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72 幻の鉱石

 約束通り、執務室を訪れようとすると、シルビーは退屈だから散歩に行ってくると言って、ついて来なかった。その為、仕方なく俺は一人で来ることになった。


「失礼します! アレックスです」



「いやあ、いらっしゃい。ちょっとそこに座って待っていてくれる? 奥の部屋にあるから取ってくるよ」

 そう言って奥に消えていったエドナードさんに言われたままソファに座ると、陛下が部屋に入ってきた。


「アレックスよ、第一騎士団への風呂場の設置、世話になったのぅ」

 普段と変わらず優しい笑顔を俺に向け、ソファに座った。


「お待たせ。アレックスくん」


 そう言って、エドナードさんがガラガラと荷台を奥の部屋から引いて出てきた。

 金色の鉱石?  銀色の鉱石? 真っ黒の鉱石? そこには初めて目にする鉱石が数多く積まれていた。


「沢山あるけど、アイテムバッグがあるアレックスくんなら大丈夫だと思って?」

 そう言ってエドナードさんがちょっと自慢気に俺を見た。


「この金色のは? それに銀色のも? 黒いのまで!」

 俺はその、美しく輝くまるで宝石のような鉱石を目の前にしてちょっと興奮して、身を乗り出していた。


 そんな俺の姿を見て、エドナードさんが目を細めて言う。

「ハハハッ、順番に説明するね」


「先ずはこの銀色の鉱石だが、これは『ミスリル鉱石』だよ。ミスリルは聞いたことはないかい? 剣の素材に使われていることもあるんだけど、まぁあまり目にする機会はないかな?」


 ミスリル! 聞いたことはあった。

 もの凄く高級な鉱石で、お金持ちの剣士などが持っている剣に使われたりしていると。『暁』の剣士であったブラッドが「Sランクになったら絶対にミスリルの剣を!」とよく言っていた記憶がある。


「次に、こっちの金色の鉱石だが、これは大変貴重な物でねぇ国内でもあまり無いんだよ」


「え? そんな貴重な物貰っても良いんですか?」

 俺が驚いて聞くと陛下が

「お主の今までの活躍から言えば、この程度は安過ぎるぐらいだ。気にすることはない。ハッハッハツ」

 そう言っていつものように、豪快に笑う。


「で、この金色のだが、これは『ヒヒイロカネ』と言って、こちらは見ての通り金が含まれている鉱石だよ」


 え? 金が含まれる? めっちゃ高いんじゃないのか? それ?


「最後にそこにある黒いのは『オリハルコン』と言って幻の鉱石とも言われているほど大変貴重な鉱石だよ」


「え?」


 思わず声が出てしまった。


「今回は特別に用意した物なんだ。今では国内でも、オリハルコンは殆ど産出しなくなってねぇ、本当はもう少し用意してあげたかったんだが、こちらは一本で我慢して欲しい」


「え? そんな貴重な物、貰えませんよ……」

 流石に俺も、そんな国宝級な鉱石を貰うわけにはいかないので、エドナードさんに言うと


「いやいや、君の今までの功績を考えたら、この程度で足りないぐらいだよ。遠慮はいらないからね」

 そう言ってエドナードさんが俺の目の前にその国宝級の鉱石『オリハルコン』を見せた。


「今存在する鉱石の中で最高峰と言われる、オリハルコンだよ? 持ってごらん?」

 普段のキリリとした切れ長の目が、少し目尻が下がり優しい表情に変わった。


 俺は恐る恐るその幻の鉱石と言われる『オリハルコン』を手にした。

 これって『水の子』増やしたりとか出来ないよなぁ……流石に。

 俺はそんなことを考えながら次々と出される貴重は鉱石に心踊っていた。



「どうだ? アレックスこれで良い剣は作れそうか?」

 陛下が、自分の顎髭を撫でながら得意気な顔をしニンマリと笑った。



「はい! ありがとうございます!」


「では、これは儂からのプレゼントじゃ」


 そう言って黒い小箱を差し出した。


 ? 


「開けてみるがよい」


 黒い高級そうな革張りで出来た小箱の蓋を、俺はゆっくり開けた。


「これは?」


「これも、もとは鉱石と言えば鉱石だな。ダイヤモンドにサファイア、ルビーにエメラルドだよ」

 そう言って陛下は髭を触りながらニマニマした。


「ええええ? それって石って言っても宝石じゃないですか?」


「これは宝石と言えば確かにそうじゃが、粒が小さかったり、形が悪かったりと宝具には向いてない物なんじゃ。だからそんなに高価ではないから安心したまえ」


「それでも結構なお値段なんじゃ?」

 元の貧乏性が出てしまった。


「儂のポケットマネーからだから気にすることはない。ハッハッハッ」

「ありがとうございます……」

「剣の飾りなどに使うとよい!」

「なるほど……」

「その代わりと言っては何じゃが……良い剣が出来たら見せてくれるか?」

 陛下はそう言って目を輝かせた。

「勿論です!」

 俺は感謝の気持ちを込めて答えた。


 鉱石をアイテムバッグにしまい、三人でお茶を飲んでいるとシルビーが帰ってきた。


 お前、何処まで行ってたんだよ……



『土産だ!』


 へ?



『グリフォンだ!』


「「「「ええええええええええ」」」


 グリフォンって伝説級の魔獣じゃん!



 先程までの和やかな雰囲気は一変し、陛下とエドナードさんが能面のように固まった。



 シルビーくん? お家に帰ったら大事なお話がありますからね?



 俺は今日のお礼にと、シルビーが狩ってきたグリフォンを陛下に献上することにした。


 陛下はシルビーに大層、恐縮していた様子だが、シルビーはグリフォンの素材には全く興味が無く肉のみくれれば良いと言い放った。


 相変わらずの食いしん坊ぶりだ。





『お忙しい中、最後までお読み頂き大変有難うございます』


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拙い作品ですがこれからも応援お願いします。



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