36 ついに来た!
『アレックス起きろ! 来るぞ!』
俺はシルビーの前足で頭をさすられ、跳ね起きた。
『来るぞ! 水の子を唱えイメージしろ!』
キーーン
空気が一瞬震え、張り詰めたような感覚。
これがシルビーの結界!
俺は急ぎイメージをした。
シルビーが張った結界に、俺の出す『水の子』が自然と絡み合い一つになるイメージを。
「『水の子』水を纏え! 結界に同化しろ!」
キーーーーン
空間が真空になったかの如く、全ての動きが止まったような感覚がした。
『アレックス良くやった』
成功した?
『ああ、問題ない』
『来るぞ! アレックス我の中へ!』
俺はシルビーに服を掴まれ、シルビーに背後から抱えられるように身を小さくさせられる。
────朝日が昇りはじめた薄橙色の空が、一瞬で真っ暗闇に変わった。
鳥たちが一斉に飛び立つ音が微かに聞こえる。
漆黒な空に鮮やかな閃光が走った瞬間
バリバリバリバリバリバリッ!
強烈な稲妻の音が鳴り響き、真空の空間が一瞬歪む。
同時に激しい雨が降り出した。
ザーーーーッ ザザザーーーーーー!
バシャバシャバシャッ!
大地に突き刺さるような激しい音。
ミシミシミシッ!
激しい振動で窓がガタガタ震えている音がする。
ドドドドドドドドドッ!
下から突き上げるような地響きの音が聞こえる。
結界を張っていてこの衝撃……
俺は外を心配した。
その時
ズドーーーーーーーーーーン!
バキバキバキバキバキッバキィッーー
今まで聞いたことがないぐらい大きな音がした。
地面が揺れる。
落雷?
『アレックス! 集中しろ! 水の子が我の結界に強く固く同化するよう念じろ!』
わかった! やってみる!
「『水の子』水を纏え! 水の力を使って固く強く結界を守れ!」
キーーーーーーーーーーン
先程よりも、空気が固まった感覚だ。
俺はゆっくりシルビーの中から外を見た
!
何だこれ?
俺の家の周りを除いた、向こうに見えていた畑、町に繋がる道路に薙ぎ倒された木々が散乱していた。
シルビー!
『仕方ない! 全ての被害を食い止めることは不可能だ!』
でも! これじゃぁ町は? みんなは?
『大丈夫だ、先に避難してある! これでも最小限に抑えた結果だ!』
俺は言葉を失った。
『アレックス、我の魔力はもう半分もない! 次に大きいのが来たら持つか保証できん』
これを!
俺はシルビーに魔力回復ポーションを渡した。
その後も俺達は降りしきる豪雨と、絶え間なく鳴り響く雷鳴の音に緊張しながらも結界を張り続けた。
空が次第に明るくなって来た。
『終わったか?』
終わったの?
『禍々しい気配が薄れていく』
本当に?
俺はゆっくり、シルビーから身体を離し立ち上がった。
恐る恐る窓の外に視線をやる。
そこには、荒野が広がっていた……
一体何が起こったんだ?
俺は頭の中が真っ白になり、気づけば手足が震えていた。
そして、足がふらつきそうになった時
『アレックスしっかりしろ!』
はっ!
シルビーの声に驚き、目を見開いた瞬間
足の力が抜けて、床にしゃがみ込んでしまった。
何これ?
嘘でしょ?
町が無くなった?
うそだーーーーーーーーーーーー!
俺は無意識に玄関に向かって走っていた。
『アレックス! やめろ! 戻れ! まだ外は危険だ! 戻るんだ!』
シルビーが何か俺に話しかけてきたようだが、俺の頭には何も入ってこようとしなかった。
何だ?
これは?
どうなっている?
町のみんなは?
ギルバードさん!
ギルバードさんは無事か?
アリサさんは?
行かなければ!
俺は夢中で道のない荒野を走っていた。
『チッ! あのバカが!』
シルビーは、小さな少年アレックスを急いで追いかけた。
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