47 告白(1)
『あーーもう痒うてかなわんわ。我は戻るぞー』
だから、シルビーは無理だって言ったのにぃーー
俺たちは朝から庭の栗の木の栗を拾っていた。
俺が栗ご飯を作ってやる言ったら、この食いしん坊くんが付いてきて、案の定この有様だ。
先日見せた、あの威風堂々とした姿は何処にいったやら……
シルビーお風呂入れてあげるから、待ってなよ。直ぐ俺も戻るからーーー
『早くしろよーーアレックス!』
わかったってばーー
いつもの二人の会話だった。
今日の俺は朝から少し浮かれていた。なぜなら、今日は先日エドナードさんと約束した、第一騎士団の練習を見学させてもらえることになっていたからだ。
シルビー俺、今日の午後、王宮の第一騎士団に見学に行くんだけど、シルビーはどうする?
『興味ないから留守番しとく』
お前それご飯が出ないからだろ!
『そのようなことは我は……』
まぁいいや。んじゃ昼ご飯食べたら俺、出かけるから留守番よろしくね。
『おやつに焼きリンゴな』
本当にリンゴ好きだなぁ……
俺は苦笑いした
そうして俺たちは、ちょっと早めの昼食を終え、俺はシルビーのおやつの「焼きリンゴ」を作り、他、フルーツを沢山用意させられ、出かける準備をした。
んじゃ、行ってくるから留守番よろしくね~
戸締りはちゃんとしててよ!
あと、遠くに行っちゃダメだからね!
知らない人にもついて行っちゃダメだよ!
あ! 食べられない程の狩りはしない!
わかったーー?
『さっさと行け!』
あ! 散らかしたらダメだよ!
ちゃんといい子にしてるんだよ?
『いいから、さっさと行けぇーーーー』
じゃあねーー行ってくるーー
『お前は我の小姑か……知らない人について行くなは、そっくりそのままお前に言いたいわい!』
『さて、うるさいのも消えたことだし、我も運動するかな。フフフッ』
口角を少し上げ、不敵な笑みを浮かべた聖獣様だった。
────俺は、言われた通りエドナードさんの執務室をたずねていた。
「こんにちはー」
「いらっしゃい。アレックスくん。早速、案内するよ。ついて来て?」
「ありがとうございます!」
「しかし、まさか君が剣術を習いたいとはねぇ」
「やっぱり、俺みたいな、ド素人が厚かましいですよねぇ……」
「いや、そういう意味じゃないよ。神の子と言われる最強な力を持っている君が、剣術を学びこれ以上強くなりたいと望むとは、素晴らしい向上心だと思って、私は尊敬しているんですよ」
そういってエドナードさんは目を細めて俺に微笑んだ。
「そんな、たいそうな気持ちでもないですけどね……」
俺は苦笑いした。
「ここだよ! あそこに見えるのが、第一騎士団の宿舎だ。そして、ここが、第一騎士団専用の練習場だ。奥に見えるのが、特殊魔法部隊の練習場で、右側は第二騎士団以下王国軍の練習場だよ」
エドナードさんが色々と教えてくれる。
「第一騎士団と他の王国軍の練習場は違うんですねぇ」
「第一騎士団は国王の近衛も兼ねているからねぇ、あとは諜報活動やら、活動内容は多岐に渡るんだ。だから便宜上別にしてあるんだ」
「え? そんな重要なところに俺みたいなド素人が見学に行かしてもらって大丈夫なんですか?」
「君の秘密を守るなら第一騎士団が適している。それに、神の子であるアレックスくんなら、第一騎士団だね」
何かよくわからない説明をされ、俺は苦笑いした。
「隊長のダニエルを呼んでくれ。エドナードが来たと言えばわかる!」
「は! ただいま!」
そう言って騎士さんが走って行った。
直ぐに第一騎士団の隊長が俺達の前に現れた。
「君は! あの時の少年!」
「知り合いか? ダニエル?」
「はっ! 以前、魔の森で偶然会いまして ……」
「魔の森だと!」
「はっ! そこで……ゴニョゴニョ……」
「何だ! 何があった? 申してみよ!」
「実は……、そこにいる少年が、アレックスくんだったかな?」
一瞬、その隊長は俺の方を見た
「彼が、ド、ドラ……」
「何だ? ダニエル! はっきり言え!」
「ドラゴンを助けた! と、彼が言いまして!」
「はあああああ? ドラゴンを助けた??? 何だそれ??」
ヤバイ……すっかり忘れてた言うの……
エドナードさんが俺の方を見た。
俺は仕方なく頷くと、エドナードさんは天を仰いだあと頭を抱えた。
すいません。隠してたわけじゃないんです……
最近色々あったんで忘れてただけなんです……
ドラゴンさんは忘れてないですけど、言うの忘れてたんです。ごめんなさい……
俺は心の中で謝りまくった。
「えっと……アレックスくん? ちょっといいかな?」
「はい……」
「ダニエル! 急用ができた! 見学はあとだ」
「はっ!」
そうなりますよね……すいません……
俺は無言で歩くエドナードさんの後をついて行った……
そして、予想通り先日と同じ部屋のソファに今、座らせられている。
「アレックスくん、どういうことか説明してもらっても構わないかい?」
優しい言葉で言うエドナードさんの目は笑ってない。
こ、怖いですから……
「怒ってるんじゃないからね?」
その目が怖いんですが……
ちょうどその時、陛下が部屋に入って来られた。
「アレックスよ。よく来たな。今日は騎士団の見学か?」
「はい」
「で? 何故ここに? 儂に急ぎの話があると聞いたんじゃが?」
……ですよね? 話さないとですよね?
「アレックスくん、怒らないから全て話してもらっていいかい?」
怒らないからを強調して何度も言うのが逆に怖いんですけど……エドナードさん
「まぁ、ゆっくりで良いではないか? せっかくアレックスが来たんじゃし? お茶でも飲みながら話せば。のう? エドナードよ?」
そう言って、陛下は微笑まれた。
「お忙しい中、最後までお読み頂き、大変感謝しております。」
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