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魔王級術士の落ちこぼれ  作者: 小烏 暁
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第6章〜決めた題材〜#3

「『土魔法の書』?」


「そうです」


「土魔法って、魔法の中でも一番使えないって言われた魔法の一つじゃねぇのか?」


バイスはイヴァンが読んでる本を覗き込みながらしゃべる。


「確かに土魔法は実戦で使うこともないし、使われる場面が少ないです、それなら・・・」


イヴァンの後ろでしゃべっていた彼女は前に出る。


「私たちが使えるようにすればいいんじゃないでしょうか!」


「だけど所詮土魔法は土魔法だぞ?成績とか上がるよりも下がるんじゃないか?」


「いや、そうでもないぞ・・・」


俺は全部読み終え、本を閉じる。


「土魔法は上級魔法でも使えないのは事実だ、逆に考えると俺たちが手を加えやすいようにしていると俺は思う。やる価値は十分にある」


笑みを浮かべるイヴァン。


「うーん、俺はそう言うのよくわかんねぇけど・・・お前がそう言うなら俺は何も言わねぇ」


「さっそく取り掛かりましょう!」


三人は土魔法を題材とした魔法を改造することを決めた。





「土魔法にしたはいいんですが・・・どの魔法を主体にしますか?」


「これなんてどうだ?『クリエイトウォール』土を盛り上げる魔法はよ?」


「却下、そもそもそれを主体にしても土が硬くなるとか壊れずらいとかそういうのしかできない」


「これなんてどうですか?『土潜伏』土の中に潜る魔法は」


「それもダメ、結局のところ応用がききにくいからそこに何かを入れてもすべて裏目に行きそうだ」


三人は土魔法を構成するにあたって主体とする魔法は何がいいか、議論をしていた。結果としてはまだ見つかっていない。あれからさらに一時間が経過し残り時間は4時間となってしまった。


「題材は決めたけど・・・肝心の主体となる魔法を決めきれない・・・」


「そうですね・・・土魔法は使えない魔法ばかりですし・・・なにより実用性がないものばかりですから・・・」


「どうすんだ?」


二人が悩む中俺は本のページをめくり続けていた。そして最後のページに差し迫っているときに、俺はある魔法に目が止まった。


「・・・・土人形魔法・・・」


土人形魔法とは、その名の通り土を人間の形に形成できる。簡単な動作や命令ができる。しかし材質が土でできているため、耐久面がないため使えない魔法ランキング第三位に輝く。


「何か見つけたんですか?」


「この『土人形魔法』は?」


覗き込むように本を見るトール。それに気になってかバイスも本を覗き込む。


トールはなにか思いついたのか紙とペンを出しそこに何かを書き始める。


「・・・なるほど・・・それなら、この案はどうですか?」


「・・・いいね、そこにコレも付け加えたらもっといいんじゃないかな?」


「それとコレもつけましょう」


「おいおい!なんの話しをしてるんだ?」


2人だけの世界に入り、ハブられてしまったバイス。


「この土魔法で作った人形を・・・・」


「・・・・・・」


「そしてコレを使ってですね・・・・」


「・・・・全く分からん!」








「さて、6時間経ったので今から発表会を行いましょう」


あっという間に6時間が過ぎ、先生は生徒達の注目を集めるように少し大きな声で言う。


「それでは最初に見せてくれるのは誰かな?」


生徒達は一斉に先生の元まで駆け寄り自分たちの成果を見せる。


「まずは私達からです!」


最初先頭にいたのは、3人チームを組んだ女子チームだった。


「それじゃあ成果を見せてください」


「はい!。私達は魔法の代表格である火の魔法の魔術構成を改造しました!」


3人チームはその成果を先生の前で発表する。


「ふむ、なるほど」


そう言い先生は紙にサラサラと書き始める。


「さぁ、次」


「はい!」


そこからは同じ事の繰り返す。発表し、評価して次の発表を繰り返していた。


「さぁ、次」


「やっと俺たちの番かよ」


次の番はバイスを誘おうとし、トールにいちゃもんをつけた、男3人組。


「俺たちは闇魔法を主体に魔術構成を改造しました。」


そう言うと、左にいた少し太った男は魔法陣を作り、右にいた細身な男はブツブツと何かを唱え始める。


「それじゃあ見ててくださいね先生」


そう言うと男は手を合わせ『パンッ!』と音を立たせ、魔法を唱える。すると魔法陣から黒い球体が現れる。しかしその球体の色は時間の経過とともに紫色に変わり始め、チリチリと黒い炎が舞い始める。


「ほぉ、これはこれは・・・」


初めて先生の口が開いた。そして紫色の球体は黒い炎に形状を変え大きく肥大する。


「おっと・・・」


男が合わせた手を離すと炎が掻き消える。


「いかがでしょうか?」


「うむ!良い出来じゃった」


3人組はガッツポーズを取り次の人の邪魔にならないように後ろへ行く。そしてイヴァン達が並んでいる姿が見え、ニヤリと笑いながら近寄る。


「よぉ!落ちこぼれに中級術士の女に上級魔術士の面汚しくん達じゃないか」


「・・・・」


「な!なんですか!」


「いやなに、お前たちの成果は出たのかなぁ〜と思ってなぁ〜、ま!無理だろうけどな!俺らを超えるなんざ」


と声を高らかに笑い出す男たちは自分たちの席へ戻る。


「あいつら根に持つタイプだな・・・」


「まぁいいさ、俺たちの発表を聞けばアイツらがどれだけ低レベルが分かるだろ?」


イヴァンとバイスはお互い目を合わせ、ニヤニヤと笑う。


「ギャフンと言わせます・・・!」


トールは、グッと拳を握る。


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