48 告白(2)
えっと……これは……
目の前で、にこにこ笑顔の国王陛下とは対照的に、普段からちょっとインテリ風のキリリとした目が印象的なエドナードさんの顔が……
怖いんですけど…… 能面のように、一切笑ってないんですけど……
出されたお茶にも一切、手をつけず無表情なんですけど……怒らないって言いましたよね? 確か?
これ、俺から切り出すべきですかねぇ?
「で? 儂にしたい話しとは? アレックス?」
「実はですねぇ……以前に薬草を採取しに「魔の森」に行きまして……」
「は? 一人で「魔の森」に行ったのか? お主?」
「はい……」エドナードさんを見ると続きを促されたので
「その時にですねぇ、なんというか……偶然にですねぇ、ちょっと? トラブっていたドラゴンを助けてしまいまして……」
「はぁあああああああああああ?」
国王陛下とは思えないような、言葉だった……
「いや、すまぬ。続きを」
「たまたま通りかかった時にドラゴンさんがちょっと困っていたらしく、助けを求められまして、それで、ほんのちょっと俺が手を貸した程度なんですけどね」
「「ドラゴンが人間に助けを求めるぅーーーー?」」
凄いハモリ! 仲良しですね……
ピッタリ同時に二人に言われた。
「本当に偶然なんです。で、その時にドラゴンさんと友達になりまして」
「はあああああああああああああああ??」
「ドラゴンと友達ぃーーーーーー?」
「いや、その時に、ドラゴンさんが、もし俺に本当に困ったことがあれば、自分を呼べってドラゴンさんが言ってくれたんで、俺が勝手に友達だと思っているだけかもなんですけどね?」
「困った時に呼べ? ドラゴンが人間に? 呼べば来る?」
「ありえないーーーーーーーーーい!」
国王陛下?
「いや、本当に偶然だっただけなんで……」
「なるほど、神の子……これが神に選ばれし者」
なんか二人で納得している様子なんだけど……
「その帰りに、まだ子供だったシルビーを拾って帰ったんです」
「なるほどなぁ……」
「ドラゴンの件はわかった……わからんけど……まぁよい。で、他に隠していることはあるか?」
「隠していると言うか……」
「アレックスよ。お前を責めているわけではない。ただ、今回の野菜の件と言い、もし儂らが知っておれば、ここまでの混乱は避けれたかもしれん」
「言ってる意味がわかるな? アレックス?」
陛下がゆっくりした口調で言う。
「はい……すいませんでした」
「いや、謝ることではないが、良いことには間違いないんじゃが、でも、やりようと言うか、前にも話したが、お前自身は自由だ。やりたいことを、どんどんやって行けば良い。それに対し我らは全面的に協力はする。だが、ここは君一人で暮らしているわけではない。他の者と共存する以上は、それなりに考えねばならんのはわかるな?」
「はい、陛下のおっしゃる通りです。俺が安易に行動したせいで、迷惑をおかけしました」
「ようは、何かするなら儂らに相談してくれれば良いだけじゃ」
そう言って陛下は微笑んだ。
「で、他には隠していることはないのかい? アレックスくん?」
先程までの無表情から今度は普段の冷静だけど、親切なエドナードさんに戻った顔で言われた。
全部話そう。
この人達なら俺の力になってくれるはず!
「実は『水の子』の力についてなんですが、実際、俺自身も詳しい構造はわからないんですけど、物体に対し『水の子』の力「水」の中? にある力? が宿って、イメージ通りに自在に出来るんです。上手く言えなくてすいません……」
「うーん。例えばなんですけど、木材があってそれに『水の子』の力で家が出来るようにイメージするんです。そしたら家が出来るんです」
「「は?」」
お前何言ってんの? って思いますよね。そりゃぁ俺でも、こんなこと聞いたら思いますもん。
「うーーん。どうしよ。なんか具体的に説明できないかなぁ……」
あ!
「あの、説明するより実際にお見せしたほうがわかると思うんで、何か布ってありますか?」
「ぬ、布か?」エドナードさんが言った。
直ぐに立ち上がり部屋を退出した。
そして、暫くしたら、女官の人が何種類かの布地を持って来てくれた。
俺はその中から2枚布を選んで、女官の人が退出したのを確認し、
イメージした。
そう、あの袋だ
何でも自在に出し入れできる便利なあのイメージ
「『水の子』この布に水の力を宿せぇーーーー」
「便利なバッグを作れーーーーー」
「水を纏えーーーー」
出来たかな?
俺はソレを手に取り、一応念の為に、向こうにあった机をバッグに入れるイメージをしてみた。
そうすると、袋の中にすーっと吸い込まれるように、机が入った。
よし! 成功! 次は!
そして、その机を今度はバッグから取り出すイメージをした。
ドスンッ!
机が元の位置に設置できている。
よっし! 問題ない!
「こんな感じです。物体に『水の子』を使ってイメージすると形に出来ちゃうんです」
え?
二人とも小刻みに震えていた。
あれ? 俺なんかヤバかった?
いきなりコレ見せたのマズかったかなぁ?
足と手が震え、額から汗が滴り落ち、顎が外れるぐらい口をポカーン開けたまま、まるで魂を抜かれたか如く、呆然と立ち竦んでいたこの国のツートップの姿があった。
あれ? まだこれから、もう一個作るんだけど?
いいよね?
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