黒幕
三人称です、たぶん
書き方間違ったらすいません
『ははは、面白い想定外の結果だ』
それなりに広い部屋で男が一人上機嫌に笑い声をあげている。
男にいる部屋には数多くの魔道具が置かれている、その中には世にはまだ出ていない魔道具も多い、何故ならその魔道具は男自身が発明し作ったものだからだ。
男の名は【ユリウス・デザイ】狂気の天才魔導師として、その名を国中に知らしめている。
ユリウスは顔に笑みを浮かべながら、目の前の机に置いてある魔道具を見ている。
その魔道具は【映像写具】と言い、別の魔道具を使い撮った映像を写し見る事ができる、今は遠く離れた場所にある学園の映像が映し出されている、ユリウスが送り込んだ部下が魔道具を使い映像を送っているのだ。
【映像写具】の横に似た様な形の魔道具が置かれている、そちらには学園の映像ではなく、多くの数字が羅列されている、これには学園の映像ではなく、部下が魔道具を使い計測したデータが送られて来ている。
これらの魔道具も全てユリウスが作ったもので、世には知られていない。
ユリウスは魔道具や部下を用いて必要な情報を集めてくる、どれほど厳重に秘密にしていようとも、ユリウスに手に入れれない情報はない、時代の先を行き過ぎた魔道具、しかも存在すらしらない、そんな物を使われては防ぎようがないだろう。
今回ユリウス動いた理由は一つ目にアニー・シーンズと言う天才児の話しを聞いたからだ、あまり表立って実力を見せてはいないが、その才能は十年に一人と話しが本当なら研究材料として、手に入れたい。
二つ目に、禁呪を用いた魔物、部下であり研究材料でもあるニコラ達闇の一族、アニー・シーンズと他に研究材料になりそうな生徒、その三つの戦闘データの計測だ。
三つ目に、学園に隠されている魔宝石の奪取、魔宝石はユリウスでも作り出す事はできず、手持ちも少ないので確保しておきたかった。
計画のため送り込んだニコラ達の報告により、研究材料になりそうな生徒はアニーを除きデニス、アリサ、ロイの三人であった。
教員の力はほぼ完成されているため、研究材料しての価値は少ない、三年生にも目ぼしい生徒はいないため、邪魔にならない様実習の日に合わせ襲撃を決行した。
結果として、魔宝石は別動隊として影で動いていた者達が問題なく盗んでくれた。
戦闘データは、まず魔物に関しては想定通りの結果で問題はなかった。
次に、デニスとアリサだが、報告にある学園長との訓練により大きな成長が見られたが研究材料とするほどではなかった。
次にアニーだが、想定した上限のギリギリの結果となった、エレメントの操作までできるとは可能性として考えてはいたが素晴らしい才能だ、ユリウスはエレメントの操作が可能な魔導師を自分以外に知らなかった、十年に一人と言うのも過小評価と言える。
余談ではあるが、ユリウスがエレメントを操作できる様になったのは13歳の時である。
次にニコラだが、これも想定した上限ギリギリの結果だ、ニコラに関しては今回死ぬ可能性も十分あったのにもかかわらず、ほぼ完璧に禁呪に適応して見せた、それは理論上は可能というレベルの奇跡に近い適応率だ。
最後にロイだが、これは完全に想定外だ、ユリウスにしても全く意味が分からない、急に性別が変わり、爆発的に魔力も上がった。
研究材料に申し分なく、アニーとロイ、二人を拉致しようとも考えたが、何となくこのままにした方が面白くなりそうな気がして、ニコラに撤退の指示をだした。
『なんとなく...... か』
ユリウスは自分の考えに自嘲を漏らす。
何となく、そんな考えで行動を判断したのは初めての事だった、未来が分かるとまではいかないが、今までユリウスの予想も出来ない事はなかった。
面白いとユリウスは思う、と同時に僅かな違和感を感じる、今まで感じた事のない感情が湧いてくる。
これは何だ、とユリウスは自らの感情を訝しむ。
しばらくして、ユリウスは自らの感情の名前に思い至る。
まさか、私は苛立っているのか、事が自分の思う様にいかず苛立つ、そんな凡俗な事を。
『はははははは』
ユリウスは又、上機嫌に笑い声を上げた、彼がこんなにも機嫌がいいのは珍しい。
面白い、実に面白いな
ユリウスは笑うのを止めると、魔道具の起動を切り、映像を消した。




