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魔王級術士の落ちこぼれ  作者: 小烏 暁
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第5章~決着~#10


「な!なに!」


最初に声を荒らげたのは先程攻撃をした男だった。

ロイズに撃った男の凶悪な爪はボロボロと崩れ、所々に血が垂れていた。


バイスとシスリーは魔力の嵐が収まったのを感じ、2人を見る。ロイズの身体は純白の鎧のようなものに覆われていたのだ。その姿はとても美しく、惚れ惚れするほどだった。


「あ!ありえない!どうやって!そんな鎧を隠し持っていた!」


男は恐怖・焦りが現れたような顔をロイズに見せていた。


「竜の全装、魔力を70%消費する代わりに、竜の中の上位種『真竜』の鱗で出来た鎧を身に纏うことが出来る」


「まさかここまで消費するとは思ってもみなかったけど・・・」とロイズは小声で呟く。


「し!しかし!君はもう腐食の痣が全身を覆って、もう体の自由が効かないはずだ!」


そういうと男はロイズの全体を攻撃する。だが鎧のせいで思うようにダメージを与えていない、男の顔が初めて酷く歪む。


「どうして!倒れてもおかしくないはずだ!なぜ君は立っていられるんだ!」


男の問にロイズは答える


「簡単な事、そもそも腐食の効果が反映されていないだけのこと」


「ば!ばかな!ありえない!私が時間をかけて作ったものだぞ!効果が反映されていないなど断じてありえない!!」


男は慌てた表情を浮かべる。


「別に貴様の事情などどうでもいい・・・それよりもういいか?」


男の攻撃の最中、ロイズは平然とした声で言う。


「は?」と間の抜けた声を出す男。


「竜魔法・(ドラゴン)(ナックル)


