第3章〜彼女の過去~#4
ミレイユと俺は盗賊達の先頭に立ち道案内をしている、出口からどんどん離れていく
「ミレイユ・・・」
盗賊達に聞かれないように小さな声で話す
「あいつら魔人級アイテムっていうのを手に入れたら確実に俺たちを捕まえるつもりだぞ」
俺達にはもう買い手が見つかったからまず殺されることはないがあの狐を開放するとはいっても逃がしてくれるとは言ってなかった
「だが案内しないとスゥが殺されてしまう・・・!」
「・・・あの狐が友人だからか?」
「あの狐は一体何なんだ?」
彼女はしばらく考え・・・そのうち口を開いた
「私が6つの時に友人とこの洞窟へ行ったんだ・・・」
ーーーーあれは、夏の暑い中、私と友人の男と二人で、どこか涼める場所がないか探していた。
ある日親友はこのここから近くの森に洞窟があるという話を耳にし、その洞窟へ行ってみようと友人は言ったのだ。
森の奥へ行くと大きな洞窟があり、あの話は本当なんだと友人は喜びながらそう言ってました。
洞窟の中へ入ると夏場とは思えないほど洞窟の中は冷たく、涼める場所にはうってつけの場所でした。
「ミレイユ!ここ!俺たちの秘密基地にしねえか!?」
友人は大声で私に問います
「いいね!ここなら暑さもしのげるし秘密基地にはぴったりの場所だよ」
「よっしゃ!決まりね!明日から集合場所は洞窟の入り口な!」
私たちは毎日洞窟へ行った、友人の家は建築が得意な家系だったので洞窟の奥に小さな小屋を作った
「へへぇん!どうよ!俺たちの秘密基地だ!」
「秘密基地の秘密基地じゃんか」
「細かいことはいいんだよ!」
その小屋を拠点に私たちは洞窟を調査することにした
ーーこの洞窟は奥へ進めば進むほど道が入り組んで迷路になっている、しかし奥へ行っても魔物は姿を現さない私たちはこの洞窟には魔物がいないと断定した
「それにしてもミレイユ・・お前のスキルにはいつも世話になるぜ」
ミレイユはどんな入り組んだ道でも一度行けば迷うことはない、ガイドマップというユニークスキルの持ち主だ
「どうも、あなたも道を覚えてくれたら私、楽なんだけど・・」
「俺はこういった入り組んだ道を覚えるの苦手だから」
確かにこの迷路のような道を覚えることができるのはガイドマップを持った私しかいない
私がそう考えている最中、友人は何かを見つけた
「なあ!この扉何だろう?」
お城の城門のように大きな扉が目の前にあったその扉の周りには文字が刻まれていた
所々苔が生えており何十年・・下手したら何百何千年か前に作られたような・・・そんな感じがする
「ねえ、、ここで調査を終了すべきじゃない?」
わたしは友人にそう伝えた
「いやいや!せっかくだしちょっとだけ見ようぜ!」
「でもこの扉絶対私たちだけじゃ開けられないよ?」
「見てな」
友人はそう言い扉の前に立ち両手を使ってこじ開けようとしている
「ふっぬぬぬぬぬぬぬぅ!」
すると扉が少しずつではあるが徐々に開いてきている
ギィイイィイ、という音が鳴った瞬間簡単に開いてしまった、友人は扉が簡単に開いたのでその反動で前に倒れてしまう
「いて!」
「大丈夫?」
「あぁ!平気」
友人はその場から立ち上がり周りを見渡した
そして友人はあるものを見つけた、
「あれってなんだ?」
私は友人が指をさした方を見た、目の前には木の根っこのようなもので作られた杖が浮いていた
「杖?」
友人がその杖に手をかけようとしたとき、私は嫌な予感がした
「その杖に触らないで!」
しかし私が言う頃にはおそかった、友人が杖を触れる瞬間何か得体のしれない何かが杖に触れようとした彼の腕が無くなっていた、
「え?」
友人は何が起こったかわからない顔でいた、そのあと腕があったところから生々しい血があふれ出てくる、彼はその瞬間この世のものとは思えないほどの叫びをあげた
私は血があふれ出てくる彼を助けようと近くへ寄ろうとしたが
「あ・・足が・・動かない・・」
そして彼の目の前に突然現れた
白い毛並み、口元には友人の腕を喰ったであろう赤黒い血がしたたり落ちている
私はこの魔物を知っている、
「うそ・・・なんで・・・大昔に絶滅したのに」
サベルタイガー、小さいころから親に眠りにつく前に聞かされたおとぎ話の魔物
なぜこんなところにいるんだ
「ミレイユ!」
私が放心状態になってる中友人はそんな私の意識を戻すため大声で呼んだ。
放心状態から意識を取り戻した彼女にこう伝えた
「早く・・・ここから離れろ!」
顔中汗を滝のようにかきながら彼女に言う
「でも!」
「早く!!」
私は友人を置いて走って逃げた、後ろから聞こえる彼の叫び声が聞こえても尚私は走って逃げた
ーーー気が付くと私は洞窟の出口を出ていた、私は怖くてあの時から洞窟へ行くのをやめた。
そして私が9つになったころにまたあの洞窟の奥の扉まで行った。
扉までついたとき私は意を決して扉の中に入った、目の前にはあの杖があった、だがそこにはあの魔物の姿はなく・・あるのは友人の乾ききった血の跡だった。
もし私があの時大人を呼んでいたら彼は助かったのかもしれない、
私帰ろうとしたその時だ、
「きゅう・・・」
それは衰弱しきった白い狐であった、私は思った、もしかしたらこの狐は友人の生まれ変わりなのかもしれないと・・
ーーー「私はその狐の名前を友人の名と同じスゥという名前にしたんだ」