15 ドラゴンの友達?
あ、人がいる!
何かあったんだろうか?
騎士の人達?
「こんにちは!」
俺は挨拶をしてみた。
「少年。何故ここにいる?」
「あ、ちょっと素材を採りに来てたんです。もう帰るところですけど」
「ほう。それで、つかぬことを聞くが……君は先程?」
「ん?」
いや、少年がドラゴンの上に乗っていたとかありえない。
何かの間違えだ。
俺はこんな馬鹿げた質問をこの少年にしようとしていたのか?
「いや…… 何か変わったことはなかったかい?」
「変わったことですか? うーーん……新しい友達? が出来たぐらいですかねぇ?」
「友達?」
「まぁそんな感じ? です。俺帰りを急いでいるんですけど……」
「あぁすまない呼び止めてしまって。あ、俺は王宮の第一騎士団隊長 ダニエル・ハミルトンだ。何か変わったことがあれば来るように」
「わかりました……」
「隊長……聞かなくていいんですか?」
「何だ?」
「だから……」
別の人が何かゴニョゴニョ言っているが、俺は暗くなる前に帰りたんだけどなぁ……
「あの、もう行っていいですか?」
「ああ、すまない」
「ちょっ、隊長……」
「まだ何かあるんですか?」
「いや……」
「ねぇ? 君さ、もしかしてだけど、違ったらごめんね? さっきドラゴンに遭遇しなかった?」
「おい!」
「あぁ……そのことですか」
「そのことって……遭遇したのか?」
「なんか、松の木林でちょっとトラブっちゃって困ってたらしく。それでちょっとだけ助けたんです」
「ぇええええーーーーー!」
「ド……ドラ……ゴンを助けたぁ?」
「ええぇーーーーーー?」
「ドラゴンに遭遇して生きてる?」
「ええええ?」
騎士さん達が何かザワザワしている。
でも本当のことなんだけどなぁ……
まあドラゴンさんの名誉の為にも
木に挟まって出られなくなってたことは、ナイショにしてあげたけどね。
「あの……もういいですか? ちょっと急いでるんで……」
「あ、 あぁ……す、すまないな……少年、名前を聞かせてもらっても?」
「アレックスです。もういいですか?」
「あ、最後に一つだけ質問させて欲しい」
「何ですか?」
「で、そのドラゴンはどうした? そのあと?」
「さぁ? そこまでは?」
「こちらを襲ってくる気配とかはなかったのかい?」
「あ、それは大丈夫みたいですよ。興味なさそうでしたし。今度こそもういいですか?」
「あ、ああ、わ、悪かったね。呼び止めて。気をつけて帰るんだよ」
「じゃぁさようなら~~」
「…………」
何事もなかったかのように挨拶し、走り去って行った少年に唖然とし、
この国の最高峰とも言える兵士達が口をポカンと開けたまま、
挨拶を返すこともできず佇み、
小さくなって行く少年の後ろ姿をただ、静かにみんな見つめていた。
「帰りましょうか……」
「そうだな……」
それから、森を抜けて王都の町に戻るまで、一切喋らず無言で歩く騎士たちの姿があった。
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