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40 王宮に招待された

 ()()()は壊れた庭の柵を直したり、復興支援用の野菜や果物を採取したり、ポーションを作ったりと、忙しく過ごしていた。


 いつものように、護衛? のため小さくなったシルビーと一緒に商業ギルドに来ていた。

 商業ギルドのほうも、かなり復旧してきていて、来週ぐらいには営業を再開できるそうだ。

 アリサさんも、先週から出勤していて、元気に復旧作業を手伝っている。


 町の方も、騎士団をはじめとする王国の兵士を中心として、冒険者などもボランティアとして活動していた為、かなりのスピードで復旧していた。


 王立特殊魔法部隊の魔法を多用しての大幅工事により、早期復旧を俺たち市民も期待を寄せていた。


 俺はこの間無償でMPポーションと回復ポーションを提供していた。


 これぐらいはしないとね。


 直接的な復旧作業への参加は、シルビーとギルバードさんの反対により、復旧作業については、俺は後方支援に徹していた。



「アレックスくん! 君を待っていたんだよ!」


 いつになく小走りで近づいてくるギルバードさんにちょっと()()()は驚いた。


「実はねぇ。ん、ここではアレだねぇ……何処か人に聞かれないところは……すまないねぇ、まだこんな状態で……」


「わふ!」

 シルビーが突然俺の上着から飛び出し、大きくなった。


 おい!


『問題ない』


 キーーーーーーン


『防音結界を張った。ついでに我の姿も消す』


 マジ? すげーなおい! お前!


『聖獣なめんな!』


「流石でございますね。聖獣様」


『で、大事な話とは?』


「実は、国王陛下より、聖獣様と、アレックスくんに王宮にて、お礼がしたいと……」


「え?」


「今回の件で聖獣様のことは私も話ししておりますのは言いましたよね?」


「はい」


「聖獣様は私の遠縁の子の獣魔だと言うことにしていることも」


「はい」


「今回の災害の対応について、どうしてもお礼が言いたいと陛下がおっしゃられていると聞きまして。昨日正式に陛下からの招待状が……」

 そう言って、ギルバードさんが俺に手紙を渡した。


 中を開けてみると、今回の件のお礼が書かれていて、そのことに対し国として賛辞を贈るだけでなく、褒美を取らせたいと書かれてあった。


 これって……


「アレックスくん、君が秘密にしておきたいのは私もわかるが、いずれ聖獣様の飼い主が君だと言うことがバレる日が来るかもしれない。その時の為に、全面的に陛下の後ろ盾があることは、君にとって大きいことかもしれない。だからよく考えて返事をするべきだ。勿論は強制はしないよ」

「そして、先日陛下とお話した際も、君の素性を含め、君に不利益になること、君を権力で縛り付けること、君を強制することなどは絶対にしないと、宰相と陛下にも約束してもらっている。あとは決めるのは君だ」


 …………俺はあまりにも大きな話だったので、言葉を失っていた。


「ただ、君がしていることは悪いことをしているわけではない。寧ろ誇れることだ。それに対して、こうして隠れてコソコソしていないと、いけない状況に関しても私個人としては気になってはいたんだよ。今回の件にしても実際に国を救ったのは、アレックスくんと聖獣様だからね」


 そんな……俺は何も……



 俺が黙っていると


『アレックス行くぞ! 国王だろうが、何だろうが関係ない。お主自身が、今回頑張ったことに変わりはない!だから、胸張って会えばよい!』

『それにもし、あやつらがお前を害することがあれば、我がこの国ごと吹っ飛ばしてくれるわ!』


 え?

 それはちょっと……

 シルビーさんや……

 ダメでしょう。


『我は国王だろうが、兵士だろうが関係ない! お前を害する者は我を害する者と同じだ』

『後悔させてやるわ……フフフッ…………』


 いや、まだ誰も俺を害するとか言ってないし。

 その笑いやめろよ。

 洒落になってないから……


「聖獣様の怒りを買おうと思う者などおりません……」


『まぁそんな酔狂なヤツがおれば100年先まで呪い倒してみせるけどな全力で』


「聖獣様の全力…………」

 100年先ってお前……


『嘘ではないぞ? 我の寿命は最低でも300年以上はあるぞ? 何処に隠れていようが、追い続けてみせるぞ?』


 やめてください……

 アナタが言うとマジで洒落になりませんから……


「ギルバードさん、ちょっとこの件は考えさせてもらってもいいですか?」


「ああ、構わないよ。ゆっくり考えるといい」



 ギルバードさんにそう返事して俺たちはギルドを後にした。


 王宮かぁ……


『美味い飯食えるぞ?』


 お前! それが目的かよ!


『ちげーーーーよ! ギルバードの言ってた通りだ。お前は誇れるべきで隠れている必要なぞ何処にもないのだから』


 そう言って凛とした姿のシルビーを見て俺は少し自分の今の姿を思い、考えた。

 俺は無能と言われ続けたが、今はこうして人の役に立てるようになった。

 今では、あんなに憎んだ『水の子』を授けてくれたことに対しても俺は感謝している。


 俺は、もう無能なんて呼ばせない!


 陛下に会おう!


 胸張って歩こう! 


 これからは!

「お忙しい中、最後までお読み頂き、大変感謝しております。」

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また、次回が気になると少しでも思われたらブックマークもして頂けると大変嬉しいです。

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