34 ギルバードの覚悟
ギルバードは王宮の王立特殊魔道部をたずねていた。
「クラメンス隊長にお目通りを頼みたい。ギルバードが来たと言ってくれ。急ぎ話しがあると」
「お約束はされておりますか?」受付の女性が聞く。
「いや、クラメンスとは旧知の仲だ。取り急ぎの話しがあると急ぎ伝えて欲しい。これを、持っていくといい」
俺はギルド証を渡した。
「わかりました」
暫く待つと、クラメンスが来た。
「珍しいな。君が俺をたずねて来てくれるとは? ポーションの作成者を教えてくれる気になったのか?」
「クラメンス、大事な話がある。人払いを!」
俺の真剣な顔を見て少しクラメンスは驚いた様子だったが、直ぐに人払いをした。
「なんだ? 急に?」
「すまない、突然で。緊急事態だ! 陛下に会いたい!」
「は? お前そんなこと簡単にできるわけないだろ?」
「エドナードと陛下に今すぐ話がある!」
「エドナードだけでも、なかなか難しいぞ? 陛下になんか会えるわけないだろ?」
「お前が言えば会えるだろ? 緊急事態だ! 今すぐ謁見を申し込め」
「お前無茶苦茶言うなよ! 何があったんだよ!」
「時間がない! せめてエドナードを呼んでくれ!」
「無茶だ。そんなこと出来るわけないだろ? せめて用件を言え!」
「……大きな災害が来る」
「は? 何を言ってるんだ?」
「いいから早くしろ! もう時間がないんだ!」
「取り敢えず訳を話せ! エドナードを呼ぶにしても用件がわからないのに呼べる訳ないだろ!」
「大災害が、今夜か明日来る!」
「は? 何言ってるんだ? お前? どこでそんな話を?」
「ああああーーーーもう! 時間がないんだって!」
「お前仕事のしすぎだろ、疲れてるんだろ? ギルド長なんて仕事やめて、ゆっくりしろよ」
「俺は至って真面目だ。話してもいいが、誓約書を用意しろ」
「は?」
「俺を信じて欲しい」
「無茶言うなよ……」
「頼む。国の危機なんだ」
俺はクラメンスに土下座して頼み込んだ。
「お、おい止めろよ! わかったって! 誓約書を用意するから待ってろ」
クラメンスが誓約書を持って再び部屋に戻ってきた。
そして、誓約魔法を掛けたあと、俺は全てのことを話した。
アレックスの名前は伏せたまま、俺の遠縁の子と言うことにした。
そして、彼への詮索は一切しないことを誓約書に約定し、聖獣様については正直に話した。
遠縁の子の獣魔であり、その子に危害を我々が与えた場合、全力で聖獣様が反撃に出るだろうと、脅しておいた。
実際脅しでもなく、アレックスに害が及ぶとなれば、シルビーは黙ってはいないだろう。
俺の話を聞き、クラメンスは絶句していた。
「それで、その聖獣様が、今夜か、明日には災害が起こると言うのか……」
「ああ、それでお前に相談にきたんだ。聖獣様の話だと、最大級の災害の恐れがあり、聖獣様の結界でも守りきることは難しいであろうとのことだ」
「聖獣様でも無理なら……どうやって……」
「お前たち特魔に結界を頼むしかないだろうな。
「そうなるとは思うが、俺達は勝手には動けんぞ」
「だからだ! だから陛下と、エドナードに!」
「わかったが……でも何て言う?」
「そのまま伝えるしかなかろう……」
「ここで暫く待ってろ! 行ってくる……」
「ああ、お前だけが頼りだ」
「…………」
暫くしてクラメンスが戻って来た。
「ギルバードついて来い! 謁見の許可がおりた」
そして俺達は陛下の待つ部屋へと向かった。
その頃、アレックスは、庭にある植木や、薬草をはじめとする、全ての食料をアイテムバッグに詰め込み、大量の魔力ポーションと回復ポーションを作成していた。
『アレックス、結界魔法を授ける』
え? そんなこと俺にできるの?
『不可能ではないはずだ! 水の子に我の結界魔法を共鳴させるんだ!』
どうやって?
『我が合図したら、水の子を発動しろ、我の結界に干渉するようにイメージさせるんだ。お前の水の子は魔力を伴っていない。だから、使い続けることができるはずだ!』
なるほど。
やっぱりシルビーって凄いね。
俺にはそんな考え、思いつかないよ……
『イメージだぞ? 我が合図したら我の魔力を感じとるんだ! そこにお前の水の子を乗せるイメージだ!』
そうして、俺はシルビーに教わりながら結界魔法を覚え、
その後、できることを全て行い、襲ってくるだろう災時に向け備えた。




