第3章〜忘れられない思い出~#8
イヴァンは召還した守り手の近くへ寄り、足の部分に手を置いた
「お疲れ様、お前がいなかったら今頃死んでた」
イヴァンがそう言うと守り手は青白く発光し、粒となって消えていった・・自分の役目を終えたかのように・・・
・緊急クエストを終えたことで報酬を受け取ることができます、受け取りますか?・
「はい」
・森の管理人の魂 新樹の指輪の2つを受け取りました・
翡翠眼はここでは使えないから後で確認しよう
イヴァンは腕を組みながら考えごとをしているような体制のまま静止している、それに気づいたミレイユはスゥを抱きながら心配そうに駆け寄った
「イヴァン?大丈夫?」
「・・・あぁごめんちょっと考え事を」
ミレイユは結構心配性なんだなと心の中でイヴァンは思う、口に出したい気持ちを抑えて
「イヴァンって召喚士だったの?」
「んー・・アイテムの力ってやつかな?一度しか使えないけど」
流石に魂を持ってるなんて言えるわけがない・・・
「そうなんだ・・・ねぇイヴァン・・」
ミレイユはなんだかもじもじしている、どうしたんだろう
「ん?どうした・・・・」
驚くほど柔らかな感触がイヴァンの頬を刺激する、その後数秒という短い時間のあと柔らかな感触が離れていく・・・その感触がまだ頬に残っている、何が起きているのかわからなくなって困惑しているイヴァンに色気をさらしだし、胸が見えそうで見えないギリギリまで腰を曲げ、唇に人差し指を置いて、小さな声で・・・・
「この恩返しは頬にキスじゃすまないよ?」
そう聞こえたが、いまだ冷静な状況判断ができないイヴァン
「さっ!早く外に出ようか!」
そう言いミレイユは俺の頬を軽くひっぱたき我に返らせる
「あ!・・・うん」
イヴァンは頬を押さえながらまだ微かにある柔らかい感触を堪能した
ーーーー洞窟の出口まで戻ってきたミレイユとイヴァン
「ミレイユはこれからどうするんだ?」
俺は今後の事について聞いた
「私はスゥと一緒に家に帰るよ ここからあまり遠くないからさ、イヴァンはどうするの?」
「俺?」
少し考えあることを思い出したイヴァンは顔を真っ青にした
空を見ると夕暮れ・・・
「・・・師匠のところへ・・・帰らなきゃ!!!」
絶対師匠に怒られる・・・
「ごめん!早く帰らないと師匠に怒られちまう!!」
俺はすぐその場から猛ダッシュで走ろうとした
「まって!」
突然ミレイユから呼び止められる
「これ・・」
ミレイユは俺が渡した穴の開いた上着を脱ごうとした
すぐさま俺は脱ごうとするミレイユの手を掴んだ
「ちょちょちょ!なにしてんの!」
「えっと・・・返そうと思って」
「いや良いよ!そのまま着てて、それとその服穴開いてるから家に帰ったら捨ててもいいからね」
イヴァンはそう言うと彼女は首を横に振った
「うーん、あ!」
何かいい考えが思い浮かんだイヴァン
「それならいつかまた会った時にその服返しに来てくれないか?」
「わかった、いつか必ず返す」
ミレイユはそのあと小さな声で「その時は・・・・」と言った
「何か言った?」
「ううん何にも」
「そう?・・それじゃあもう行くわ!」
そう言いイヴァンは師匠のもとへダッシュで帰っていった
ミレイユは彼が見えなくなるまで名残惜しそうに見ていた
「・・・・・・・」
そしてそれを見るかのように一人の少女が森の木の裏で見つめていた。