65 親父を招待する(1)
──翌日、俺は商業ギルドを訪ねていた。
昨日は、シルビーの提案で勢いで作ってしまった「ポーション風呂」だが、冷静に考えるとアレはヤバイ……
黙っていると確実に雷が落ちる予感がした……
それで念の為俺は、俺の親父になったギルマスのギルバードさんに相談にやって来たのだ。
「子が犯した罪は親が受けることになる」
あの言葉を思い出したからだ。
まぁ罪にはならないとは思うが……
アレはヤバイと自分でも思う……
まさか本当に出来るとは思わなかったしなぁ……
ありえないだろ?
24時間自動作成のポーションで出来た風呂?
材料費タダで? 永久に作り放題??
もはや、俺人間じゃなくね? これ?
これ売ったらいくらになるんだろ……
確か上級魔力ポーションって、売ったら1本5000ペニーだっけ?
溢れ出るぐらい出来てるよ?
これ絶対ダメなやつだわ……
またコッテリ絞られそうな予感……
「ギルドに来るのも久しぶりだなぁ」
俺はちょっと懐かしく思いながらドアを開けた。
「こんにちはー」
「あら! アレックスくん!」
一瞬驚いた表情を見せたアリサさんだったが直ぐに、にこやかに微笑み俺の側まで走ってきた。
「お久しぶりです。アレックスさん。どうでしたか? お祖母様のお墓参りは?」
そう俺に聞きながら、俺専用の部屋に案内される。今回の邪神とのことは、箝口令が敷かれている為、ごく一部の者しか知らないトップシークレットだ。俺は適当に誤魔化した。
「うん。何もない田舎だけどねぇ。ゆっくりできたよ。長い間、ギルバードさんを借りて悪かったね? それに、リンゴパイまでありがとう! シルビーが凄い喜んでたよ!」
「あんなので良かったら、いつでも作りますよ? 親子水入らずの旅をゆっくり出来て良かったです」
アリサさんは、まるで自分のことのように喜んでくれた。
本当に良い人だなぁ。アリサさんって。
今後のこともあり、ギルバードさんと養子縁組して正式に俺が、ギルバードさんの息子になったことは公表してあった。
まぁゆっくりではなかったけどな……
そこは笑って誤魔化した。
「今日は?」
「ちょっと、ギルマスに、いや、親父に相談したいことがあって……」
俺は初めて「親父」と言ったことに、ちょっと照れくさく思ったが、俺のことを本当の息子のように大事に思ってくれているギルバードさんに対して、これは俺の気持ちでもあった。
「わかりました。では2階に案内しますね」
意外にも俺がギルマスのことを「親父」と呼んだことに対して、アリサさんの反応は特に何もなかった。慣れれば俺もそうなるのだろうか? 早く慣れないとな……
アリサさんに案内されて部屋に入った。
「アレックスくん。体調はどうだい? 今日はシルビーくんは留守番かい?」
「体調は問題ないです。シルビーは家で昼寝しとくって……」
「で? 俺に相談とは?」
「実は……昨日、家の風呂を改築したんですけど……」
その後、俺は昨日、勢いで作ってしまった「ポーション風呂」についての話しをギルバードさんにした。
案の定ギルバードさんが固まった。
だよな……俺でもそうなります。
こんな話し聞いたら……
すいません父上様。
──暫くの沈黙の後。
「いや、ごめんごめん。ちょっとビックリして。ありがとう。ちゃんと言ってくれてアレックスくん」
優しく微笑んでくれた。
「……すいません。つい勢いでシルビーと……」
「いや、良いんだよ。こうしてちゃんと報告に来てくれたことだしね。それより、その出来てしまった『ポーション風呂』を見せて貰ってもいいかい?」
「はい! 是非! 入って下さい!」
「わかった。今日の夕方仕事が終わったら君達の家を訪れるが、構わないかい?」
「是非! あ! それならエドナードさんとクラメンスさんも一緒にどうですか? 俺の作った家も紹介したいし!」
「そ、そうだね……二人にも言っておくよ。じゃぁ」
「はい! 是非来て下さい!」
そう言って俺はギルドを後にした。
怒られるかと思って覚悟を決めて行ったが、逆に褒めて貰ってちょっと嬉しかった。
よし! 急いで帰って歓迎の準備だ!
町で必要な物を買って、急いで俺は家に帰った。
シルビー! シルビーーーー!
お願いがあるんだけどーー
『何だよ? にぎやかな、せっかく昼寝してたのにぃ』
シルビーお願い! 今日の夕方ギルバードさんがウチに来ることになったんだ!
クラメンスさんやエドナードさんも来るかもだから、お肉採って来てもらっていい?
『おおお! そういうことなら任せておけ! とっておきのを我が狩ってきてやる。行ってくる!』
ありがと! よろしくねー!
シルビーは、あっという間に駆けて行った。
俺はその間に、庭のブドウを収穫しワインを作った。夜だけどバーベキューがやっぱり良いよなぁ……
先日作ったバーベキューコンロを家の前に動かし、木材を使ってウッドデッキを作成した。
そして屋根も作り、テーブルセットや、流し台なども完備した。
こんな感じかなあ?
これってポーションの応用で、ここにブドウの木植えたら自動でワインが出来るんじゃないのか?
俺天才かも!
俺は急いで、株分けしておいたブドウの木をウッドデッキの横に植え『水の子』を使ってワイン樽を作成し、ブドウの木をワイン樽で被せ、その中にブドウが入っていくイメージをした。
「『水の子』水の力で、ブドウからワインを作れ! 自動で樽にワインを貯めて行けーーーー!」
溢れたらいけないので、俺はちゃんと飲んだ分だけ補充されるようにイメージしておいた。
うん! 俺って天才!
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