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45 騙された!

『おい、バーベキューするぞ!』


 えええ? またやるの?

 先日、庭に作ったバーベキューコンロでする、バーベキューがよっぽどが気に入ったらしい、うちの相棒は、あれから毎日のように言ってくる。



 って! お前ーーーーーーー!

 またそんなに狩って来てーーーー!


『問題ない! 全部、食える!』


 はぁ? こんだけ全部食うの? お前?


『食える!』


 食えるってシルビー!

 無理してまで食べることはないんだよ!

 一回の食事で食べれる分だけ狩ってって言ったじゃんかーーーー



『だから、コレが一回分だ』


 は? お前これ一回で全部食う気なのか?


『さっきからそう言ってる』


 お前デブになるぞ?


『聖獣にそんな心配はない!』


 うそだーーーーーぁ

 最近お前腹周り、タプタプしてきてない?



『そ、そのようなこと……が、あるはずない……』

『我は聖獣フェンリルぞ……』


 聖獣が太らないって誰が決めたのさ?


『聖獣は完璧だからだな……聖獣が太るなぞと言うことは……』


 食べ過ぎはダメだってシルビー

 身体にも悪いんだから……


『運動不足解消にも狩りは必要なんだ!』


 わかるけど……


 ってさぁ、前から気にはなってたんだけど、シルビーこれ何処まで行って狩ってきてるの?

 こんな馬鹿デカイ熊や、バッファローや大鹿なんか、ウチの雑木林に毎回いるの?

 それだとウチの家やばくない? 

 襲われたりしないの?


『あの林には、そんなデカイのはいないから心配ない。野うさぎや、山鳥や、キツネ程度だ。所詮』


 え? ならこれ何処で狩って来たの?


『向こうの山だ!』



 は? お前あの山まで狩りに行ってるの?


『運動は必要だからな』


 運動が必要なのはわかったけど、あまり遠くまで行ったらダメだよ?

 ケガでもしたらどうするんだよ?



『だーかーらー我に怪我を負わせるようなヤツはいないって!』


 でもさー、シルビーってあの森にいた時、俺と初めてあった時、怪我してたじゃんか!


『あれは怪我じゃないぞ?』


 え?


『あれは、狩ってきた獲物の返り血がついてただけだぞ?』


 は? 


『お前がよく見もせず勝手に勘違いしただけだぞ』



 えええええええええ


 うそーーーん!


 でも、痛そうに鳴いてたじゃん!


『ちがうぞ? あれは腹が減ってきてただけだぞ? そろそろ狩りに行こうかと思ってたら、お前が勝手に我の側に来て、世話を焼くから仕方なく』



 ええええええええええええ

 マジで? 怪我してたんじゃないの?



『赤子と言えど我は、聖獣フェンリルの子だぞ? そのへんのマヌケ共に我がやられるわけがなかろう』



 騙された……

 親とはぐれて、おまけに怪我してると思ったから、可哀想になって連れて帰ったのに……

 ひどい……



『騙されたって、お前が勝手に一人で勘違いしただけであろう?』


 そうだけど……

 酷すぎだ……


 まぁあの時のシルビーは本当に可愛かったんだけどね。

 お目目クリクリでモフモフで。

 今みたいにデブじゃなかったし!



『デブとはなんだ! デブとは!』


 はいはい。バーベキューしたいんでしょ?

 さっさと準備するよ!

 いつものように火お願いねー



 俺は何度か『水の子』を使って火が出せないかやってみたが、それは流石に出来なかった。


 構造はわからないが、火を出そうとしたら、一瞬小さな炎のような物が出ても、瞬時にプシュッと消えてしまうのだ。


 シルビーが言うには、水の力を借りる『水の子』なんで、火が出てても水で消えちゃうからじゃないか? と。

 俺も詳しくはわからないが、多分それが一番納得する答えな気がした。


 シルビーまだそれ焼けてないってーーー


『これぐらいが一番美味しいんだぞ? 次、その鳥焼いてくれよ、アレックス』


 食い過ぎだってばーー


『何言ってるんだ? このあとまだデザートに焼きリンゴ食うんだぞ!』


 はぁ? お前こそ何言ってるんだよ!

 デブビーって呼ぶぞ?



『デブビー……』

『聖獣の俺様がデブビー……』

『聖獣フェンリル様がデブビーって……』


 ブツブツと繰り返す、ちょっと最近ウエスト周りが気になり始めた相棒を尻目に、バーベキューの後片付けを行うアレックスだった。



 もう、いつまでゴチャゴチャ言ってるんだよーー

 さっさと後片付けするよーーー

 シルビーったら!


 後片付け、やんない子は晩ご飯抜きだよ?



『聖獣がデブビー……』

『フェンリルがデブビー……』

 ずっとボソボソと呟やきながら、トボトボと怒られるので歩いて行き、後片付けを始める素直で、ちょっとばかりお腹のあたりが重い聖獣様だった。




「お忙しい中、最後までお読み頂き、大変感謝しております。」

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