ロイズの両の拳が眩く光り出す。男は目をつぶりそうになる次の瞬間、右頬にロイズの拳が吸い付く。

男は何が起こったのかわからず呆然としている。それを気にもせず今度は左頬にロイズの拳が吸い付く。

それが交互に起こり、男は初めて実感する。


「私は・・・殴られているのか・・・!」


男が気づいた時にはもう遅かった。


「これで終わりだ・・・・」


ロイズのその言葉を最後に、男の思考はそこで途絶える。最後に男が思った事は。


「私は貴女の為に・・・・」







「お、終わったの?」


シスリーは小さな声で呟く。


「・・・」


男は頭部が破壊され、戦闘することは不可能な状態だった。


「それよりもロイズ!お前腐食は大丈夫なのかよ!」


大声でバイスは心配する。ロイズは竜の全装を解き、鎧は消える。そこには腐食の効果で広がり続けるロイズの身体があらわになる。


「問題ない・・・」


ロイズはそう言うと、腐食の痣がみるみるうちに消えていく。そして数分もせず綺麗に消えた。


「な!まじかよ・・・なんでもありか・・・」


バイスは苦笑を浮かべる。


ロイズの前にウィンドウが現れる。


・報酬を受け取ることが出来ます、受け取りますか?・


ロイズは報酬を受け取る。


・報酬・&’%&%$&の魂・魔攻、魔防のステータスアップ・


・ステータスが変化しました、続いて魂を入手しました・


「ん?」


ロイズは驚く、本来魂はインベントリ内に収納されるはずだが、今回の魂はインベントリに収納せず具現化していた。灰色の玉をロイズはまじまじと見つめる。


「あー・・・やられちまったか、まずいなぁ、アイツらに怒られちまう」


ロイズ達は驚く、いつの間にか男が頭部の潰れた男に近寄っていたからだ。


「!!貴様・・・何者だ」


茶色のコートで茶色の帽子を被り、あごひげを生やした少し中年のオーラを感じさせる男がそこにいた。


ロイズは竜魔法を放とうとするが、先程の全装でほとんど魔力を使っていたため、目眩を起こす。


「ロイズ!」


バイスは今にも倒れそうなロイズを支える。シスリーはロイズ達の前に出て剣を構える。


「まぁまぁ・・・そんな物騒なもんをしまってくれよ?怖くて手が震えちまってるぜ?」


「じゃあなぜその死体を調べてるの」


「そりゃあ、あー・・・これ言っても良いのかねぇ・・・」


茶色のコートはジョリジョリとあごひげを触る。


「迷ったらこれだよな」


そう言い男は胸ポケットからコインを取り出し親指で弾く。「表」と男は言い、コインを取って確認する。

でた面は「表」だった。


「この死体はある実験の為に作られたものだ、アイツらの計画の1つって言った方が正しいな」


男はそう言うと頭部のない男の胸元をえぐる。


「あら?『アレ』がねぇな?」


そう言い周りを確かめる男はロイズの手に持っている灰色の魂に目をやる。


「すまんがそれ、返してくれねぇ?」


男はロイズの持ってる玉に指さす。


「・・・なぜ貴様に渡さねばいけない」


冷徹な目を男に向ける。


「いやぁ、それがないと俺『アイツら』に怒られるんだわ」


そう言うと男は立ち上がってロイズに近づく。


「だれが近寄って良いと言ったの?」


シスリーは剣に炎を纏わせ、近寄る男に向け横薙ぎする。しかしシスリーの攻撃は空振りに終わる。


「!!」


「その玉がないと今後の計画に支障が出るって言ってたからさぁ」


いつの間にか男はロイズ達の目の前まで接近していたのだ。


「くっ!」


シスリーは慌ててロイズ達の前にいる男に向かってもう一度攻撃をする。


「悪いね・・・ちょっとだけ気絶して貰うよ?」


そういい、男はロイズ達の前から消え、シスリーの後ろに現れ、首元に手刀をする。シスリーは手刀で気絶してしまう。


「これでよし!あ!大丈夫、気絶させただけだから」


男は顎を触りながら答える。


「まぁ、べつにタダで返してくれって言わないよ、それ相応の『お返し』はするからさ、ね?」


男はにこやかに笑う。


「お返し・・・・だと?」


「そうそう!」


「信じられるわけがないだろ!大体さっき会った得体の知れない人間を信じろっつうのが無理だ!」


バイスは叫ぶように言う。


「うーん」と顎を触り、考える素振りを見せる男。


「じゃあそうだな、お前たちの聞きたいこと3つ答えるよ。これは手付金ね」


ロイズは考える、聞きたいことが山ほどある、まずは情報を聞き出すことが優先か・・・。


「いいだろう、だが嘘だったらただじゃ置かない」


「それでいいよ、で?で?俺に聞きたいことは?何がある?」


男は嬉しそうに言う。


「・・・お前は一体何者だ」


まずは1番謎の多い部分を問う。


「俺はバイゼル・イース、有る組織に雇われてる、言わば用心棒的な?存在かな?」


「アイツらとは誰のことだ?」


「ストレンジャーズつぅ組織で、人間と魔族の戦争を企む奴らさ」


「人間と魔族の戦争!?どういう事だ!」


バイスは大きな声で叫ぶ


「さぁね、俺に聞かれても困るよ」


男は困った顔を見せる。


「最後だ、この玉を使って貴様らはどうするんだ」


その質問をするとバイゼルは少し悩んだような顔をした。


「それは俺にもわかんねぇな、ただ、こいつが壊されたら絶対回収しろと言われてるだけだからなぁ・・・・」


「そうか・・・」


「最後の質問はカウントしなくてもいいぜ?あと一つだけ聞きな?さぁさぁ!」


「・・・貴様は敵か?それとも味方か?」


「俺は敵でもなければ味方でもねぇ、ま!天気みたいなもんと思っててくれ。今の所はお前らの敵じゃないから安心しな」


「それじゃあ3つ教えたんだからその玉をくれよ」


ロイズは少し悩むが約束は約束、それに今の状態じゃ勝つことはまず無理だろう。


ロイズは翡翠眼を使ってステータスを見ようとする。


「あー、そうだ」


男は一瞬でロイズの耳元まで近付き囁く。


「翡翠眼を使ってステータスを見ようとしてるが、あいにく対策をしてるから見れないぞ?」


ロイズは慌てて左耳から囁かれた方を見るがそこには誰もいなかった。またもや一瞬で元いた位置に戻っていたのだ。


速い、目で追えなかった・・・Lvやステータスは多分俺より上かもしれない、何より実戦経験が豊富だろう。じゃなきゃ、あの速さはだせない。とロイズは考える。


「それじゃあ、これ貰っていくから、また会う事になるからその時は『恩返し』するねぇ〜」


左手に持っていた玉がいつの間にか男の元にあった。

男の身体がゆがみ始め、瞬く間に消えていった。


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