第3章〜森の管理人~#7
その姿は・・・魔物
次第に男は見る見るうちに大きくなり・・男の身長の4倍まで大きくなっていた
身体だった部分は木となり足だった部分は根となっていた
まるで木の化け物
「こいつは魔法じゃないと倒せられない、こんな剣じゃ・・・歯が立たない!」
魔物は鼓膜が破れそうなほどの奇声を上げた、イヴァンは剣を捨て両の手で耳をふさいだ瞬間それを待っていたかのように魔物の根の一部が薙ぎ払うようにイヴァンの腹部を狙う
ビュン 空を切る音が聞こえた瞬間イヴァンの腹に激痛が生じる・・・
「はや・・・!」
扉から出てすぐの洞窟の壁にめり込むようにして吹っ飛んだ
ドゴォッという音と共に口から血を吐く
「イヴァン!」
ミレイユは壁にめり込んだイヴァンのもとに駆け寄る
イヴァンはめり込んだ体を起こし何事もなかったかのような態度を見せる
「大丈夫・・・攻撃される直前に後ろに飛んだから・・・」
本当はしっかりと当たっているが、彼女に心配させないように強気でいる
突如あの時の墓守と戦うときと同じようにウインドウが現れる
・緊急クエストが発生しました、森の管理人がある条件下を満たしたことで復活を果たしました・
まずい・・こんなところで緊急クエストかよ・・・
前回の戦闘では魔法が使えたから勝てたものの、今回は魔法の使用禁止での緊急クエスト
それにここにはミレイユがいる、勝てない・・・
ウィンドウが更新される
・森の管理人の討伐報酬 森の管理人の魂 新樹の指輪・
今回も同じ通り報酬が手に入る
だがこの不利な状況、どうしたものか・・・・
・・・・出し惜しみしてられない・・・今ここで・・・
「イヴァン!!次の攻撃が来る!!」
「・・・ああ」
俺は決心をし、前に出る
「本当に召還できるか・・・吉と出るか,凶と出るか」
俺は目を閉じ呪文を唱えることに集中する
「城を守りしゴーレムの魂よ我が問いに答え・・・」
イヴァンが呪文を唱えてることなんてお構いなしに魔物は根を俺に向け串刺しにしようとする
「イヴァン!!」
俺は覚悟して串刺しになることを受け入れた、
・・・・なぜ攻撃が来ない・・・確実に俺の腹めがけて飛んできたはず・・俺は目を開けた
「っ!!何してんだ!!」
ミレイユがイヴァンをかばって自らを盾にしてイヴァンを守ったのだ、
腹部を貫通されたミレイユ・・・・
「・・・!!我が問いに答えろ!! 開門!!」
呪文を唱えた瞬間体から力が抜けていくような感覚が見舞われた、
その瞬間目の前には大きな魔法陣が現れ中からあの時倒した玉座の守り手が現れた
「その女の子に突き刺さった根を除去しろ」
守り手は虚空から斧を取り出しミレイユに突き刺さった根だけを粉々に粉砕し、イヴァンの命令に従った
イヴァンは倒れるミレイユを、抱きしめるように支えた
「イヴァン・・・どこも・・・ケガして・・・ないか?」
彼女は自分の心配をする前に俺の心配をした
「ああ・・・お前のおかげでケガなんてしてないよ」
イヴァンがそういうと安心しきったような顔をした
すぐにイヴァンはウィンドウからフルポーションを取り出し、ポーションを飲ませた
ミレイユは見る見るうちに穴の開いた腹部がふさがっていき、物の数秒で穴はふさがった
彼女は元気になったのか起き上がり自分のおなかを確認した
「うそ・・・ふさがってる」
「ああ、でもこんなことは2度とするな」
「…ごめん」
ひどく反省しているようだった
「お前の体は俺以上に大切なんだ・・本当にこんなこと2度としないでくれ」
「え!?」
ミレイユは顔を赤らめてしまった
「…なんか俺変なこと言ったか?」
「いっいや・・・なんでも」
魔物は俺たちの邪魔をしたいのか根をこちらに突き刺そうとする
「守れ」
その一言を命令すると守り手は主人を守るように自分を盾にした。
魔物の攻撃は絶え間なく続くが守り手にはびくともしない
攻撃が効かないとわかり、無数の根をひっこめた
「敵を殲滅せよ」
そう守り手に命令する
その言葉を聞いてや否や魔物は全力で攻撃をした
しかし守り手には一切効いていない、守り手は斧を両手に持ち天高く掲げ一気に振り下ろした。
魔物は抵抗むなしく簡単に真っ二つになった
断末魔が辺りの石と石に反響する、次第に魔物は黒くなり灰となって消えていく。
「あっけない最期だったな」
「・・・・うん」