27 後見人
しかし、そこまでリンゴが食べたいかねぇ。
ほんとシルビーは食いしん坊だなぁ……
先にギルドに寄って、これ売ってからリンゴ買いに行くか……
「こんにちはー」
冒険者ギルドでも良かったんだけど、慣れている商業ギルドに俺は来た。
「あら? アレックスさん!」
「ここって、魔物や、獣の買取って出来ましたよねぇ? 確か?」
「大丈夫ですよ。ウチでも行えますよ。買取ですか?」
「はい」
「鑑定室に行くほうがいい感じですか?」
「いや、結構量あるんで……」
「え? 何処にあるんですか?」
「ちょっと……アイテムバックを……」
「ああ! なるほど! アイテムバックを買われたんですね! ちょっと待ってくださいね。倉庫に案内しますから。それと念のためギルド長も呼んで来ますから」
「え? ギルマスまで?」
「アレックスさんですからね。念のため」
アリサさんがにっこり微笑んだ。
俺だからって……どういう意味なんだろ?
直ぐにギルマスがやってきた。
「アレックスくん。いらっしゃい」
笑顔で挨拶してくれた。本当に良い人だ。
「じゃぁ倉庫に行こうか」
ギルマスと、アリサさんに案内してもらって倉庫に向かった。
「じゃあ、ここにお願いします」
アリサさんに言われ俺はそこに、シルビーが狩ってきた獣を出して行く。
ドサ、 ドサ ドサッ
「…………」
「ちょ、まだあるのかい?」
え?
ダメだったかな? こんなに出したら?
「ダメでした?」
「いや、そういう意味じゃなくて……まぁ、あるだけ……なら出してくれ」
「はい。あと少しですから」
ドサ、ドサ、ドスン!
「…………」
「アレックスくん? 二点ほど質問があるんだがいいかね?」
「なんですか?」
「君のそのアイテムバッグだけれど……」
「?」
「先ず1つ目。 そのアイテムバッグのことだが、それは人前では見せないほうがいい」
「え?」
「あー誤解がないように言わないとだね。使うのは構わないが、量だ。一般的なアイテムバッグはここに置いてある獣3~5体分ぐらいの収納量だ。それでもアイテムバッグと言うのはかなり高額だ。言いたいことはわかるね?」
「そういうことでしたか。無知で……すいません。教えてくれて良かったです。知らずに使うところでした」
「使ったらいけないことはないんだよ? ただ量を考えることだ。そうだねぇ。せめて5体分ぐらいかな? 人前で一度に出す場合の量ね」
「なるほど。勉強になります! ありがとうございます!」
「お節介かもだけど、あくまでも君自身の身を守る為だから守って欲しい」
「そうですねぇ言われたら、その意味がよくわかりました!」
「では2点目だ。それは劣化具合から見ると今日狩った物だよね?」
「はい……」
「一人でかい?」
「…………」
「いや、君のプライベートを詮索しているわけではないんだ。これも先程の話しと繋がるんだけど、一度に狩れる量の話しだ。一人なら、Aランクの冒険者で、その量はやっとだろ。きっと」
「なるほど! 本当にすいません。無知で……」
この人になら話してもいいかなぁ……
シルビーのこと……
これからもお世話になるだろうし……
「ギルバードさん、実は聞いて欲しいことがあるんです……」
俺の真剣な顔に、アリサさんが退出しようとした為、俺は制止した。
「アリサさんも一緒に聞いて欲しい。実は……俺には獣魔がいまして、先日行った狩りで拾って来たんですが、子犬だと思って拾って来たんですが……」
「アレックスくん場所を変えよう。私の部屋に」
俺はギルマスの部屋に行き、続きを話した。
子犬だと思って拾ってきたシルビーが聖獣だったこと。
その聖獣がフェンリルだったこと。
そして、狩りは全てそのフェンリルのシルビーが行ったこと。
『水の子』の力については俺は言わなかった。
流石にそれを話すのはちょっと……
それを全て最後まで黙って聞いてくれた、アリサさんとギルバードさんに感謝した。
ポーションのことと同様に、シルビーの本当の正体は内緒にしてくれると約束してくれた。
そして驚く提案を俺はされた。
「ところで、お節介かもしれないが、嫌なら断ってくれて構わないんだが、君の後見人に俺がなるのは嫌かい?」
「え?」
「誤解しないで欲しいんだけど、君のその才能や利権を欲しいわけではない。ただ、あまりにも君の危うさが俺は心配で。俺を信用出来ないかもだが、君の親代わりだと思って、何かの時には俺に相談して欲しいんだ。俺は君を守りたいと思う」
「なんでそこまで俺に親切にしてくれるんですか?」
「実はね……俺にも昔、息子がいたんだよ。生きていれば君とちょうど同じぐらいかな? 事故にあってね。妻と息子を俺は失ったんだよ。あの時、俺が側にいればと、今でも後悔しているんだ。別に息子の代わりを君に求めているわけではないよ。君の純粋な気持ちを俺は大切にして欲しいんだ。ただ、それには大人の保護が必要だ。答えは今すぐじゃなくて構わない。考えといてくれないかい?」
「ギルバードさん!」
俺は何故だか涙が出てきていた……
幼い頃、両親に死なれ、田舎の祖母に育てられた。
俺を守ってくれた人は、死んだばあちゃんしかいなかった。
俺は一人ぼっちだった。
ずっと……
「ギルバードさん。よろしくお願いします」
俺はギルバードさんを信じることにした。
ギルバードさんは俺の頭を撫でてくれた。
「いつでも何かあれば相談しなさい」
そういってギルバードさんは、笑ってくれた。
俺は溢れる気持ちを抑えることが出来ず、声に出し泣いていた……
「最後までお読みいただき、ありがとうございます」
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