?」

 突然の訪問に少し驚いたようだったが、直ぐにいつもの笑顔になった。


「ギルバードさん実は大事な話があって……」

 俺のその雰囲気を察して、アリサさんが急ぎ退出した。

 そして、ギルバードさんも部屋のカーテンを締め執務机からソファーに来て座った。


 俺はアイテムバッグから、オリハルコンを1つ取り出した。


「ん? これは オリハルコンじゃないか? ああ、風呂場設置の対価だね?」


「はい。そうなんですけど」と言い、俺は()()()()オリハルコンを取り出した。


「おや! 2つも、オリハルコンを貰ったのか! 奮発したねぇエドナードも」

 かなり驚いた表情を見せたが嬉しそうだった。


「いえ、違うんです。実はこっちは俺が『複製』した物です」



「え?」


「ごめんなさい。伝説級で滅多に見ないと聞いて、もしかしたら『水の子』で複製できないかな? と思って……やってみたら……」

 俺がその後の言葉を躊躇(ためらう)うとギルバードさんが言った。


「……出来たと言うことか」


「……はい。すいません。俺の軽率な行動で、こんな……」


「いや、謝ることではないよ。好奇心は悪いことではないしね。ただ……」

 ギルバードさんは俺のしてしまった愚かな行為を怒るどころか、優しく俺の話しを聞いてくれる。


「実は……他にも……」

「ミスリル」2つと「ヒヒイロカネ」2つもテーブルに出した。


 これには流石のギルバードさんも驚いたようで、完全に固まってしまった。

 本当にごめんなさい……



 暫くの沈黙の後ギルバードさんがゆっくりと立ち上がり、俺に言った。

「一応本当に複製できているか鑑定してみようかね。話はそれからだ」

 そう言って、優しく微笑んだ。

 そして、一旦全てをアイテムバッグにしまい、二人で鑑定室に向かった。



 鑑定結果は、複製した3つとも間違いなく本物と同じだった。

 その結果を受けて、正式な鑑定書をギルバードさんが作成した。

 そこには鑑定師のサインと、立ち会い人としてのギルバードさんのサインがされていた。


 後でギルバードさんから聞いた話だと希少な鉱石は、宝石と同じで「鑑定書」を作成するとその品質を正式に認定されることになるらしい。

 これでただの鉱石ではなく、国家認定された鉱石となった。


「さて、アレックスくん。これで正式に『オリハルコン』と認められたわけだが、知っての通りオリハルコンは伝説の鉱石だ。このまま国に黙って所有しておくことは出来ないのはわかるね?」


「はい。すいませんでした」


「いや、謝ることはないよ。ただ、一応報告はしとかないとね。伝説級が知らない間に増えてたら、ね?」

 ギルバードさんは苦笑いした。


 そして、その足で俺達は王宮に向かった。


 ギルバードさんが受付で、エドナードさんへの面会を申請すると、暫くするとエドナードさんの部屋へ通された。


「おや? 今日は? 親子揃ってどうしたんだい?」

 驚いた様子でエドナードさんが言う。


「悪いが、人払いをしてくれ、大事な話がある。そしてできれば陛下にもお越しいただきたい」

 その真剣な表情にエドナードさんも先程の柔らかい表情は消え、カーテンを締め、近くに居た事務官を下がらせた。そして、そのまま退席し、俺達はソファに座り待った。


 俺は、目の前に置いてある鉱石()()と「鑑定書」を見ながら、自分のしてしまったことに深く反省していた。




『お忙しい中、最後までお読み頂き大変有難うございます』


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