28 焼きリンゴ
リンゴの苗木を買いに行く話しをしたら、アリサさんが付き添ってくれることになった。
台車を持って。
苗木を直接バッグに入れるのは危険だからだ。
本当に、ギルバードさんとアリサさんには感謝しても足りないぐらいだ。
今度うちで採れた野菜でも、持ってきてあげよう!
そう思っていると市場についた。
リンゴの苗木の他に、ブドウや、オレンジ、桃、栗などの苗も買った。
「秋になったら栗ご飯が食べれるといいな」
「そうですね。楽しそう」
アリサさんが言う。
「栗がとれたら、ご馳走しますよ」
「本当に?」
「今度うちで作っている野菜を持って行きますよ。結構うちの美味しいんですよ?」
「そうなの? 楽しみにしとくわね」
ついでに、リンゴを数個買って帰ってやることにした。直ぐ食べたいだろうしね。あいつは……
ハチミツや、砂糖、塩などの調味量も買って帰ることにした。
ハチミツってうちでも採れないかなぁ……
林の奥で……
帰ってシルビーに聞いてみようかな……
一旦買い物した物を台車に全て乗せ、ギルドの倉庫まで俺達は来た。
その後、全てをアイテムバッグに俺は入れた。
「本当に凄いわね……そのアイテムバッグの収納量……」
「あ! いつもお世話になっているアリサさんなら、プレゼントしましょうか?」
「え?」
「これと同じ物で良ければプレゼントしますよ?」
「ええ? アレックスくん……ギルド長が心配する意味がわかる気がする……」
「え?」
「アレックスくん、気持ちは凄い嬉しいけど、アイテムバッグって、どのくらいの値段で売ってるか知ってる?」
「高価なのはなんとなく知ってましたが……」
「収納量によっても値段は違うんだけど、小でも最低金貨5枚、50万ペニーはするわ。中だと70~100、大になると200~500と、とても高価なの。そんな高価な物を、一介のギルド嬢が持ってると、怪しいでしょ? 冒険者の人ならまだ、わかるけどね」
「そうでした……すいません。何も考えずに俺って……」
「ううん。違うの。アレックスさんの気持ちは凄い嬉しいわ。でも、アイテムバッグはプレゼントには高価すぎるの」
「なるほど……」
「だから、私のことは気にしないでいいのよ? アレックスさん」
「わかりました……」
「野菜が出来たら楽しみにしとくわ。そして果物もね」
「わかりました! 絶対持って来ますね!」
「アレックスさん……」
ギルド長が後見人になって本当に良かったと、つくづくアリサは思った……
「アレックスさん。何かあれば、直ぐに私かギルド長に言ってね? 遠慮はいらないからね?」
「わかりました! 助かります!」
そう言って俺達はわかれた。
走り去って行く、純粋無垢な少年をアリサは心配そうに見つめていた。
シルビーただいまーー
『遅かったな』
ごめんごめん。ちょっと色々あって。
お詫びに、ほら!
そう言って俺はリンゴをシルビーに投げてやった。
上手にキャッチするとムシャムシャ食べていた。
シルビーリンゴの苗だけじゃないぞ?
ブドウや、オレンジや桃に栗の苗まで買って来たからね。
『アレックス良くやった! お前にしては上出来だ!』
なんだよそれ……
『でも、栗はいらん』
あれ? シルビー栗嫌いなの?
『あのトゲトゲが……毛に刺さると痒い!』
あ! なるほど!
大丈夫だよ。なら収穫は俺がやるよ!
『早く苗植えに行こうぜ!』
そうだね。
よし! 行こう!
俺はシルビーと庭に出て、果物の苗を植えた。
いつも通り『水の子』に「美味しい果物がいっぱいなれ!」って念じながら。
水をたっぷり遣った。
ねぇシルビーハチミツってさぁ採れないかなあ?
『欲しいのか?』
うん、折角、果物植えたんだし、アップルパイとか、オレンジパイとか欲しいじゃん?
ならハチミツあったほうが美味しそうじゃん。
『よし! 待ってろ! 持ってくる!』
え?
『直ぐ持ってくる! 待ってろ!』
え?
待ってー
と、言う俺の声を無視して走り去って行ったシルビーの姿を見て俺は苦笑いした。
あいつどんだけ、食いしん坊なんだよ……
デカくなってから、それが増したな……
あいつの食べ物に関しての執着は凄いな……
俺は部屋に戻り、汚れた服を洗濯したり、掃除したりしていた。
『おい! 採ってきたぞ! 出てこい!』
へ?
もう採ってきたの?
俺は外に出た。
デカ!
『大きいほうがいっぱいハチミツ採れていいだろ!』
ねぇこれってさぁハチは出てこないの?
『今は大丈夫だ、我が眠らせた』
は?
何それ?
『睡眠魔法だ』
え? シルビーって魔法使えるの?
『当たり前だろ? 我は聖獣フェンリルだぞ?』
うそ? まじ?
『お前なぁ……フェンリル過小評価しすぎだろ……』
マジか…… 魔法使いシルビー
なんか格好いいな お前!
『まあな。それほどでも……まぁ俺様は聖獣……ゴニョゴニョ』
んじゃハチミツ採っちゃおっか!
『おい!』
ん? 何?
『いや……聖獣の話しをもう少し……』
あ、また今度ね。
今はそんなことより、ハチミツ早く採ろうよ!
『そんなこと……聖獣の力をそんなこと……』
早くってばー!
おいてくよ?
そこ置いて! シルビー!
ちゃんと持っててよ! 蜂の巣!
俺はシルビーに蜂の巣を持たせて
入れ物を用意し『水の子』を使用してハチミツを取り出した。
やったーーーー!
これでハチミツ食べれる!
シルビー俺、戻っておやつに焼きリンゴ作るから、その蜂の巣どっか片付けてきてよ。
ねぇ? それってさーまた採れるの?
『こいつらが、起きたらな』
やったー! じゃぁ、戻してきて! それ!
またハチミツ無くなったら言うから!
じゃぁ、よろしくね!
『聖獣をパシリに……』
『聖獣だぞ我は……』
『だよな?』
渋々、雑木林の奥まで、蜂の巣を器用に咥えて持って行く、きっと? 聖獣フェンリルの姿があった。
『まぁ焼きリンゴ食えるからいいか』
『早く食いたいな』
『よし!急ごう!』
全速力で走るシルビーだった。




