39 戻って来た日常
終わった……
終わったんだ……
『ああ、よく頑張たな』
シルビーーーー
俺はシルビーに抱きつき泣きじゃくった。
シルビーは器用に前足で俺の頭を撫でてくれた。
俺は温かいそのモフモフに顔を埋め、緊張と重圧から開放された安堵で一気に眠気が襲って来た。
『よく頑張ったなアレックス。ゆっくり休むとよい』
深い眠りについた、小さな少年を抱えこみ、いつまでも愛おしそうに頭を器用に撫でる聖獣様の姿があった。
────あれ? ここは?
俺の家?
『起きたか?』
シルビー?
俺? どうしてここに?
は!
川は? 町は?
ギルバードさんは?
みんなは?
『無事だ。ギルバードもな。今、町の普及作業をあやつらは、しておる』
川は?
『大丈夫だ。アレックスお前のお陰だ。お前がみんなを救ったんだ』
俺がみんなを救った?
『ああ、そうだ。よく頑張ったなアレックス』
ここにはシルビーが?
『ああ、あのあとお前が寝てしまったからな。どこか痛いところはあるか?』
いや、大丈夫。
シルビーは? ケガはないの?
『我は聖獣だぞ、あの程度なんてことはない』
あ! ギルバードさんに伝えなきゃ!
俺が家に帰ったことを!
『案ずるな。我が伝えてある』
流石シルビーだね!
『アレックス腹減った!』
もうーーーーー!
シルビーったら!
いつものシルビーを見て俺は嬉しくなった。
外を見ると真っ青な空で、早く復旧することを願った。
ご飯を食べ終わったあと、俺たちは畑を元に戻す作業に没頭していた。
なんせシルビーが早くしろ! とうるさくて……
『リンゴ早く植えろよ!』
わかってるって!
って、シルビー休憩長すぎ!
サボってないでさっさと働いて!
俺は、沢山あるこの野菜や果物、いくらでも出せる水を今回の被災した人に提供することにした。
シルビーはリンゴはダメだって言ったけれど、採っても直ぐまたできるんだから! と諌めた。
早くー!シルビー
晩ご飯に間に合わないよ?
さっさと終わらせないと!
『我のリンゴなのに……』
そんなケチケチ言わないの!
いくらでも採れるんだから!
『リンゴだけおいとかないか?』
シルビー!
アイテムバッグに採れた野菜と、果物、水を入れる樽、ポーションを沢山入れて、俺たちは商業ギルドへと急いだ。
シルビーは今回は護衛役としてついてきた。
まぁ今は小さくなってるから話せないけどね。
「わふ!」
シルビーこのままでもいいよ?
可愛いし?
「わふうう!」
なんか昔のシルビーに戻ったみたいで俺は懐かしかった。
────「ギルバードさん!」
「アレックスくん! 大丈夫だったかい?」
「もう、大丈夫です!」
「アレックスくんのお陰だよ。今、こうして俺たちが生きているのも」
「そんな、たいそうなことしてませんから」
俺は苦笑いした。
「差し入れを持って来たんです! ここに出して大丈夫ですか?」
「ああ、助かるよ!」
俺は復旧作業中の倉庫の前に、アイテムバッグから差し入れの野菜や果物、水の樽を出した。
「こんなに?!」
「災害の前にアイテムバッグに、しまっておいたんです」
「助かるよ」
「わふ!」
ん? 聖獣様?
「そうです。念の為小さくなってもらって……」
俺は上着の胸から顔をのぞかせていた、シルビーに苦笑いした。
「聖獣様にも今回は大変お世話になり、ありがとうございました」
小さくなったシルビーに丁寧にお礼を言うギルバードさんを見てちょっと笑いそうになったけれど、
こうして、再び笑えるのは、シルビーのお陰かもしれない。
あの時シルビーが危険を、いち早く察知してくれたお陰で、今俺たちはこうして生きている。
シルビーありがとな。
「わふっ!」
小さくなったシルビーの頭を撫でてやった。
そうして、ギルバードさんとの束の間の再会を喜んだ俺たちは、家へと帰った。
あーあ。戻っちゃったしぃーー
やっぱり、あっちの方が可愛いのにぃー
『何だと?』
あっちのシルビーはそんな生意気なこと言わないのにぃ……
『いいから、さっさと晩飯作れよ』
態度デカイし……
小さいシルビーが良かったのにぃ……
『ふん!』
『飯だ! 飯にするぞ! アレックス!』
シルビーに無理やり服の袖を引っ張られ、台所に連れて行かれた俺は、仕方なく晩ご飯を作らされている。
まぁ今回はシルビーも大活躍だったからね。
仕方ないか。
ありがとな。うちの護衛犬!
『あん? 何かいったか?』
いや? さぁご飯にするよ! できたよーー
『飯~ 飯~~ごっはん~』
すっかり餌付けさされている聖獣犬? のフェンリル様は今日も食いしん坊だった。
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