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男嫌いの女が異世界で男に転生して心の傷が癒えてく話し  作者: 6ミリナット


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回想 アニーとの出会い

『あなた、私の友達にしてあげるわ光栄に思いなさい』

何とも、傲岸不遜としか言えない言葉を私に発したのは、そんな言葉を発するとは思えない可憐な少女だった。


突然の事態に私は固まってしまう、そしてしばらくして、他の人が言ったのではないかという可能性を思いつき周りを見渡す。


やはり、部屋の中には少女と私の二人しかいない。


私は返事をするのを忘れて、少女を見入ってしまう。

人形の様に整った顔立ちに、混じりけのない白銀の髪と瞳をしている。


今日、父親から私の婚約者として紹介されたのが彼女だ。


人形みたいだな子だなというのが私の感想だった、整った顔立ちもあるが、八歳という幼い子供とは思えないほど見事な立ち振る舞いに大人びた笑顔が様になっている、それでいて瞳には一切の熱を帯びていない冷たさを感じたからだ。


紹介をされた後、大人がいない方が打ち解けやすいだろうと両親達は、私と少女を置いて部屋を出て行った。


いきなり二人にさせれても困るがとは思ったが、もうすでに親達は部屋から出て行ってしまった、おそらく親は親で話しがあるのだろう。


少女はと言えば、何も言わず私を見つめている、感情が読み取りづらい表情をしている。


緊張しているかもしれないな


少女は私と違い正真正銘の8歳の幼い子供なのだし、そう思い私が頑張ろうと少女に色々と話しかけてみたが反応はない、ただ、私をじっと見つめてくる。


少女の様子にだんだん、私は怖くなってきた、少女の人形の様に整った顔立ちがさらに、不気味さを増している。


そう言えば、まだ名前も教えてもらってない、どうしようかと私が困っていた時、唐突に少女が口を開いたのが、最初の言葉だ。


【私の友達にしてあげるわ】


いきなりの言葉に私は、言葉を返せずにいる。


『何をぼけっとしてるの、他に誰もいないわよ』


私が返事を返せずにいると、少女が急かす様に言う。

いつの間にか、人形の様に感情のない少女の顔に生意気そうな子供らしい表情が浮かんでいる。


『そうだよねごめん、でも友達って僕達一応婚約するみたいだけど』

少女の変わり様に驚いたが、何とか気をとりなおして疑問を問いかける。

もしかしたら、婚約がどうゆう意味か知らないのかもしれない。


『馬鹿ね、婚約なんて形だけのものじゃない』

あっけらかんに少女が言い放つ。


身も蓋も無い事を言うな


確かに、婚約は親同士が決めたいわゆる政略結婚である、しかし、それでも婚約したのだ何もなければこのまま結婚して生涯を共にするのだ、8歳の子供が形だけと言い切るには少し重い事実だと思うのだが。


もしかしたら婚約、結婚がどうゆうものか、まだ良く知らないのかもしれないな。


『まあいいわ、あなたに拒否権はないのだから、今日から私とあなたは友達ね、わかった』


私があっけにとられて言葉を返せずにいると少女は、無理矢理に話しを進める。


『あっ、はい、わかりました』

少女の勢いに圧倒されて答える、思わず敬語になってしまった。


『よろしい、では、とりあえず友達としてこの家の案内をしなさい』


友達と言うより、まるで召使いの様な言い草だなと思い私は苦笑する。

しかし少女の勢いを止める気力も私にはなかったので、素直に案内する事にした。


両親達に許可をもらった後、私は少女を家を案内してまわった。


案内をして周っている時も、周囲に人がいる時は大人しくしているが、二人だけになると、少女は私の主人の様に振るまった。


無茶苦茶な女の子だなとは思ったが、不思議と嫌な気はしなかった。

案内をしながら少女と話しをしている内に、随分と生意気ではあるが少女が年の割にとても頭がいいのが節々に感じとれた。


貴族の子だから教育は行き届いているだろうが、それにしても八歳とは、とても思えないほどだった。


なんだかんだ、少女に振り回されているうちに私は少女の事を気にいってきていた。


『そういえば、なんで急に友達になろうなんていったんだい』

ふと、疑問に思っていた事を聞いてみたくなり少女に問いかける。


意味なんてないのかも知れないが、頭のいい少女がなんでそんな事をいいだしたのか気になったからだ。


『寂しい、寂しいって、あなたの顔に書いてあったから、友達になってあげようって思っただけよ』

何でもない様に少女が答える。


少女の言葉に、胸がドキりとする。


『そんな顔してたかな』


『してたわよ、とゆうか今もしてるわよ』


また胸が痛む、寂しいという感情は確かにあった、前世でも、他人と深い関係になるのを恐れがちだった自分がいたし、生まれ変わってからは、自分がこの世界の異物の様に感じてさらに、人との間に壁を感じていた。


内心の寂しさを悟られない様、うまく誤魔化せてきたと思っていたのに、まさかこんな子供に悟られとは。


『私が友達になってあげたんだから、もっと笑いなさい』


少女がまた、無茶苦茶な事を言う。


私は言われた通り、無理矢理に笑ってみた。


『もっと笑いなさい』


全く無茶苦茶だ、私はだんだんと本当に可笑しくなってきて声を出して笑いだした。


『まあ、今日はそれくらいで許してあげるわ』


少女は少し満足そうに笑顔を見せた。


これが、アニーと初めて会った日の出来事だった。

この日から、私とアニーは婚約者であり友人になった。

後に、唯一アニーだけには私の前世の事を話した。

女で会った事も。


信じてもらえるとは思っていなかったが、アニーは別段驚きもせずに私の話しを受け入れてくれた。


アニーが受け入れてくれた事で、救われた様な気がした事を今でも覚えている。




意識が今に戻ってくる。アニーと二人帰り道を歩いいく。

『ありがとうアニー、いつも世話をかけるな』


『馬鹿』

アニーはそう一言だけ言うと、後はいつも通りの会話をして家路に着いた。

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