57 新たなる影(1)
俺達が迷路の中を彷徨っているような感覚に陥っていた時、王都からの使いに衝撃を受けた。
その知らせを受けたギルバードさんが血相を変えて、俺達の前に現れた。
「シルビーくん、アレックスくん、これを!」
手紙を渡される。
俺は直ぐにシルビーに内容を教える為に読んだ。
「王都東、リーガルベルグ領にて、領民や作物に異変あり。至急現地に向かわれたし。現地にてお待ちします。──クラメンス・リーガルベルグ」
クラメンスさん本人直筆の手紙だった。
!
リーガルベルグって! 一瞬俺達は、その書かれていた名前を見て言葉を失った。
そう、王立特殊魔道部隊長 クラメンス・リーガルベルグ伯爵領だ。
クラメンスさん自身は、特魔の隊長の任務がある為、領地の管理はクラメンスさんの甥にあたる人が代官として実際は行っているらしい。
『行くぞ! 直ぐに出る!』
シルビーはそう言うと直ぐに、村の林で待機させていたドレイクの所に風のように走って行った。
俺達は急ぎ出立の用意をし、村長さんに別れを告げた。
まだ原因解明が出来ていないのに、村を離れることに俺達は心を痛めたが、クラメンスのことを思うと、気が早った。
────「ぎぇーーーーーーー」
「きゃあーーーーーーーーーー」
行きと同じく俺達は今、空の上だ。今回は急ぎの為、ドレイクに最高速を命令したシルビーに文句を言うことも俺はできず、我慢していたのだが……
も、もう限界です……
『アレックスうるさい黙れ』
シルビーの珍しく低く、厳しい口調が聞こえた。
今回の件でシルビーは、全てを解決出来なかったことで、かなりイラ立っているようだ。
そして、クラメンスさんの友人であるギルバードさんの表情も暗い。
少しでも早く現地に行かなくては……
とは俺も思うが
「キエエエエエエエエエエ」
声が出てしまう……
すいません……
シルビーに睨まれた。
────そして空も暗くなり始めた頃、王都が見え始めた。
もう少し! もう少しだ!
クラメンスさんのリーガルベルグ領は王都の東に位置し、ドレイクなら直ぐの距離だ。
そして、すっかり辺りも真っ暗になった頃、俺達はリーガルベルグ領に到着した。
俺達は急ぎリーガルベルグ領主館を訪ねた。
今回、ここが作戦会議場になっている。
ギルバードさんが、領主館の門番に挨拶し、直ぐに俺達は中の応接室に通された。
「クラメンス!」
「ギルバード! アレックスくんに、聖獣様! 随分早かったですねぇ、あと10日ぐらいはかかると覚悟していたのに!」
クラメンスさんの顔に少し安堵の表情が見えた。
「ドレイクをぶっとばして来たよ!」
ギルバードさんがクラメンスさんを気遣うように少しおどけた表情をした。
『それより状況を!』
低く抑揚の一切ない声、普段のシルビーとは全く違う声がした。
シルビーの、いつにない緊迫した雰囲気に、直ぐに特魔の隊長の顔に戻り、クラメンスさんが答える。
「申し訳ございません。安堵に浮かれておりました! 手紙にも書きましたが原因不明の病が突然流行り出し、作物は急に枯れ始めたとのこと。状況的に判断すると、アレックスくんの故郷での話と此処も同じかと思われます!」
『発生源は特定できたのか?』
「いえ、申し訳ございません。発生場所は特定できましたが、それ以上のことはまだ何も。現在、発生場所は魔道士による浄化魔法にて、なんとか瘴気を抑える状態を保っておりますが、このまま長引けば……」
『浄化に関しては我がこれから行ってくるゆえ、魔道士をこちらに帰すように』
「これからでございますか?」
『時は一刻を争う! 我に夜など関係ない! 今後の指示を行う!』
「はっ!」
『先ずは、我が浄化に行ったと同時に、皆で回復ポーションを領民に配り、病人を急ぎ回復せよ。残った者で領内の変化があった場所や人、作物など、小さなことでも良いから聞き取り調査を。次に鑑定、探索魔法が使える者を我の下に集めよ! そやつらに我が気配探索魔法を授けよう』
『浄化作業とは別に原因探索を行う! 我が戻るまでに各所準備しとけ!』
「は! 承知しました!」
まるで上官に返答するように、クラメンスさんは背筋をビシッと伸ばしシルビーに礼をとった。
『ギルバードよ、アレックスを頼んだぞ!』
「お任せ下さい!」
『アレックス、ここから一歩も外に出るでないぞ! いつお前の力が必要になるかもしれぬ、それまでしっかり休んで体力を残しておくようにせよ!』
わかった……
俺が返事をするか、しないかを待たずしてシルビーは走り去って行った。
今回の発生場所も領内に流れる川だった。
そこに大量の魚の死体が浮いていたため、今回は場所の特定が早かったそうだ。
俺はギルバードさんに手伝って貰いながらポーションを作成した。
そして、今後の為を考え、樽に予めポーションを作り置きすることにしたのだ。
アイテムバッグの中に入れておけば、劣化を防げることがわかった為だ。
何かの時の為に、ポーションをこの機会に大量にストックすることにした。
クラメンスさんの計らいにより、領主館で働く人達も、ポーション作りに協力してくれることになった。
以前の実験から、薬草をすり潰す作業は誰が行っても同じ効果なポーションが作成できることがわかったからだ。
俺は、すり潰された薬草が次々と運ばれてくる中、ギルバードさんに手伝ってもらいながら『水の子』を使用し、ポーションを作り続けた。
そして、それから数時間経った深夜に、浄化を行ったシルビーと合流して気配探索を行っていた特魔の人たちが領館に戻って来た。
俺達は、交代で仮眠をとり警戒を続けていた。
「お忙しい中最後までお読み頂き大変有難うございます」
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