第7章〜暗殺一家の無口な娘〜#4
俺と彼女、二人はベンチに座り。俺は手帳とペンを使って彼女の暗殺についてを教えてもらっていた。
「いやぁー・・・本当にありがとう!おかげで課題が無事に終わるよ!」
『パタンッ』と手帳を閉じるイヴァンは満足そうな顔をしていた。
「・・・そう・・・・よかった・・・」
そう言いベンチから立ち上がる彼女。
「・・・来て・・・」
彼女はそのままどこかへと歩き出す。それに慌ててイヴァンはベンチから立ち上がり彼女の後ろを追う。
「来てって、一体どこに・・・?」
「・・・直にわかる・・・」
「直にわかるって・・・・一体・・・」
イヴァンは訳が分からないまま彼女についていく。
「・・・・ここ・・・」
彼女が足を止め、指をさす。イヴァンはその指の指す方を見る。そこには小さめの小屋のような場所についていた。驚くべきことにその小屋の周りには先ほどの花が咲いていなかった。
「ここは一体・・・」
「私たちの基地みたいなもの・・・ついてきて・・・」
彼女はまた小屋まで歩き出す。
なんで俺をこんなところに連れてきたんだ・・・・?と疑問を抱くイヴァンだが、彼女を見失ってしまいそうになり。急いで彼女についていく。
「なんでだ・・・・?急に霧が立ち込めてきたぞ・・・」
キョロキョロと周りを見るイヴァン。辺りは濃い霧に覆われ視界が悪くなる。
「!!あれ!」
彼女を見失ってしまったイヴァン。慌ててその場で足を止め、周囲の確認をする。
「やばいぞ・・・・あの子が見えなくなった・・・」
「・・・・はぐれちゃダメ・・・・こっち・・・」
後ろから声がしたので振り向く。そこには彼女がいた。俺は肩をなでおろすように安堵し、今度ははぐれまいと彼女の後ろをついていく。
だんだんと霧が晴れ始め、視界が良くなる。
「え・・・・?」
目の前にあった小さな小屋はどこにもなく・・・洞窟があった。
「・・・あの小屋はただの偽造・・・こっちが本命・・・」
彼女は洞窟の中へ入る。入ってすぐ大きな扉が目の前にあり、見張り役と思われる男が一人立っていた。
「お疲れ様です。ミラ隊長!」
敬礼をする男。ミラと呼ばれる女性は頷く。男は後ろにいた俺を睨む。
「隊長・・・こいつは何者ですか・・・?」
男はイヴァンを警戒する。ミラは懐から紙を取り出しサラサラと紙に何かを書き。男に渡す。
「・・・・なるほど・・・了解しました!」
そう言うと男は俺の警戒を解いてくれた。こっちにこいとジェスチャーをする彼女。何でさっきみたいに喋ればいいのに・・・と疑問を抱く。
着いた先はこれまた厳重そうな鉄の扉があった。中からは何人かの話声が聞こえる。
「・・・・君は後ろにいて・・・」
彼女はそれだけ言うとおもむろに鉄の扉を開ける。そこには五人がそれぞれ議論を行っていた。
「だから!まだ確証はないと言っているではないか!!」
机を叩き怒鳴るように言う男。赤い瞳を持ち。鱗のようなものが腕に付いている。
「確証なんて関係ない!!ついに奴らのしっぽを掴んだんだぞ!!」
それに反論するように言う人間、見た感じ魔法使いのようだ。
「ソレガワナダトイウカノウセイモアリエルゾ?」
身体のいたるところに深い傷をつけた。上半身裸のマッチョマンがカタコトでしゃべる。
「その可能性があるから私たちが簡単に動けることができないのよ?」
胸元を大きく開け大きな胸を強調し、目の下にほくろを付けた大人な女性が困った表情を見せていた。
「皆の衆・・・落ち着きたまえ・・・その話はあとにしよう・・・」
全員を沈黙させたのは。見た目90歳を超えてもおかしくない老人だ。
「ミラ・・・そのお方は一体何者かな?」
一斉にミラの後ろにいたイヴァンを見つめる。
「おい・・・ミラ・・・誰だそいつは・・・・」
「こらリュウシン、言葉には慎みなさい・・・」
リュウシンと名乗る男はイヴァンを見るや否不機嫌そうな顔をみせた。それをなだめる老人。
「ジジイはすっこんでろ!俺はミラに話してんだ!」
ミラはそんなリュウシンに自分が今書いた紙を渡す。それをおもむろに受け取り確認する。
「はあ?『魔王級術士』だあ?何言ってんだてめえはよ!!」
は?俺の事か?まさか・・・・
怒りで魔力が溢れるリュウシン。だがすぐに抑え込む。
「・・・冗談言ってる暇があるならあいつらの情報を集めろ!!」
そう言うと腕を組んで机に脚を置く。
「それで?なんで彼が魔王級術士なのかしら?」
大きな胸を机の上に置いて肘をつく大人な女性はにこやかな顔で言う。ミラは紙に文字を書いてそれを今度は全員に見せる。
「『その可能性が一際高い』、ねぇ?本当にそうなのかしら?」
『コクッ』と頷く彼女。俺はしびれを切らして口を開く。
「ちょっと待ってくれ!!俺は学園内では『落ちこぼれ』の階級にいるんだぞ!?なんでたった2回しかあったこともない子に急に魔王級術士になれるって言いきれるんだよ!!」
すると周りが一気に沈黙と化す。
「・・・・・オマエソレハホントウカ・・・!」
最初に沈黙を破ったのはマッチョマンだった。