17回目の誕生日
「みのるー!誕生日おめでとう!」
今日は俺の17回目の誕生日。
クラスのみんなが俺の誕生日を祝ってくれた。
「いやぁ、みんなありがとう!こんなに祝ってもらえるなんて思ってなかったぜw」
そして、俺は迂闊にこう言ってしまった。夜見た夢のことを忘れて。
「今までで最高の誕生日だ!」
その日の夢はどことなくおかしかった。
いや、元々夢を見ること自体俺にとって珍しいのに。
夢の中で俺は何も無い真っ白な世界に立っていた。
真っ白すぎてつまらなかった俺はつい声に出てしまったようだ。
「つまんねぇとこだな。」
そういった瞬間、真っ白い世界は俺の大好きなもので溢れる世界になった。
サッカーボール、ゲーム、親友……
もちろん俺は戸惑った。急に世界が変わったのだ、戸惑う他ないだろう。
戸惑っていたら向こう側から変なクマのぬいぐるみがやってきた。
『初めまして、実さん!』
「え、喋った…?」
『あは、驚きました?』
そのクマはいちいちむかつく声とむかつく動きをしていたし、見覚えのないところにいるからか、俺の苛立ちは限界を超えていた。
「いい加減にしろよ、何がしてぇんだよ!!」
『もー、そんなに怒らないでくださいよぅ!
そうですねぇ…何がしたいかというと、きみにプレゼントを持ってきました!』
何を言っているんだこのクマは…
『僕はクマじゃないですぅー!ちゃんとムーマって名前がついてるんですぅー!』
こいつ、俺の心を読みやがって……
そう思って、こいつを睨んでたが、ふとさっきこいつが言っていたのを思い出した。
「は…?プレゼント…?」
『そうですよぅ!てか、僕の名前の件はスルーなんですね…』
「なんだよ、プレゼントって…」
『きみ……いや、大倉実くんにこの力をプレゼントしましょう!』
「は……? 力って……?」
『言葉を操る力ですよぅ!』
「え……ちょ、待てよ!」
そういってクマ……いやムーマは両手を合わせた。
その合わせたところが光っていき、その光を無理やり俺の中に入れてきた。
そこで、俺は目が覚めた。
夢か現実か分からなかったが、俺は忘れることにして部屋を出た。