51 空の旅へようこそ(1)
ただいまーー
全ての書類の提出を終えた俺は急ぎ家に帰ってきた。
思ったより遅くなった為、シルビーのことが心配だったからだ。
シルビー遅くなってごめんー
あれ?
いないのかなぁ?
そう思って俺は庭に出て探してみた。
『あぁお帰りー』
何処行ってたの?
『ん? ちょっとその辺を散歩に』
ん? シルビー?
何か俺に隠してない?
シルビー? 正直に言ってごらん?
今なら間に合うよ?
『いや、別に……』
ふーーん。
あっそ。何もないならそれでいいんだけどね。
何もないならね。
何も変わったことはなかったんだね?
シルビーくん?
『え、えっと少し? ちょっと? ゴニョゴニョ……』
シルビー! 言いなさい!
『……ちょっとだけ散歩に遠出したら……ちょっと楽しくなって……』
『ちょっとだけいつもより、張りきったと言うか……ゴニョゴニョ』
で、何処に獲物おいてるの?
正直に言ってごらん?
『は、林の中に……ちょっとだけ……』
林の中に隠してるの?
『ほんの少しだけ……』
シルビー案内しなさい!
俺はシルビーの背に乗り、林の中へ向かった。
なんじゃーーーー
これーーーーーーーーーー!
そこにはアースドラゴン、ワイバーン、キマイラ、オーガ、キングオークなど、どれも凶暴認定されいる物ばかりが黒山となっていた。
シルビーさん?
これはどういうことか説明してくれますか?
『ちょっと、久しぶりに運動したら、こんな感じ? まぁ良いではないか! たまには、身体を動かさんと怠けてしまうわい!』
…………これどうすんのさ!
『食う!』
ねぇシルビー、俺と一緒にここにいたら、退屈?
運動不足になるから退屈?
俺は前から気になっていたことを、ついに聞いてみた。
『いや? 何を言っておる? 我が狩りに行くのは習性だからな。アレックスがいようが、いまいが変わらんぞ? 暇だから狩りに行くわけではないぞ?』
でも……
シルビーには、ここは狭すぎるんじゃないかと思って……
『くだらんこと考えてないで、さっさと晩飯作れ! 我は、アレックスが作る焼きリンゴがあればそれでよい!』
シルビーーーーーーーー!
俺はシルビーに抱きついた。
何だか最近大きくなったシルビーを、無理やりここに閉じ込めているような気がずっとしていたからだ。
『我がお主の側についておらんと、お主は、ちと頭が残念だからなぁ』
なんだよ。それ……
『くだらんこと考えんでよいわ! 我は我のしたいようにする!』
そっか、そうだよね。シルビーだもんね!
ご飯にしよっかーー
『おお! オーガ美味いぞ! あと、アースドラゴンもなかなか美味い! どっちも食うぞ!』
どっちかにしなさい!
晩ご飯を食べ終えたあと、俺はギルバードさんの息子になったことをシルビーに話した。
意外にもシルビーは賛成だった。
シルビー今度さぁギルバードさんと一緒に、俺の田舎の死んだばぁちゃんの墓参りに行くんだけど、シルビーも出来たら一緒に来てくれないかなあ?
俺の生まれた故郷をシルビーにも見て欲しいんだけど……
『別に構わんが、遠いのか?』
うーんそうだねぇ結構かかるかなぁ……
『なら、ドレイクでも捕まえて来るか』
え?
『竜種の一種で、空を飛ぶことができるぞドレイクなら、ドレイクに篭をつけて運ばせたら早いぞ』
でも、ドレイクって人間の言うこと聞くの?
『我が命令して効かぬ獣などおらぬわ!』
それって可哀想じゃん。
普通に馬車にしようよ。
『馬車で何日ぐらいだ?』
10日ぐらいかなあ?
『ありえんな。ドレイク決定な! 異論は認めん!』
えええええええええええ
『10日も狭い馬車の中とか、身体がなまってしまうわい! 行く日が決まったら言え。我がドレイクを連れて来てやろう!』
連れてきてやろうって……
シルビーさんや
無茶苦茶だなぁお前……
でも、空の旅か……
面白そうだねぇ
ギルバードさんに相談しとくよ。
ねぇ、ならさぁ、帰りは海辺の町とかも寄ってみない?
『それは良いな! 美味い魚とかあるかもだしな!』
そっちかよ!
それから、ギルバードさんと相談し、シルビーの提案通り、ドレイクを使用して空の旅をすることになった。
そのことをシルビーに伝えた次に日、立派なドレイクが2体、うちの庭に鎮座していた……
シルビーさんや、これどうすんだよ……
いくらなんでもデカすぎだろ、コイツら
しかも顔怖いよ……
咬まないよね?
マジで大丈夫ですか?
シルビーさん?
それから、俺は『水の子』を使用して、頑丈な篭を作ったり、旅が快適になるように、篭に色々設置した。ソファやテーブルなども……
必要な荷物を積み込み、いよいよ出発の時が来た!
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本当に違うんです!
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初めてのジャンル挑戦の為、当初は短め予定でした。
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