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30 野菜をおすそ分けした

『おい! アレックス起きろ!』

『リンゴ採りに行くぞ!』


 え?


 もしかして?






 

 まぁ、ある程度予想は出来ていたが……

 野菜畑の件もあったしな……



『水の子』凄すぎ……


 リンゴに、オレンジ、ブドウ、桃、栗

 全てに実がギッシリと出来ていた。


 でも、これ、いっぺんにこんなに出来ても食べれないよ……


 あ、でも? まてよ?


 野菜畑と同じなら? これも収穫しなければ、別にそのままの状態キープか?

 なら問題ないか?

 欲しい分だけ収穫すればいいんだし。



 そう、野菜畑の野菜の凄いところは、一旦実になれば、収穫しなければ、そのままの状態で何日もそこにある。そして、収穫すれば直ぐにそこから次の実をつけていた。

 採った分だけ勝手に補充されていく、まさに最強チート仕様だったのだ。


 これには最初、俺もビックリした。

 これで、永遠に野菜には困らないのか? 俺?って 

 最初は驚いたが、まぁ買いに行かなくてすむし便利なので、最近は喜んで利用させてもらっている。

『水の子』さん、ありがとう!



 シルビー? ブドウとオレンジも食べる?


『食う! 桃も食う!』

 いいけど、いっべんに沢山食べたらお腹こわしちゃうよ。

 じゃぁ今日だけおまけして全種類ね。


 その代わり1個づつだよ!



『えええええええええ』

『セコイなお前』


 また晩ご飯の時にね。


 俺は1つずつシルビーに採ってやった。


 美味しそうに食べるシルビーの顔を見ながら、ふと考えた。

 これさぁ、こんなにブドウあるならワインとか作れないかなあ?


 美味しいワインとか作るとみんなに喜ばれるよなあ?

 それにお世話になってるギルバードさんにもプレゼントしたいしなぁ。


 よし! ワインを作ろう!


 ワインの作り方ってどうやるんだろ?

 材料だけは揃えないといけないんだよなあ……

 図書館で材料調べてみるかな。



 昼ご飯を食べたら図書館にでも行ってこようかな。

 ついでに、このフルーツをアリサさんに。


 あ! マズイマズイ。またやっちまうところだった。

 あまりにも早すぎるな。

 あ、でも野菜なら大丈夫か? 持っていこーっと!



 早めの昼ご飯をシルビーと終え、留守番するシルビー用に、焼きリンゴと、サンドイッチなどの軽食も作ってやった。



 その後、俺は適当に野菜をアイテムバッグに詰めて、出かける準備をした。



 じゃぁシルビー行ってくるから留守番よろしくね!


『ああ』


 あ、晩ご飯のお肉採って来てもらってもいい?


『おう! いいぞ!』


 沢山はダメだからね?


『チッわかったよ』


 絶対だよ?

 気をつけて行くんだよ?


『我を誰だと思ってるんだ?』


 でも! 気をつけて!

 絶対無理はしたらダメだからね!

 危ないと思ったら直ぐ帰ってよ!


『お前なぁ……いいからさっさと行けよ』


 んじゃ行ってくるねー

 後はよろしくー




『何で、聖獣フェンリル様が、人間に心配されないといけないんだよ』

『我が危なくなるような敵がいると思うか?』

『我は聖獣だぞ?』



『だよな?』

『最近ちょっと自分でも不安になってきた……』



 見えなくなりつつある少年に、まるで独り言のように念話で話しかける、多分? 聖獣様がいた。







 ────「こんにちはー」

 俺は商業ギルドをたずねていた。

 アリサさんがいる個室に行き、挨拶をした。


「あら? アレックスさん? 今日は?」


「この前話していた、野菜を持ってきたんです」


「あら! ありがとう! 倉庫に行きましょうか……」


「そうですね……」


 俺達は、そそくさと倉庫に移動した。

 そして、()()()()? ように倉庫に行く前にアリサさんが、ギルマスに声をかけてから移動した。


 俺ってそんなに危険人物?


 まぁある意味、人間やめてるけどな最近……



 てか? この倉庫おかしくないか?


 個室の受付カウンターの部屋のドアを開けたら直ぐに倉庫と繋がっていた。

 そして、その横には鑑定室もドア一枚で繋がっている。


「アリサさん、この倉庫って?」


「ああ、それですか? ギルド長が昨日特注して作らせたんですよ? 便利でしょう?」


「え?」


「これなら、アレックスさんが何をどれだけ持ってきても、バレないでしょ? 誰にも見られないしね」


「え? そんなことまでしてくれたんですか?」


「ああ、徹底的に守るって約束したしね」


 そう言いながら、ギルバードさんがやってきた。


「何かすいません。俺の為に……」


「構わないよ。君はそんなことは気にする必要はないよ。自由に作りたい物を作ればいい。この倉庫なかなかいいだろ? この倉庫は、君専用にしてあるからねぇ。だから俺と鑑定人、アリサくんと君以外は入れないようにしてある。君のギルドカードをここに、照らしてごらん?」


 言われるがまま、俺は鑑定石のような物にギルドカードをかざした。

 すると、鑑定室のドアの鍵が開いたのだ!

 凄いなこれ……



「念の為、受付カウンターにもこの鑑定石を設置したんで、次回からアリサくんが部屋の外にいる場合はこれをかざしてくれるかい? それと、これを押してくれたら、俺の部屋にも知らせが来る仕組みになってるから、何か用事があるときや、アリサくんが居ないときは遠慮なく、知らせて欲しい」


「わかりました。何から何まで……ありがとうございます」



「それで? 今日は?」


「あ! 忘れるところでした! 野菜のおすそ分けに! うちで作ってる野菜を。こんなにしてもらったお礼が、野菜ぐらいじゃ申し訳ないんですけど……沢山持ってきたんで、是非食べて下さい。結構美味しいんですよ」


「それはありがとう!」


 俺は倉庫にアイテムバッグから野菜と、シルビーが狩って来た獣の肉を出した。



「…………」


「アレックスくん……」


「多かったですかねぇ……やっぱり……」


「嬉しいよ……」


 倉庫には小山が出来ていた。


「あ! 鑑定人さんにも是非分けてあげてください!」


「ああ、わかった……」




 特注倉庫と、受付室を特別仕様にして良かったと思う、ギルド長のギルバードと、それを見て絶句したままのギルド嬢のアリサだった。








 この後、()()()()が、また、大波乱を呼ぶことになり、ギルバードは頭を抱えることになるとは、この時彼は思いもしなかったのである。



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